鉄不足を防ぐ!朝のトーストに足すだけで鉄分を補える食材とは?管理栄養士が解説
毎日しっかり寝ているはずなのに、朝から体が重い。ちょっと動いただけで息が切れる。そんな慢性的な疲労に悩まされていませんか?実は、その背景には鉄不足が隠れているかもしれません。忙しい朝でも、トーストにひと工夫するだけで鉄分を手軽に補給できる方法をご紹介します。
なぜ鉄不足になると疲れやすくなるの?
鉄は体内で酸素の運搬を担う、生命維持に欠かせないミネラルです。血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの中心的な成分が鉄で、呼吸で取り込まれた酸素を全身の組織や臓器へと運びます。鉄が不足するとヘモグロビンの量が十分に作られず、酸素の運搬能力が低下します。酸素は細胞がエネルギーを生み出す際に必要不可欠なため、酸素供給が不十分になるとだるさや疲れやすさとして自覚されやすくなります。特に女性は毎月の月経で血液とともに鉄も失われるため、鉄不足になりやすい傾向があります。
鉄には吸収されやすいタイプと吸収されにくいタイプがある
食材に含まれる鉄は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2つに分類されます。ヘム鉄は肉類や魚介類に多く含まれ、体への吸収率が15〜25%と高いのが特徴です。一方、非ヘム鉄は野菜類、豆類、海藻類など植物性の食品に含まれ、吸収率は2〜5%程度と低めですが、ビタミンCを含む食品と組み合わせることで吸収が高まりやすくなります。どちらか一方に偏らず、2種類の鉄をバランスよくを取り入れることが、健康的な鉄分補給のポイントです。
トーストに足すだけ!鉄分を補える食材
レバーペースト
レバーペースト大さじ1杯(約15g)には、製品にもよりますが目安として約1~2mgの鉄が含まれています。レバーにはヘム鉄が豊富で吸収率が高く、効率的に鉄分を補給できます。トーストに塗るだけで手軽に摂取でき、ビタミンAなどの脂溶性ビタミンも同時に摂れるのも利点です。
ピーナッツバター
ピーナッツバター大さじ1杯(約16g)には約0.3mgの鉄が含まれています。非ヘム鉄ですが、毎日続けやすく、タンパク質や良質な脂質も摂取できます。無糖タイプや油脂の少ないタイプを選ぶとさらにヘルシーです。
アボカド
アボカド半個(約70g)には約0.4mgの鉄が含まれています。スライスしてトーストにのせるだけで、おしゃれな朝食が完成します。鉄だけでなく、ビタミンEや食物繊維、カリウムなども摂れる点が魅力です。
鉄分の吸収をアップさせる食べ合わせ
ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を促進することが知られています。朝食にオレンジジュースやキウイ、イチゴなどのフルーツを添えることで、植物性食品に含まれる非ヘム鉄の吸収率が高まります。
また、肉や魚などの動物性タンパク質も非ヘム鉄の吸収を助けるため、トーストにチーズを加えたり、卵焼きやゆで卵を添えたりすると相乗効果が期待できます。注意したいのがコーヒーや紅茶で、これらに含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げます。食後30分〜1時間は空けてから飲むようにしましょう。
毎日続けることが大切
鉄不足の改善には継続的な摂取が重要です。体内に貯蔵されている鉄が減少している状態から回復するには、数週間から数ヶ月かかることがあります。一度にたくさん摂るのではなく、毎日コツコツと鉄分を補給することが、疲れにくい体づくりにつながります。トーストに塗ったりのせたりするだけなら、忙しい朝でも無理なく続けやすい方法です。自分の好みに合った食材を見つけて、習慣化していくことが鉄不足対策を続ける上で成功のカギになります。
慢性的な疲労感は、単なる睡眠不足だけが原因ではありません。鉄不足という隠れた要因を見逃さず、毎日の朝食で手軽に対策をしていきましょう。トーストにひと工夫加えるだけで、元気な一日のスタートを切りやすくなります。
参考文献
日本人の食事摂取基準(鉄)/厚生労働省
貧血と鉄欠乏について/厚生労働省
記事監修/亘美玲
管理栄養士。病院栄養士を7年経験後、食品会社で約15年間メディカルサプリメントや機能性表示食品の商品開発責任者として従事。2児の母で、自身の妊娠と出産、離乳食作りの経験から母子栄養の研究を重ね、産前産後ママの栄養サポート、栄養相談、料理教室、レシピ提案、執筆、栄養学講座の活動を行っている。離乳食や調理の基本についてSNSでも発信をしている。
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