更年期症状が出にくい人がいる？自律神経失調症との違いは？ #更年期100の質問

お話を伺ったのは…沢岻美奈子医師
医療法人社団沢岻美奈子女性医療クリニック理事長。産婦人科専門医・女性ヘルスケア認定医。
更年期で悩む女性を元気にしたい！という思いで神戸市内の婦人科クリニック「沢岻美奈子女性医療クリニック」、恵比寿のTakushi clinicで診療を行っている。幅広い世代の女性のかかりつけ婦人科医として、クリニックを受診する患者さんのリアルな声をインスタグラム「375taxi」やpodcast「女性と更年期の話」、YouTubeで「8時だヨ　更年期全員集合」でも配信している。

Q. 更年期症状の中には、医学的に解明されていない部分もあるのですか？

「あると思います。50歳前後の人が何かしら不調があって病院に行って検査して異常無しとなると、だいたい更年期症状と言われてしまうところはありますよね。

ホットフラッシュとか体の症状は比較的わかりやすい更年期症状ですし、原因も明確なものが多いんです。でもなんかモヤモヤするとか不安などは、もちろん更年期症状としてもありますけれど、その時の環境とか色々な要因があって、実は心療内科的な症状だったという場合もあります。

ちなみにホットフラッシュも、若い世代に起こることはあるのですが、圧倒的に更年期世代に多く起こることから、更年期の代表的な症状として扱われています」

Q.様々な更年期症状の中には、自律神経失調症と似たものが多くありますが、更年期症状と自律神経失調症との違いは？

「どちらも似ていますが、誰にでもある自律神経の乱れが自律神経失調症です。その中でも特に更年期に女性ホルモンの減少から自律神経が揺らぎ、それにより起こる症状を更年期症状と呼んでいます。

女性にとって大切な女性ホルモンは、交感神経や副交感神経といった自律神経のバランスをとる役割を果たしています。その女性ホルモンが減ってくるのが更年期ですから、自律神経の揺らぎが更年期に増えるのです。女性はそもそも更年期よりも前に、月経があるので月のリズムで自律神経が揺らぎますよね。それもあって、女性ホルモンより男性ホルモンの方が揺らぎが少ないと言われています。

男性には月のリズムがありませんが、50歳ぐらいでテストステロンがなくなってくると元気がでない、鬱っぽくなったりするという男性更年期症状が出る場合もあります」

Q. 人によって更年期症状が重たい人、ほとんど無い人などその程度は様々です。更年期症状が出にくい人、起こりやすい人それぞれの特徴は？

「代表的な更年期の症状であるホットフラッシュやめまい、動悸などは血管運動症状というんですが、これらは普段から汗をかく人、運動する人には少ないと思います。もちろんないとはいいませんけど、生理痛と一緒で若い時も運動している方が生理痛が軽かったりしますよね。そのため中高年も心拍を上げる必要はないので、ヨガなどの有酸素運動をやっている方が、症状は出ても少なくて済むようですね。

更年期症状がメンタルに来ると言う人は、元々考えやすいとか、不安を抱えやすい人に多いと思います。自分だけが我慢してしまう、周りのことを気にして自分は二の次になってしまう、そんな性格的なことがメンタル症状と関わっているのではないでしょうか。

女性ホルモンは更年期になるとみんな必ず減ってくるので、女性性に対する強い重みがある人も、症状がきついかもしれません。女性はこうあるべき、若くてツヤツヤしているのがいい、みたいに思っている人にとっては更年期は衰退でしかないですよね。女性性がなくなる＝自分の魅力がなくなるって思ってしまう人は辛いと思います。本当はそう考える必要はないんですけどね。

ひとついえるのは、おそらくヨガをする人が増えたら、更年期で苦しむ人は減る気がします。それぞれのヨガマインドを持ち、自分のペースに合わせてできるのがヨガの魅力。負荷をかけたい人はかけて、自分の可動域を調整して、そんなふうに自分で自分の体をコントロールしていることを実感しやすいんですよね。それがフィジカルにおいてもメンタルでも、更年期症状に良い影響を与えるように思えます」