働き者でお疲れの脳をケアしよう!ヨガでデジタルデトックス【疲労回復とヨガ#4】
パソコンやスマートフォンが手放せない私たち現代人。それにより引き起こされる深刻な問題は、『脳の疲れ』だといわれています。脳の疲れは自律神経の乱れを引き起こし、集中力を低下させたり、質の良い睡眠を妨げてしまったり・・・。また、その状態が進んでしまうと、うつ病など心の病の原因にもなり得るので注意が必要です。今回の【疲労回復とヨガ】では、そんな脳の疲労を取り除くヨガ的アプローチをご紹介していきます。パソコンやスマートフォンから離れてデジタルデトックスするにも良い方法なので、ぜひ試してみてください。
情報過多で疲れている脳
脳はとても働き者です。ボーっとしている時も、寝ている時でさえ、脳の一部は働き続けています。更に現代では、仕事や日常生活で欠かすことができないスマートフォンやパソコンが、脳の疲労を引き起こす大きな要因になっていると言われています。
スマートフォンやパソコンから得る情報は、莫大な量です。SNSや動画アプリは、求めている以上の量の情報を、自分の興味や関心に合わせて次々に表示します。仕事でパソコンを使う方は、一日のほとんどをパソコンの前で過ごす上に、プライベートでもスマートフォンの画面を見ながら情報を得ている、なんてことも多いのではないでしょうか。デジタルデトックスという言葉もよく聞かれるようになりました。『脳が疲れている』と感じている方が多い証拠なのかも知れません。
私のようなヨガの講師でさえ、スマートフォンやパソコンに触れない日はありません。そんな日常で強く感じていることは、ヨガのポーズによる肉体的な疲れより、スマートフォンやパソコンから情報を得ることでもたらされる疲れの方が蓄積されやすく、また回復しにくいということです。そして、その疲れを肩や首のコリで感じたとしても、肝心な『脳が疲れている』という自覚は持ちにくいものです。
脳が疲れている人に見られる特徴
私は、瞑想系のヨガを指導することが多いのですが、静かなポーズや瞑想の最中でさえ頭の中のおしゃべりが静まらない!と嘆く方がとても多いのが現状です。特にここ2、3年、そういった方が顕著に増えたように思います。ずっと何かを考えている、眠っている間も思考が働いている気がする、頭を使い過ぎていると自覚はしている・・・でも、思考を止められない。それは、とても辛い状態です。
そういう方に見られる特徴は、集中力が低下している割には活動的で、じっとしていることを苦痛に感じたり、より刺激的なことを好む傾向にあることです。そのため、瞑想や静かなヨガの練習をオススメしても長く続かないことが多い。『脳が疲れている』と認識しない限り、より強い刺激を求めてしまう循環は止まらないでしょう。
また、眠りの浅さや不眠を訴える方が増えたようにも感じます。眠気を感じてもスマートフォンを見ているうちに覚醒してしまう、という話もよく耳にするのです。パソコンやスマートフォンを見ている生活が当たり前になり、刺激に対して慣れ過ぎているのでしょう。画面から『刺激』を受けているのだということを再認識したいものです。刺激自体はは悪いことではありませんが、夜のリラックスするべき時間帯に刺激を受けることはやはり避けたいもの。
とはいえ、スマートフォンやパソコンも必需品。これらと上手に付き合うためには、脳を積極的にケアすることが必要になってきます。脳をケアすることで、肉体的な疲労を軽減していくことも可能です。ストレスを解放することも出来るでしょう。次に、ヨガ的アプローチを使った脳の疲労の回復方法をいくつかお伝えします。デジタルデトックスをすることにも繋がるので、ご自分に合う方法を見つけ、日常に取り入れてみて下さい。
目を閉じる
睡眠以外で目を閉じる時間が、あなたの生活の中にありますか?五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)の中で、外側の情報をキャッチする力が一番強いのは視覚です。その割合は、約8割ほどだと言われています。膨大な情報から離れて脳を休めるために、目を閉じる。これは、どこでも行うことが出来る簡単な方法です。
ヨガクラスでも、始まりに目を閉じる時間を設けることが多いのですが、この目的は、意識の切り替えと共に『頭や気持ちを休める』ことです。五感を内側に向けることが、心や思考を落ち着かせる秘訣だと、ヨガの古い聖典にも書かれています。
ほんの1分でも、1日のうちに何回か目を閉じてみましょう。電車で移動しているときや、パソコン作業の合間、または『食後には必ず1分目を閉じる』と決めてみるのも良いでしょう。思考までは休まらないかも知れませんが、思考が忙しいという状態に気がつくことも大切なことです。忙しくてヨガや瞑想の練習までは難しい・・・といった方にも取り入れやすい方法ですね。
吐く息を深く吐き切る
情報過多で脳が疲労しているとき、思考が忙しいときは、ヨガでいうエネルギーは上半身の上部に集まっています。そして、上半身の下部、お腹や骨盤あたりといった部分は力が抜け、エネルギーが弱い状態になってしまっているのです。吐く息を深く吐き切ることは、その希薄になった下腹部へエネルギーや意識を集めていく手助けをしてくれます。
吐き切るコツは、腹部の奥の筋肉を意識すること。お腹を背中に引き入れようとすると肩周りに力が入ってしまうので、おへその奥を軽く背中方向に引き入れてみましょう。呼吸や身体の感覚に集中することで、リフレッシュできるというメリットもあります。
交感神経(興奮している状態で優位に立つ神経)が常に働いている状態が、自律神経の乱れを引き起こす場合が多いのですが、呼吸には自律神経を整えてくれる働きがあります。この方法も目を閉じることと同様に場所や時間帯を選ばないので、1日に何回か行ってみると良いでしょう。夜眠る前だけでなく、日中にリラックスモードに切り替える時間をつくることがポイントです。
ヨガニードラや瞑想を行ってみる
ヨガニードラや瞑想といったヨガの練習は、脳の疲労を取り除く方法として優れているということが、最近の研究ではかなり詳しく解き明かされています。何千年も前から伝わるヨガの練習法の優れた点が、現代の科学によって解明されるというのはとても興味深いことです。
ヨガニードラの分野では特に、その疲労回復効果が脳波の測定によって立証されています。ヨガニードラの練習中は、脳にアルファ波という脳波が現れやすいといわれています。アルファ波とは、リラックスした状態のときに現れる脳波の一種です。理論的に物事を考えている時、また緊張状態にある時には出現しない脳波で、ストレスの緩和にも役立つともいわれています。アルファ波を保つ時間が睡眠中よりも長いので、眠るだけでは取れない脳の疲れにも有効的です。
それでは実際に、ヨガニードラの練習をしてみましょう!
今回はより身近に練習していただけるように、座った状態での練習方法をお伝えします。
①環境を整える
・落ち着ける静かな場所を選ぶ
・朝でも日中でも夜でも、好きな時間帯でOK
②座って体勢を整える
・背筋を伸ばし、身体の左右を対象にする
・背もたれや壁を使っても良い
・椅子に座って行っても良い
③呼吸を整える
・口から何回か溜め息をつき、余分な緊張を解放してから始める
・自然な鼻呼吸を繰り返す
・ヨガニードラ中は呼吸をコントロールしない
④身体の細かい部分に意識を巡らす
・身体の細かい部分に意識を向け、その部位がが『リラックスした』と感じる
【例】右手の手のひらがリラックスしたと感じる→右手の親指、人差し指、中指、薬指、小指がリラックスしたと感じる→右手の手首、肘、肩、右腕全体、がリラックスしたと感じる→右の肩甲骨の周り、腰、お尻がリラックスしたと感じる→右のももの後ろ側、膝の後ろ、ふくらはぎ、足首がリラックスしたと感じる→右足のかかと、土踏まず、右の背面全体がリラックスしたと感じる→右足の親指、人差し指、中指、薬指、小指がリラックスしたと感じる→右足の甲、足首、すね、膝、ももの前側、足の付け根がリラックスしたと感じる→右のお腹、胸、肩がリラックスしたと感じる→右の前側全体がリラックスしたと感じる
→左側も同じように繰り返す
パソコンのスマートフォンも、それから得られる膨大な情報も、それ自体は悪ではありません。刺激を受けている自分を認識しながら、上手に付き合う方法を身に付けていけたら良いですね。お伝えしたヨガの智恵を、役立てていただけたら嬉しいです。
ライター/井上敦子
ヨガ講師。15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。ヨガニードラ講座やコラム執筆、アプリ監修(Relook)、イベント出演等幅広く活動中。会社員の経験から、企業向けヨガにも注力している。現代人のライフスタイルに合ったヨガを提案することを得意とする。Instagram:@yoga_atsuko.inoue
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