【コントロールできない苦しさに見舞われたら】受容し身を委ねる陰ヨガシークエンス
人生というものをもう少し楽に、そして優雅に過ごすための、ゆっくりとしたストレッチの練習。
人生は常に美しく、常に予測可能なものではない。浮き沈みがあり、紆余曲折があり、時には一歩進んで百歩下がるような感覚さえある。
自然を見ると、その螺旋の連続にそれが反映されていることが見てとれる。これこそが人生における実際の経験に近い。A地点からB地点までまっすぐに進むべきだ、という直線的な考えとは全く異なる。このようなレンズを通して物事を見ることは、私たちが人生と呼ぶ旅をより優美なものにするのに役立つ。
しかし、人生に困難が訪れ、物事が制御不能になりそうなとき、私は完全な受容に身を委ねる助けが必要だ。これが、陰ヨガの主な目的だ。しかし、参ってしまっている時は、ヨガの練習もおろそかになりがちだ。私は、この3つのステップのプロセスが役に立つことを見つけた。
1. ヨガに目を向けることを忘れない
落ち込みから抜け出すファーストステップは、ヨガに立ち返り、それをツールボックスとして活用することだ。
2. どのようなアプローチでヨガを行うのが効果的かを選択する
困難な状況において、集中できないとき、苛立ちを感じるとき、私にとって頼りになる身体的な練習は「陰」だ。それはまさに自分の身体と、その下に広がる大地への意識を取り戻させてくれる。本当に苦しいときは、ポジティブなアファメーションを重ね、散らばる心に何か "すること" を与える。そして自分の人生におけるすべての良いことを思い出させる。
3. 実際にヨガの練習に取り掛かる
陰ヨガが助けになると知っているだけ、時間ができたときにやるだけ、では十分ではない。そのための時間を作り、マットに乗り、実際にプラクティスをしよう。
以下の陰ヨガのプラクティスは、思考をスローダウンさせ、この瞬間の真実に立ち戻る手助けをしてくれるだろう。
困難な時のための陰ヨガシークエンス
静かで練習に邪魔が入らない場所を探し、デバイスやその他の気が散るものを部屋から取り除く。自分自身に集中する時間を自分に贈ること、それを目的にしよう。陰ヨガの練習で、スローダウンし、今に意識を向けることは、それと同じように人生にアプローチするのに役立つ。
それぞれのポーズで、体に何らかの感覚や抵抗を感じ始めるが、そのホールドが苦痛にまではならない程度のポイントを見つける。特に関節の周りに痛みを感じる場合は、少し戻るか、完全にそのポーズから抜ける。各ポーズ3~5分ほどホールドする。
さらに、この陰ヨガの練習では、それぞれのポーズにアファメーションが用意されている。集中力を取り戻すのに役立つだろう。ポーズに入った後、もしよければ声に出すか、もしくは心の中でアファメーションを繰り返し始める。思考、感覚、感情が湧き上がった場合は、それを観察する。別のアファメーションを使いたい場合は、それを使い、もし英語が第一言語でないなら、母国語に翻訳しよう。ポーズの合間や練習の終わりに、気づきを書き留めるために、近くにジャーナルを用意しておいてもよいだろう。
チャイルドポーズ
手順 : 四つん這いになり、両膝を股関節よりも大きく開く。足の親指を互いに近づける(触れても触れなくてもよい)。お尻ををかかとに下ろし、両腕を前に伸ばして手の平を下に向けるか、両腕をすねに沿わせて垂らし、手の平を上に向けてチャイルドポーズをとる。額をマットに預ける。
バリエーション:お尻がかかとに届かない場合は、お尻とかかとの間にボルスターや枕をいくつか、それとも丸めたブランケットなどを挟むとよい。頭が床につかない場合は、ブロックや枕を額の下に置いて支える。チャイルドポーズが体に合わない場合は、仰向けになって膝を胸に抱くようにするとよい。重力に対しての方向は異なるが、チャイルドポーズと同じ形になる。
アファメーション:私は体とつながっています。
ポーズからの出方:両手を肩の下に歩かせ、手で押して正座か四つん這いになる。そのまま静かに止まっているか、キャット&カウのような緩やかな動きに入ってもよい。
バタフライ
手順 : チャイルドポーズから、座った状態で足の裏を合わせ、膝を左右に倒していく。お尻とかかとの間にたっぷり距離を持たせるようにする。吸う息で背骨を伸ばし、吐く息で自然に止まるところまで前屈する。手は指の力を抜き、どこに下ろしてもよい。
バリエーション:股関節や腰に緊張がある場合は、ブロックや折りたたんだブランケットの上に座ったり、太もも上部の下にブロックを置くとよい。また、ボルスターを前に置いて、上半身を支えながら前屈をすることもできる。このポーズは、前屈をせず背骨を伸ばして座ったままでも、仰向けでも、自由に行うことができる。
アファメーション:私は自分の人生に喜びと豊かさを迎え入れます。
ポーズの出方:両手で床を押し、ゆっくりと起き上がる。両手を少し後ろに着いてもたれ、脚をリリースする。陰ヨガでいうところの「リバウンド(余韻を感じる時間)」のためにじっとしてもよい。もしくは脚を揺らしたり、ウィンドシールドワイパーのように膝を左右に動かしたりして、カウンターのポーズをとってもよい。
ドラゴン
手順:四つん這いから、右足を右手の外側に踏み出す。左膝を後ろに引き、お尻より後ろに位置させる。1~2分後、身体の開きを感じたら、残りの時間はマットに前腕を下ろす。
バリエーション:手や前腕の下にブロックを置いて、地面を高くすることができる。前の足の下にブロックを置くと、股関節の角度が変わり、ストレッチが得られる。後ろ脚の太ももの下にボルスターをサポートとして置いてもよい。後ろ膝に体重がかかるのがよくない場合は、仰向けになって右膝を胸に抱え、左脚を伸ばしてマットに下ろす。柔軟性や可動性が高い場合は、深く沈み込みすぎ股関節屈筋を伸ばし過ぎないよう、内ももを互いに引き寄せる。
アファメーション:私は自分らしさに自信を持っています。
ポーズの出方:前腕を下ろしていた人は両手をつき、腰を後ろに動かして前の脚をリリースし、四つん這いに戻る。静止するか、緩やかな動きをした後、反対側を行う。
バナナ
手順:四つん這いから、仰向けになり、両脚をまっすぐ伸ばす。お尻は固定し、両脚、そして頭と肩を左側に移動させ、バナナのような形を作る。心地よければ、両腕を頭の上に伸ばし、そこで休ませるか、両肘を曲げて肘を軽く持つ。
バリエーション:ボルスターや枕で腕を支えるとよい。上半身と下半身どちらも移動させるときつい場合は、脚だけ、または上半身だけを移動させる。より強く伸ばしたい場合は、片方の足首をもう片方の足首に重ねる。(どちらを上にするか迷ったら、両方試し、好みの方を選ぶとよい。)陰では、ストレッチを感じたいが、激しい不快感や痛みは感じたくはない。それを忘れないようにしよう。
アファメーション:私は自分の辿ってきた道を誇りに思います。
ポーズの出方:まず脚と胴体をマットの真ん中に戻す。膝を胸に抱える。反対側も同様に行う。
サポートのあるブリッジ
手順:仰向けから、腰幅で足の裏をマットの上に置く。足首を膝の下に位置させ、お尻を持ち上げ、腰の下にボルスターやブロック(低・中位)、もしくは枕を2つほど滑り入れる。仙骨がサポートされるように、ゆっくりと体を下ろしていく。両腕は手の平を上にして体に沿わせて下ろす。体重をプロップスに預ける。
バリエーション:プロップスの高さは自由に調整して、心地よさを見つける。あごが胸に引き込まれてしまう場合は、後頭部をマットに押し付けて、のどの開きを保つ。お尻を持ち上げず床に保ち、膝を曲げてホールドしてもよい。
アファメーション:私は自分自身を愛し、受け入れます。
ポーズの出方:プロップスを取り除き、お尻を地面まで下ろす。膝を胸に抱える。
サポートのある魚のポーズ
手順:ブロックを一番低い高さか、中間の高さにし、マットの短辺と平行に置く。高いほど胸が大きく開くので、強すぎないか注意深く選ぶ。2つ目のブロックを1つ目から手1つ分ほど後ろに置き、中間または一番高い高さにする。1つ目のブロックから手2つ分くらい前に座り、肩甲骨を背骨に寄せ、肩甲骨の真ん中から下の辺りを1つ目のブロックに下ろし、頭を2つ目のブロックに乗せる。両脚を長く伸ばし、両腕は手の平を上にして体に沿わせて下ろす。
バリエーション:陰ヨガは苦痛があってはいけないということを思い出そう。もし、ブロックの上でこのポーズを練習するのが心地よくなければ、ブランケットを丸め、1つ目のブロックの代わりにし、頭をマットに預ける。
アファメーション:私は可能性に対してオープンです。
ポーズの出方:膝を曲げ、コアの力を使って起き上がり、必要であれば手で頭を支える。または、片側に寝返りをする。マットからプロップスをどけ、ゆっくりとマットの上に仰向けになる。膝を胸に抱える。
仰向けのツイスト
手順:仰向けから、膝を曲げ足の裏を床につける。手首を肩の高さに合わせ、両腕をT字型に伸ばす。そのままか、肘を曲げて腕をカクタスにする。お尻を持ち上げ少し右に移動させ、膝を胸に引き寄せる。両膝を左側に倒す。あごを胸と同じ方向にしておくか、視線を膝の反対側に向ける。
バリエーション: ボルスター、枕をいくつか、もしくは丸めたブランケットを膝の下、または膝と膝の間に入れてもよい。右肩がマットから浮く場合は、サポートのために枕やブランケットをその下に入れてもよい。右腕を伸ばすと肩に痛みが出る場合は、右手は腰の上に置く。
アファメーション:私は〇〇(今日感謝を感じていることを何か探して選ぶ)に感謝しています。
ポーズの出方:膝を真ん中に戻し、お尻をマットの真ん中に位置させる。膝を胸に抱える。反対側も同じように行う。ここまで練習した自分に愛を送ろう。
シャヴァーサナ
手順:仰向けのまま、両脚をまっすぐ伸ばし、両腕を体の横に下ろす。
バリエーション:膝の下にボルスターを敷いてサポートしたり、暖かくするためにブランケットををかけるのもよいだろう。自分自身へのアファメーションを数回繰り返した後はそれも手放し、少なくとも5分間はリラックスしよう。
アファメーション:私は穏やかさの中にいます。
教えてくれたのは・・・ミシェル・フィンレイ
ミシェル・フィンレイは、イギリス・プリマスを拠点に活動するヨガの指導者。彼女の教えは解剖学に基づいた創造的なテーマで、楽しさとユーモアがちりばめられている。ミッシェルは、メンターシップを提供することで、新しいヨガの先生が自分の足場を見つける手助けをすることに情熱を注いでいる。また、音叉を使ったサウンドセラピーを実践しており、陰のクラスにもしばしばこの癒しの周波数を取り入れている。ミシェルの詳細や現在の活動は、IG @michellefinlayyoga または michellefinlayyoga.com でチェックできる。
ヨガジャーナルアメリカ版 / 「 A Yin Yoga Practice to Help You Through Difficult Times 」
AUTHOR
ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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