【短期間のデジタルデトックスで10年分のダメージ回復?】科学が示す集中力の回復法とは
スマートフォンから短期間離れるだけでも、変化が生まれることが研究で示された。
新たな研究では、スマートフォンのインターネットの利用を止めると、わずか2週間で気分や精神的健康状態、そして持続的な注意力の改善が見られた。
スマートフォンのネット遮断で見えた変化
この研究では、参加者は2週間にわたりスマートフォンのインターネット接続を遮断した。通話やメッセージの利用は可能で、パソコンなど他の端末からはインターネットにアクセスできた。結果、参加者の平均オンライン時間は314分から161分に減少し、1日のスクリーンタイムが大幅に減少することが示された。2週間の終わりには気分や持続的な注意力、精神的な健康状態の改善が見られた。また、2週間のデトックスを完全に守れなかった参加者においても改善が見られた。
「必ずしもずっと制限し続ける必要はない」「部分的なデジタルデトックスでも、数日間であっても効果があるようだ」と、研究の共著者であるジョージタウン大学心理学准教授コスタディン・クシュレフ氏は話している。研究者らは、スマートフォンの利用はパソコンよりも強迫的で無意識になりやすく、他の活動を中断させやすいと説明している。
行動と睡眠に現れた変化
参加者はオンライン時間が減ったことで対面での交流や運動、読書、趣味、屋外活動により多くの時間を使うようになった。こうした変化によって気分の面でも改善が見られた。注意が途切れることが減り、睡眠や運動、人との交流につながる安定した時間が増えたためだ。1晩あたりの睡眠時間は約20分増えた。一方で通話やメッセージの利用はほとんど変わらず、問題はコミュニケーションそのものではないことが示された。単にスマートフォンの利用時間が減ったからというよりも、空いた時間に繰り返していた確認行動が減ったことによるとみられる。
完全に遮断できなくても前向きな結果
スマートフォンのインターネットを使わない状態を2週間続けただけで、持続的な注意力、つまり一定時間集中し続ける力が大きく改善した。絶え間ない通知は注意を何度も切り替える状態を生みやすく、こうした切り替えが減ることでその負担が和らぐ可能性がある。自制心の高まりも確認され、参加者は衝動に振り回されにくくなったと感じていた。コンピューターを使ったテストでは、加齢による低下が約10年分改善したのと同程度の変化が見られた。この大きな改善は、スマートフォンの使い方の習慣が、実際に触っていない時間にも注意力に影響を残している可能性を示している。
スマートフォンは仕事の連絡や銀行取引などにも使われており、完全に使わない状態を続けるのは難しく、2週間の取り組みを完全に実行できた人は25.5%にとどまった。それでも、参加者の90.7%に少なくとも1つの項目で改善が見られた。より厳密に取り組んだ人ほど改善の度合いは大きい傾向にあったが、完全ではない形で利用を減らした人でも良い方向への変化が見られた。この結果はデジタルデトックスを厳格に行うものとしてではなく、実際に続けられる習慣として捉え直す必要性を示している。
スクリーンタイムよりも関わり方が影響か
別の研究では、ソーシャルメディアを1週間控えた18歳から24歳の参加者において、不安が16.1%、抑うつが24.8%減少した。この研究ではアプリの利用状況やスマートフォンの使用状況を追跡し、参加者の行動と感じ方の変化を調べた。不眠も減少が見られたが、スクリーンタイムはほとんど変わらず、自宅で過ごす時間もわずかな増加にとどまった。スクリーンタイムがほとんど変わらない中でも改善が見られたことから、デトックスの効果はスクリーンタイムそのものよりも、デジタルとの関わり方の変化による可能性が示された。この研究では、使用時間の総量よりも、強くのめり込んだり、感情に左右されたりする使い方のほうがストレスと強く結びついていた。
無理なく変えるスマホ習慣
すべての通知が有害というわけでもなく、すべてのスクリーンタイムが同等に悪いわけでもない。また、いずれの研究も期間は1週間から2週間と短く、参加者も一般の人全体を代表しているとは限らない。こうした点を踏まえると、結果は前向きではあるものの限定的なものにとどまる。利用を絞ることは一定の効果が期待できるが、すべての人に当てはまる方法ではない。それでもやはり、これらの研究はスマートフォンの使い方が睡眠や気分、集中力に影響する可能性を示している。
スマートフォンを寝室の外で充電したり、アプリに時間制限を設けたりすると、すぐに使えない状況が生まれる。その小さな間が、無意識にスマートフォンを手に取る習慣を止める助けになる。「困難に思えるかもしれないが、スマートフォンやソーシャルメディア、ゲームなどからの絶え間ない刺激を少し減らすだけでも、本来備わっている持続的な注意力を取り戻す助けになり得る」とクシュレフ氏は語っている。
出典
https://www.earth.com/news/digital-detox-can-reverse-years-of-focus-lost-to-social-media/
https://www.independent.co.uk/news/health/detox-social-media-brain-damage-reverse-b2961757.html
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