『塩分のとりすぎ』が花粉症を悪化?|くしゃみ・鼻づまりの原因改善に食生活の見直しも効果ありの可能性
春になると、くしゃみや鼻づまり、目のかゆみに悩まされる人は少なくない。いわゆる花粉症は多くの人にとって季節の“当たり前の不調”になっているが、その症状の重さには意外な要因が関係している可能性が示された。
塩分摂取量が多い人ほど鼻づまりなどの症状も強くなる傾向
カナダと中国の研究チームは、食事中の塩分(ナトリウム)の摂取量と、アレルギー性鼻炎の症状との関係を調べ、その結果を科学誌『Science of Food』に報告した。研究では、アレルギー性鼻炎の症状を持つ18〜65歳の男女51人を対象に、24時間尿中のナトリウム量を測定し、それを日常的な塩分摂取量の目安として用いた。そのうえで、塩分の摂取量と鼻症状の強さ、さらに血液中のIgE抗体のレベルとの関連が分析された。IgE抗体は、アレルギー反応に深く関わる物質で、この数値が高いほど免疫が過敏に反応している状態を示す。解析の結果、塩分摂取量が多い人ほどIgEの値が高く、鼻づまりなどの症状も強くなる傾向が見られた。特に鼻づまりの悪化は、睡眠や日常生活の質に直結するため、見過ごせない影響だ。
人間で見られた同じ傾向は、動物でもみられた
この関係の仕組みを詳しく調べるため、研究チームはマウスを使った実験を行った。マウスを通常食、低塩食、高塩食の3つのグループに分け、それぞれにアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を投与した。その結果、高塩食のグループでは、アレルギー反応に関わるIgE抗体が増えるだけでなく、体内の炎症も強まり、鼻の症状も悪化していた。さらに、腸の中にいる細菌のバランスにも変化が見られ、高塩食では体に良い働きをする善玉菌が減っていた。こうした結果から、塩分の多い食事は免疫の働きを過剰にし、同時に腸内環境も乱すことで、炎症やアレルギー症状を強めている可能性があると考えられる。腸と免疫は深くつながっているため、そのバランスが崩れることが症状の悪化につながるとみられている。
注目すべき点として、高塩分食から通常の食事に戻したマウスでは、鼻症状や炎症の改善が見られた。ただし、完全に元の状態まで回復したわけではなかった。一部では、免疫系に“記憶のような変化”が残っている可能性も示唆されている。つまり、食習慣の影響は一時的なものにとどまらず、体の免疫反応そのものを長期的に変化させる可能性がある。
現代の食生活に潜む塩分過多
塩分は生命維持に必須の栄養素である一方、現代の食生活では過剰摂取が起こりやすい構造を持つ。加工食品、外食、惣菜に依存した食習慣は、知らぬ間にナトリウム摂取量を押し上げる要因となる。結果として、多くの人が推奨量を超過している状況が常態化している。
花粉症を“内側から”見直すという発想
今回の研究は、花粉症を「花粉が原因で起きる反応」としてだけ捉える考え方に加えて、体の内側の状態も症状の強さに関わっている可能性を示している。特に食事の内容や腸内環境のバランスが、免疫の働き方に影響し、結果として症状の出方にも差が生まれる可能性があるという点が注目される。つまり、薬で症状を抑えたり、花粉をできるだけ避けたりする対策だけでなく、日々の食べ方や生活習慣そのものが、体の反応の土台をつくっている可能性があるということになる。花粉症対策を考えるうえで、こうした“体の中から整える視点”も重要と言えるだろう。
出典:
Your Diet Could Be Making Your Allergies Worse, New Study Suggests
This Unexpected Food May Be Fueling Your Nasal Allergy Symptoms, Study Shows
Are You Adding Too Much Salt? New Study Identifies Who’s Most at Risk
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