更年期で辛い時にやってはいけない9つのこと|最新の医学研究や専門家の見解からわかったこと
更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。
更年期は、心も体も大きな変化を迎える時期です。
「なんだか調子が出ない」「昨日まで平気だったのに…」そんな日が増えると、つい自分を責めたり、無理をしてしまいがちですよね。
でも、最新の医学研究や専門家の見解を見てみると、実は「やらないほうがいいこと」がはっきりとあります。ここでは、あなたの気持ちに寄り添いながら、科学的な根拠を添えてご紹介します。
1. 不調を「気のせい」と我慢し続けること
「まだ頑張れるはず」と気合いで乗り切ろうとする。でも、それは体が出している大事なサインを無視することになります。更年期の睡眠障害や気分の落ち込みは決して珍しいことではなく、放置するとストレスや生活の質の低下につながります。
代わりにできること
体調を記録したり、思い切って専門医に相談してみましょう。「弱さ」ではなく「体の声」を聞くこと、それが第一歩です。
2. カフェインやアルコールに頼ってしまうこと
コーヒーで眠気を飛ばしたり、お酒で気分を楽にしたり…わかります。でも実は逆効果。カフェインは睡眠を浅くし、アルコールは一時的に寝つきを良くしても夜中に目が覚めやすくなるのです。
代わりにできること
夜はハーブティーやノンカフェイン飲料を。小さな置き換えで、翌朝の目覚めが変わってきます。
3. 睡眠不足やリズムの乱れを軽く考えること
「ちょっと寝不足くらい大丈夫」…その積み重ねが、心身を揺さぶります。更年期には「途中で何度も目が覚める」といった睡眠障害が増え、日中の集中力や気分に直結します。
代わりにできること
寝る・起きる時間を一定にして、スマホは寝る1時間前に手放す。小さな習慣の工夫が、眠りを守ってくれます。
4. 極端なダイエットや断食
「痩せたい」気持ちが強すぎて、食事を減らしすぎると、骨や筋肉が弱くなり、逆に不調が悪化してしまいます。研究でも、急激な体重減少は骨量の低下と関係することが示されています。
代わりにできること
「減らす」より「足す」発想を。タンパク質、カルシウム、ビタミンDを意識的に取り入れて、骨も筋肉も守りましょう。
5. 体を動かさないこと
運動不足は、骨も筋肉も心も弱らせてしまいます。一方で、無理のない運動は更年期の味方。実際、骨密度や心血管の健康に良い影響を与えることが報告されています。
代わりにできること
「頑張る運動」ではなく「続けられる運動」を。週150分のウォーキングと、週2回の軽い筋トレを目安に。ただし、最初は10分のウォーキングを続けることから始めてください。
6. 根拠のない健康法やサプリに飛びつくこと
SNSやネットには「これで更年期が治る!」という情報があふれています。でも科学的な裏付けがないものが多く、中には害になるケースも。北米更年期学会(NAMS)は、血管運動神経症状の治療について、処方薬や一部の非ホルモン療法の有効性を示しつつ、多くの一般サプリには十分な根拠がないとしています。
代わりにできること
情報の出どころを確認する習慣を。サプリを始めるときは、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
7. 感情を抑え込みすぎること
「泣いてはいけない」「弱音はダメ」と感情を押し込めると、体はストレス反応を強めてしまいます。研究でも、感情を抑える「表出抑制」は交感神経を高め、負担になることが示されています。
代わりにできること
日記に書く、信頼できる人に話す。感情を外に出すことは弱さではなく、心のセルフケアです。
8. 検診を後回しにすること
乳がんや骨粗鬆症は、更年期世代からリスクが高まります。米国予防医学作業部会(USPSTF)は40歳から74歳女性への隔年マンモグラフィを推奨。骨粗鬆症は65歳以上、またはリスクの高い閉経後女性に検査が推奨されています。
代わりにできること
「忙しいから後で」ではなく、「未来を守る時間」と考えて。年に一度、自分の体をチェックする習慣を。
9. 「更年期だから仕方ない」と諦めること
更年期の症状は「年齢だから」と片づけられがち。でも、NICE(英国国立医療技術評価機構)ガイドラインは、生活改善やホルモン療法、非ホルモン療法など、多くの有効な手段があることを示しています。
代わりにできること
「できることはある」と知るだけで、気持ちは軽くなります。自分に合う方法を少しずつ探していきましょう。
おわりに
更年期は「終わり」ではなく、新しいステージの始まりです。
大切なのは、自分の体と心を「敵」とせず、「味方」として扱うこと。
科学的に避けるべきことを知り、小さな工夫を積み重ねるだけで、日々の過ごし方は大きく変わります。
あなたは一人ではありません。体の声を聞きながら、安心できる方法を選んでいきましょう。
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