【研究で判明】「骨密度が低い人」ほど脳の老化が速かった|骨と脳を守るために今日からできる3つの習慣
「骨が弱くなるのは、年齢のせいだから仕方がない」と思っていないだろうか。実は、骨の状態は骨折リスクだけでなく、脳の老化とも関係している可能性が見えてきた。
2000人超のデータをAIで解析 「骨」と「脳」に意外な関係
米ジョンズ・ホプキンス大学などの研究チームが、骨密度と脳の状態、認知機能の関係を調べたところ、脊椎の骨密度が低い人ほど、その後の認知機能が速く低下していたことが分かった。さらに脳MRIでは、記憶や注意、判断力などに関わる「白質」にも、より大きな変化がみられたという。骨と脳。一見すると別々の問題に思えるが、どうやら加齢による変化には共通する部分があるようだ。
研究チームが利用したのは、米国で進められている「MESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)」という大規模な研究のデータだ。まず、2086人の胸部CT画像をAIで解析し、背骨の骨密度を測定。そのうち、脳MRIと認知機能検査のデータがそろっていた715人について、骨の状態と脳の変化を詳しく調べた。その結果、研究開始時点で脊椎の骨密度が低かった人ほど、時間の経過とともに全体的な認知機能が速く低下する傾向がみられた。さらに脳MRIを調べると、神経細胞同士をつなぐ「白質」にも違いがあった。白質は、脳のさまざまな領域をつなぐ、いわば「情報の通信ネットワーク」のような組織である。ここに異常が増えると、認知機能の低下や認知症リスクとの関連が指摘されている。
今回、骨密度が低い人では、左右の大脳半球をつなぐ「脳梁」で白質の異常が増えやすく、さらに注意や判断力などに関わる領域でも白質の状態が速く変化していた。つまり、骨密度が低い人では、骨だけでなく脳にも加齢に伴う変化が表れやすい可能性が示されたのである。
なぜ「骨」と「脳」に関係が? 共通するのは加齢による変化
では、なぜ骨の状態と脳の老化が関連するのだろうか。今回の研究だけで、その理由が明らかになったわけではない。ただ研究者は、インスリン抵抗性、脂質異常、加齢に伴うホルモン変化など、骨と脳の両方に影響する共通の要因が関係している可能性を指摘している。
特に女性の場合、気になるのが更年期だ。閉経前後には女性ホルモンのエストロゲンが大きく変化する。エストロゲンは骨の維持にも関わっているため、更年期以降は骨密度が低下しやすくなる。同時に、体脂肪のつき方や血糖、脂質などにも変化が起こりやすい。つまり、「骨だけを守ればいい」「脳だけを鍛えればいい」と分けて考えるのではなく、全身の健康をまとめて整えることが、骨と脳の両方を守ることにつながると考えられる。
もちろん、今回の研究は「骨密度が低いと認知症になる」という因果関係を示したものではない。骨密度の低下そのものが脳の老化を引き起こすと判断することはできない。それでも、骨の状態を全身の健康を考える一つのサインとして捉えるきっかけにはなるだろう。
骨と脳を守るために、今日からできる3つの習慣
では、骨と脳の健康をまとめて守るには、何から始めればいいのか。特別なことをする必要はない。まずは、日常生活の中でできることから始めたい。
「歩く」だけで終わらせず、筋肉にも刺激を
骨を丈夫に保つには、骨に適度な刺激を与えることが重要だ。ウォーキングは手軽で続けやすいが、そこにスクワットなどの筋力トレーニングを加えると、下半身の筋肉と骨にさらに刺激を与えられる。いきなり激しい運動をする必要はない。まずは椅子からゆっくり立ち上がる動作を繰り返すなど、自分の体力に合わせて始めればいい。運動は骨だけでなく、血流や代謝、認知機能の維持にも関係する。まさに「骨と脳」の両方を意識できる習慣である。
毎日の食事で「骨をつくる材料」を確保する
骨の健康というと、カルシウムだけを思い浮かべがちだが、骨はさまざまな栄養素からつくられている。魚、乳製品、大豆製品、卵、肉などからたんぱく質をしっかり摂り、カルシウムを含む食品も日々の食事に取り入れたい。特に更年期以降は、食事量を極端に減らして体重を落とそうとすると、筋肉や骨の維持に必要な栄養素まで不足することがある。「食べない」よりも、必要なものをきちんと食べることが大切だ。
骨密度を「一度は確認」しておく
そして意外と重要なのが、自分の骨の状態を知ることだ。骨密度は、低下していても自覚症状がほとんどないまま進むことがある。特に女性は閉経後に骨密度が低下しやすいため、年齢や健康状態に応じて骨密度検査を受け、自分の状態を把握しておきたい。
骨密度を知ることは、骨折を防ぐだけでなく、これからの全身の健康を考えるきっかけにもなる。「骨が弱くなってきたかも」と感じたら、骨だけを見るのではなく、運動、食事、血糖や脂質などを含めて生活全体を見直してみる。骨と脳を別々に考えない。そんな視点を持つことが、これからの健康づくりでは大切になりそうだ。
出典:
Researchers Find a Surprising Link Between Bone Density and Brain Aging
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