「なんか息苦しい…」更年期と"隠れ呼吸器トラブル"の意外な関係とは|医師が解説
更年期の「なんとなく息苦しい」は、別の病気が隠れている場合もあります。医師が解説します。
なんだか息苦しい…更年期で増える“気のせい”じゃないサイン
「深呼吸してもスッとしない」「胸が詰まる感じが続く」──更年期の女性からよく聞く訴えです。
ホルモン(特にエストロゲン)が変動すると、自律神経のバランスが崩れて呼吸のコントロールが乱れやすくなります。
交感神経が優位になると浅い速い呼吸(過換気)になり、めまいや手足のしびれ、不安感を伴うことも。
一方で、更年期世代は同時に心血管リスクや肺の基礎疾患(喘息の再燃、COPDの進行、睡眠時無呼吸)の出現・悪化が起きやすく、息苦しさの原因は「ただの更年期症状」だけではないことが多いのがポイントです。
自分で「更年期だから仕方ない」と放置せず、症状の出方を観察することが大事です。
実際どんなケースがある?身近な具体例で見てみよう
Aさん(50歳・パート):
以前はなかったのに、最近買い物の坂で息切れがひどくなった。日中に動悸や胸の違和感もあり、検査で軽度の貧血と睡眠時無呼吸が見つかった。貧血の治療と睡眠改善で楽になった。
Bさん(48歳・会社員):
更年期のホットフラッシュと同時に「息が吸いづらい」と感じるように。ストレスがピークのときは過換気が起きて、手足がしびれる。呼吸法の指導と認知行動で不安が減り、呼吸も落ち着いた。
Cさん(55歳・喫煙歴あり):
喉の違和感と慢性的な咳、最近は階段で息が切れる。肺機能検査でCOPDが判明し、吸入薬の開始で日常生活が楽になった。
これらは典型例で、原因は単独ではなく「貧血+睡眠障害」「更年期の自律神経乱れ+不安」「加齢による肺・心臓の変化」など複合的に絡むことが多いです。
今日からできるセルフケアと、医療でチェックすべきポイント
まずやってみること(即効性は人それぞれ)
- 腹式(横隔膜)呼吸を練習する →吸うときは鼻、吐くときは口からゆっくり。4秒吸って6秒吐くペースが目安。
- 日常の運動量を少しずつ増やす(無理は禁物)→散歩や軽い階段上りで心肺機能の底上げを。
- 睡眠の質を整える(体重管理や寝具、就寝前のスマホ制限)→睡眠時無呼吸は息苦しさの大きな原因になります。
- カフェイン・アルコール・喫煙は呼吸や不安を悪化させるので見直しを。
受診で相談すべき検査・問診ポイント
☑︎ 血液検査(貧血、甲状腺、炎症マーカー)で全身的原因をチェック。
☑︎ 呼吸機能検査(スパイロメトリー)や胸部レントゲンで肺の状態を確認。
☑︎ 睡眠検査(簡易検査含む)で睡眠時無呼吸の有無を調べる。
☑︎ 心電図・心エコーや運動負荷試験で心臓由来の息切れを除外。
☑︎ 精神面の評価(不安障害やパニック発作)は重要。必要なら心療内科や精神科へ。
緊急性のあるサイン(すぐ救急を)
激しい胸痛、意識障害、唇や指先の青白さ・チアノーゼ、急激な呼吸困難や失神などは命に関わる場合があるため速やかに救急を受診してください。
まとめ
更年期の「なんとなく息苦しい」は、自律神経の乱れが関係することが多い一方で、貧血、睡眠時無呼吸、喘息やCOPD、心臓疾患など別の病気が隠れている場合もあります。
まずは日々の呼吸パターンや症状のきっかけ(運動時、夜間、ストレス時など)をメモして、かかりつけ医に相談しましょう。
簡単な呼吸法や生活改善で楽になることも多いですが、急に悪化したり胸痛を伴う場合はすぐに受診してくださいね。
ゆっくり深呼吸するつもりで、まず一歩を踏み出してみてください。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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