【喘息の人に朗報!】 ビタミンAとDが肺機能を守り、「肺の老化」を遅らせることが米研究で判明
ビタミンAは目の健康、ビタミンDは骨の健康を支える栄養素として知られている。しかし近年では、どちらのビタミンも免疫機能の調節や炎症の抑制、組織の修復などに関わり、肺の健康を維持するうえでも重要な役割を担っていることが分かってきた。
血液中のビタミンAとビタミンDの濃度が高い喘息患者ほど肺の働きが良好
新たに医学誌『Thorax』に掲載された研究で、血液中のビタミンAとビタミンDの濃度が高い喘息患者ほど、肺の働きが良好であることが明らかになった。さらに、ビタミンDが多い人ほど、細胞レベルで進む「肺の老化」も緩やかだったという。年齢を重ねると肺の機能は少しずつ低下していくが、この研究は、ビタミンDが肺機能の維持だけでなく、肺を若々しく保つことにも関わっている可能性を示す注目の結果となった。
研究を行ったのは、米ハーバード大学病院系研究機関であるマス・ジェネラル・ブリガムの研究チーム。コスタリカで実施されている喘息研究に参加した子ども1165人と成人1041人、計2206人のデータを解析した。研究では、血液中のビタミンA・Dの濃度を測定するとともに、肺がどれくらい空気を吸ったり吐いたりできるかを示す呼吸機能を評価。さらに成人では、遺伝子の働きを調節する「エピジェネティクス」と呼ばれる仕組みも詳しく調べ、栄養状態と肺機能、そして細胞の老化との関係を分析した。
その結果、ビタミンAの濃度が高い人は、子どもでも大人でも肺機能が良好であることが確認された。年代を問わず同じ傾向が見られたことから、ビタミンAは生涯を通じて肺の健康を支える栄養素である可能性があるという。
ビタミンDが多い人は「肺年齢」が若い状態に保たれている
ビタミンDについては、さらに興味深い結果が得られた。血中ビタミンD濃度が30ng/mL以上の成人では、肺機能が良好だっただけでなく、細胞レベルで進む老化のスピードも遅いことが分かった。ここでいう「生物学的老化」とは、実際の年齢ではなく、細胞や組織がどれだけ老化しているかを示す指標のこと。今回の研究では、DNAの状態を調べたところ、ビタミンDが多い人ほど「肺年齢」が若い状態に保たれていることが示された。一方、小児ではビタミンDと肺機能とのはっきりした関係は確認されなかった。研究チームは、ビタミンDを測定できた子どもの人数が少なく、十分な解析ができなかったことが影響した可能性があるとしている。
ビタミンAとビタミンDは遺伝子の働きを整え、肺を守っている可能性も
今回の研究で注目されたのが、「エピジェネティクス」という仕組みだ。これは、DNAそのものを書き換えるのではなく、遺伝子のオン・オフを調節する仕組みのこと。食事や運動、睡眠など日々の生活習慣の影響を受けることが知られ、近年は老化や生活習慣病との関係でも注目されている。
解析の結果、ビタミンAとビタミンDはいずれも、DNAメチル化やマイクロRNAと呼ばれる仕組みを通じて、肺機能に影響を与えていることが示された。特に、両ビタミンに共通して関わっていた248種類の遺伝子は、炎症や免疫、肺の働きに深く関係していた。また、炎症をコントロールする「IRF5」という遺伝子では、ビタミン濃度が高い人ほどDNAの状態が変化しており、それが肺機能の維持や細胞の老化を遅らせることと関係していることも分かった。研究チームは、ビタミンAとDは炎症を抑えたり肺組織の修復を助けたりするだけでなく、遺伝子の働きを整えることで肺の健康を支えていると考えている。
肺を健やかに保つために今日からできること
肺機能は加齢とともに少しずつ低下し、その状態は健康寿命や死亡リスクとも深く関わることが知られている。今回の研究は、ビタミンAとビタミンDが喘息患者の肺機能だけでなく、細胞レベルで進む「肺の老化」とも関連している可能性を示した点で注目される。なかでもビタミンDは、肺機能の維持に加え、生物学的な肺の老化を緩やかにする可能性が示され、「肺を若く保つ栄養素」として今後さらに研究が進むことが期待される。研究チームは今後、遺伝的な違いやエピジェネティクスとの関連をさらに詳しく解析する予定だ。栄養、遺伝子、老化の関係がより明らかになれば、一人ひとりの体質に合わせた栄養管理や、喘息をはじめとする慢性呼吸器疾患の新たな予防・治療法の開発につながる可能性がある。
肺の健康を守るためには、栄養バランスの取れた食事を基本に、適度な運動や禁煙、十分な睡眠など、日々の生活習慣を整えることが重要だ。そのうえで、魚やきのこ類、卵、緑黄色野菜など、ビタミンAやビタミンDを含む食品を意識して取り入れることが、将来の健康につながるかもしれない。
出典:
The vitamins that could boost lung function, according to scientists
Vitamins A and D may improve lung health in people with asthma, study finds
Vitamins A and D may support healthier lungs in asthma patients
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