「ヨガを通して予防医学を広げたい」|中村尚人さんの転身ストーリー

Shoko Matsuhashi

「ヨガを通して予防医学を広げたい」|中村尚人さんの転身ストーリー

生徒さんから圧倒的な支持を集め、メディアやイベントでもひっぱりだこのヨガ講師たち。そんな彼らに共通しているのは、「セカンドキャリア」としてヨガ講師を選んでいるということ。彼らの転身までの背景を知ることは、「どうしてヨガ講師として成功できたのか」に結びついているに違いない、そんな思いからスタートした企画。異業種からヨガ講師へ転身した彼らの、決意、行動、思いから、「本当に良いティーチャーとは」という講師の素質にも迫ります。

♯CASE6「理学療法士」からヨガ講師への転身ストーリー

理学療法士の経験をもとにヨガ講師として活躍する一方、様々なビジネスを展開し経営者としても成功を収めてきた中村尚人先生。体の専門家というキャリアをどう活かして、ヨガ界で唯一無二の存在になったのでしょうか。そして、予防医学を広めて社会に貢献したいという思いを現実にするために起こした行動とは? 強みを伸ばしてオンリーワンなヨガ講師になるための戦略的思考に迫ります。

――ヨガ講師になる前は、どんな職業をされていたのですか? また、ヨガに出会ったきっかけを教えてください。

以前は医療・介護の分野で理学療法士として働き、大学病院、クリニック、老人保健施設、そして訪問リハビリで臨床経験を積んできました。患者さんの中には、心の病気が原因で体に外傷を負った人も多くいて、リハビリで体の機能は回復できてもフィジカルセラピストである僕は心にまで踏み込めない。そこにフラストレーションを抱えていました。そもそもどうして病気になる人が後を絶たないのか疑問に思い、病気にならない体を作るための「予防医学」の必要性に気付いたんです。それを実現するには、医療・介護の現場にいてはダメだと思い、スパッと踏ん切りを付けました。次々とやってくる患者さんにリハビリをこなすような感覚が芽生え、もどかしさを覚えていた時期でもあり、だからこそ予防医学に着眼できたわけで、理学療法士としての12年間はとても有意義だったと感じています。

中村尚人
Photo by Shoko Matsuhashi

ヨガを始めたのは、理学療法士をしているときです。僕は高校生から合気道を続けていて、クリニック転勤を機に八王子に引っ越してからいい道場に出会えず、体を動かす機会が減っていました。そんなとき、友人に誘われて始めたのがヨガでした。何事もとことん極めたい性格なので理学療法士の傍ら資格を取り、すでに週末だけヨガを教えていたんです。ヨガで共鳴したのは、体と心をわけない考え方。僕自身もヨガで体だけでなく心が軽くなる感覚を実感し、さらに「身体心理学」の提唱者、春木豊先生との出会いが大きかったです。著書にある『心は体から生まれる』という一節を読み、ヨガの考え方は間違っていないと確信。「体の専門家である僕が伝えたいのは、体から心に働きかけ、心身共に健康になれるのがヨガなんだ」という思いを胸に、ヨガを予防医学に役立てようと決めました。

中村尚人
前職では、大学病院、クリニック、老人介護施設、訪問リハビリで医療・介護に従事

――ヨガを予防医学に役立てようと決意してから、具体的にどんな行動を起こされたのですか?

理学療法士を辞めて、まずは東京・八王子にヨガ・ピラティススタジオ「タクトエイト」をオープンしました。でも、予防医学の普及は到底一人では成し得ません。「仲間」を増やすため、セミナーなどを通して運動指導者に病気予防の必要性を啓蒙する予防運動研究会を設立しました。そして、僕の名前が世の中に広がったきっかけは、「ヨガ解剖学」の講座。当時は体の仕組みを理解して安全にアーサナを行う概念がなく、講師によってアーサナの指導法が違い、ヨガを深めるほど生徒に迷いが生じていたんです。そこで「解剖学に基づく体の使い方」を教え始めたところ、個人で開催していた解剖学の講座がアンダーザライト ヨガスクール(UTL)の目に留まり、指導者養成コースでヨガ解剖学の講座を担当することに。それがきっかけで解剖学×ヨガ分野で僕の認知度が上がり、メディアやイベント出演の機会が増えていきました。

中村尚人
スタジオの生徒さんと記念撮影。手にしているのは、中村先生が開発した「フォームローラー」
中村尚人
これまでにヨガのビッグイベントにも多数出演。写真は昨年開催された「YOGA JAPAN」の一コマ

――ビックイベントの出演など多方面で活躍される中村先生ですが、ご自身の経験を踏まえ、ヨガ講師として幅広く活躍する秘訣は何だと思いますか?

自分らしさを確立するという部分では、無から有を生もうとせず「得意分野の掛け算」をするのがいいと思います。僕が前職の理学療法士のキャリアとヨガを掛け合わせたように、ファーストキャリアを存分に生かすべき。他者と比べて自分にないものを追い求めるより、これまで経験した中で身に付けた知識と経験をベースに自分らしさをいかに伸ばすかが重要なのでは。そのためには、前職で誰もが納得する結果を残そうと努力し、実績を積んだ人がヨガをやるとかならずオンリーワンの存在になれると思いますよ。

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Photo by Shoko Matsuhashi

Text by Ai Kitabayashi
Photos by Shoko Matsuhashi

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