母の更年期、子の反抗期。どちらも“ホルモン”のせいだった?更年期と反抗期の戦いをどうやり過ごすか

母の更年期、子の反抗期。どちらも“ホルモン”のせいだった?更年期と反抗期の戦いをどうやり過ごすか
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高本玲代
高本玲代
2025-11-16

更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。

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母の更年期、子の反抗期。どちらも“ホルモン”のせいだった?

「最近、母と娘のバトルが絶えません」という話、よく聞きませんか?母が更年期、娘が思春期。まるでホルモンとホルモンの正面衝突。でも、実はどちらも“性格”ではなく、体の仕組みの問題です。母はエストロゲン(女性ホルモン)の急激な減少で自律神経が乱れ、娘はエストロゲンの急上昇で感情がジェットコースター状態。要するに、どちらも脳内が「ただいま大混乱中」。言葉で冷静にしようとしても、ホルモンが先に感情スイッチを押してしまうんです。

イライラは“悪”じゃない。それは体の自然反応

「もう限界!」「母親失格かも」「娘がまったく理解してくれない」。そう思う日があるかもしれません。でも、まずは深呼吸してこの一言を思い出してください。イライラするのは自然なこと。あなたの中の体が、頑張っている証拠。更年期のイライラは、ホルモン変化により脳内のセロトニンやドーパミンが減少しているから。心の安定を保つ“脳のバランス調整係”が一時的に不在なんです。一方の反抗期は、自我が育つための自然な通過儀礼。「親離れ」を始める本能の働きで、本人も自分を持て余しています。つまり、どちらも“体が成長の節目を迎えている”ということ。悪いのは誰でもなく、ホルモン。

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「ホルモンが喋っているな」と思えばいい

感情がぶつかりそうな瞬間、こうつぶやいてください。「あ、今ホルモンがしゃべってるな」。まるで家の中にもう一人、勝手にしゃべり出す“ホルモンさん”がいると想像してみましょう。娘が「ママ、うるさい!何もわかってない!」と言ったら、「はいはい、ホルモンが大声で主張してますね」と心の中で実況中継。自分が「なんでこんなことで腹が立つの?」と感じたら、「出た、ホルモンの突発的行動」と笑ってあげる。“ホルモンのせいにする”のは、逃げではありません。むしろ、感情にのまれないための上級テクニック。人間関係を守る、ユーモアの防波堤なんです。

「今はこういう時期」と思うだけで、心がゆるむ

反抗期も更年期も、永遠には続きません。どちらも“体の季節”であり、“性格”ではありません。だから、「今はこういう時期なんだ」と思うだけで、不思議と気持ちが軽くなります。娘の反発にイラッとしたら:「成長してる証拠だな」。自分がイライラしていたら:「体ががんばってるな」。ケンカになりそうなとき:「今日はホルモン会議中だから後日にしよう」。完璧な親子関係を目指すよりも、「お互いに荒波の中を泳いでるんだな」と認め合うことが大切です。

「距離を置く」は逃げじゃない、思いやり

感情の波が大きい時期は、どちらかが落ち着くまで“間”を置くのが一番。会話を減らす/それぞれの時間をもつ/メッセージだけでやりとりする。たとえば、顔を合わせるとケンカになるなら、「夕飯、冷蔵庫に入れておいたよ」とメモを残すだけでいいんです。大事なのは「関係を壊さないこと」。沈黙もまた、優しさの一形態です。

「クスッ」と笑える距離感をもとう

更年期と反抗期の家には、独特の“緊張感”が漂います。でも、そこに「笑い」が少し入るだけで、空気が一変します。娘:「ママ、また小言?もう聞きたくない!」/母:「あ、ごめん。今、ホルモンさんが口を挟んだみたい」。母:「あなた最近、反抗的ね」/娘:「ママだってホルモン暴走してるじゃん」。こういう“ホルモン漫才”ができたらもう勝ちです。笑いは、脳内にエンドルフィンという幸福ホルモンを出してくれます。イライラをやわらげる、最高のクスリ。

「自分の昔の反抗期」を親に聞いてみよう

もし今、子どもとの関係に悩んでいるなら、あなた自身の親に「私が反抗期のときって、どんなだった?」と聞いてみてください。きっとこんな返事が返ってくるでしょう。「そりゃあ大変だったよ。何を言ってもムッとしてた」「でも、いつの間にか笑い話になったね」。その瞬間、あなたは気づきます。“あの頃の私”も、“今の子ども”と同じように揺れていたことに。自分の過去を思い出すと、子どもを見る目が少し優しくなります。怒りよりも、共感が増えるんです。そして、あなたの親もきっと思うでしょう。「こうして娘が今、母として悩んでるんだな」と。それが世代を超えた優しいリレーです。

ホルモンの嵐は、やがて静まる

更年期の波は5〜10年、反抗期は2〜3年。長く感じても、どちらも確実に終わります。過ぎ去った後には、静かな時間と、新しい関係が待っています。母は「これからどう生きよう」を考える時期。子は「自分らしさ」を模索する時期。実は、どちらも“自立”の途中なんです。だからこそ、ぶつかるのは自然。同じ家の中で、二つの人生が再構築されているだけ。完璧を求めず、ホルモンの嵐を「人生のドラマ」と思って。いつかその嵐が過ぎた時、「あの時期も悪くなかったね」と笑える日がきっと来ます。

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