感染症の重症化を防ぐ?ビタミンD濃度と入院リスクの相関|研究結果が示唆

感染症の重症化を防ぐ?ビタミンD濃度と入院リスクの相関|研究結果が示唆
Adobe Stock
山口華恵
山口華恵
2026-03-02

寒さと乾燥が続く冬は、風邪や副鼻腔炎、扁桃炎など呼吸器の不調が増えやすい季節。マスクや手洗いを心がけていても、「毎年この時期は体調を崩しやすい」と感じている人も多いのではないだろうか。そんな冬の健康管理に関わる栄養素として、いま改めて注目されているのがビタミンDだ。

広告

ビタミンD濃度が高いほど入院リスク低下の傾向

英国サリー大学の研究チームは、40〜69歳の成人およそ3万6000人の健康データを分析し、血液中のビタミンD濃度と呼吸器感染症による入院歴の関連を検討した。その結果、血中ビタミンD濃度が75nmol/L以上の適正レベルにある人は、15nmol/L未満と極めて低い人に比べ、呼吸器感染症による入院リスクが最大33%低い可能性が示された。さらに、ビタミンD濃度が10nmol/L高くなるごとに入院率がおよそ4%低下する傾向も確認された。対象には風邪や副鼻腔炎、扁桃炎などの上気道感染症のほか、肺炎や気管支炎なども含まれている。

Adobe Stock
Adobe Stock

ビタミンDは骨を丈夫にするだけでなく、免疫細胞や粘膜の防御に関与

ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にする栄養素として知られてきたが、近年では免疫機能との関係にも関心が集まっている。近年は免疫機能を調整する働きも注目されている。研究者によると、免疫細胞の働きを整え、抗菌・抗ウイルス作用を持つ物質の生成を促す可能性があるという。また、炎症反応を過剰に起こさないよう調整し、呼吸器の粘膜バリア機能の維持にも関与すると考えられている。こうした作用が、冬に増えやすい呼吸器感染症への抵抗力に関係している可能性がある。

冬はビタミンDの救急源である日照不足で低下しやすい 

成人のビタミンD摂取量の目安は1日10μg(約400IU)。主な供給源は日光だが、冬は日照時間が短く、屋内で過ごす時間も増えるため不足しやすいといわれている。前腕や手に週3〜4回、5〜15分ほど日光を浴びることが一つの目安だが、地域や季節、年齢、肌の色によって必要量は変わる。世界では約10億人がビタミンD不足と推定されている。

食事では、サーモンやサバ、イワシなどの脂の多い魚、卵黄、ビタミンD強化乳製品、紫外線照射されたキノコなどが代表的な供給源となる。食事だけで不足する場合は、医師や管理栄養士の助言のもとでサプリメントを取り入れる方法もあるが、過剰摂取には注意が必要だ。一方、今回の研究は観察研究であり、ビタミンDを摂取すれば感染症を完全に防げると証明したものではない。免疫機能を整えるためには、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動、基本的な感染対策など、日常生活全体を整えることが重要とされている。まずは冬の体調管理のひとつとして、自分のビタミンD状態を意識してみることも役立ちそうだ。

Adobe Stock
Adobe Stock

出典:

Scientists Say This Supplement May Help Protect You From the Flu

Low vitamin D may increase respiratory infection risk by as much as 33%

A deficiency in this key vitamin can spike the risk of respiratory infections

広告

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

Adobe Stock
Adobe Stock