困難を乗り越えるのにヨガはどう役立つのか
「第二の矢」が苦しみを作り出す
こういう大きな問題が起きた時に、最も問題となってくるのは実はその出来事そのものではなくて、ほとんどの場合人の感情に関わる部分です。もちろん感染のリスクから生活スタイルを変化させないと行けないことや、家族が自宅にいて責任が増えることや、必要なものが品薄で買えないことなどによる不便さがあるのは現実です。しかしながら、この問題そのものよりも、それに対して色々と思い悩むことによる心のストレスの方が重要な問題となり得ます。
仏教では「第一の矢・第二の矢」という教えがあります。
人生には生きていく上で苦しみや困難を避けることは誰もできません。今回のような世界的なパンデミックや自然災害をはじめ、個人レベルでも離婚や家族間のトラブル、病気や死などの問題は避けて通ることはできません。仏教ではそれを「第一の矢」と呼んでいます。この「第一の矢」は誰にもコントロールすることはできません。
この「第一の矢」に射られると、私たちは鋭い痛みをおぼえます。ただし、この痛みは通常短い時間しか続きません。そしてその後の生活は何もなかったように進んでいくのが普通です。
その後に私たちを苦しめる始めるのが「第二の矢」です。「第一の矢」に射られたことに対する感情的な反応が「第二の矢」となり私たちに突き刺さります。それが長く続く苦しみとなり、ひどい時には一生涯苦しみ続ける可能性もあります。ヨガスートラではこれを「サンスカーラ」と呼んでいます。
「サンスカーラ」とは「私たちの潜在意識にある、傾向として存在している条件反射のパターン」のことです。「自分の考えのくせ」とも言えます。これは自分自身の過去の経験から作り出されているのものあれば、前世から引き継がれているものもあります。
パンデミックが作り出す「2本の矢」
このコロナのパンデミックの「第一の矢」は「感染して病気になってしまうこと」「失業」「生活スタイルの変化」など、感染症そのものに関することや、それに付随して起こっている不自由なことなどがあげられます。
では「第二の矢」は何でしょう?
自分の周りに起こっているそれ以外の全てことです。不安な気持ちや恐れ、経済的な不安や家族が家にいることで感じるストレス、高齢の両親の健康の心配など、全ての感情的なことが「第二の矢」と言えます。ただ、この第二の矢はコントロールすることが可能です。そしてそれにはヨガが大きな助けになり得ます。
「第一の矢」はヨガでどうにかすることは不可能ですが、「第二の矢」で起きている感情的な問題は最小限に食い止めることができます。
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