ストレスや不安から脳をリラックスさせるためのポーズ10選


アメリカでは、4,000万人近くの人が不安障害の診断が下っているという。慢性的なストレスや不安によって脳に信号が送られ、体に大混乱が引き起こされる。流行しているリセット方法のかぎは… ヨガが握っている。ストレスを緩和し、脳をリラックスさせるためのポーズを紹介しよう。
ヨガティーチャーのアーミー・ローソンは週に2回、摂食障害の治療を専門とするウォルデン行動療法病院のサウス・ウインザークリニック(コネティカット州)に通っている。クリニックに到着すると、会議室から机と椅子を片付けて、回復期の患者数名を対象に、ゆったりとしたレッスンを1時間行っている。ローソンのクラス(民族的にも社会経済的にも背景が異なる老若男女が混在している)の生徒たちは、若干例外はあるものの、皆気分が変わりやすく、他人と交わらず、典型的なストレスと不安の兆候を示している。つまり、落ち着きがなく、心臓をバクバクさせ、体をこわばらせて、浅く早い呼吸を繰り返しているのだ。「皆さん一様にイライラしています。他人に判断されることにうんざりしているのです」とローソンは語る。
アメリカ人は不安に苛まれている。実際、アメリカでは4,000万人近くの人に不安障害の診断が下っている。誰もがローソンの生徒のように強いストレスと不安を抱えているわけではないが、だからと言ってストレスと不安に免疫があるわけでもない。たとえば、米国心理学会による2014年の「アメリカにおけるストレス調査」に回答した人のほぼ75%が、お金が原因でイライラしたり神経過敏になっていると答えている。イリノイ州の心理学者で、ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部の精神医学および行動科学の助教でもあるナンシー・モリトル博士は、ストレスと不安は必ずしも悪いものでないと話す。ただ、何週間も続くと、心拍数と血圧が上がり、筋肉が緊張し、落ち着かない状態が長引いて、不眠、パニック、鬱といった症状がみられるようになるという。このような状態がさらに長期に及ぶと、ストレスと不安によって炎症が引き起こされるようになる。さらに、研究によってこの炎症が偏頭痛、心臓疾患、さらにはガンとも何らかの関係があることがわかっている。
「ストレスと不安の間に明白な違いはありますが、程度の差こそあれいずれも神経系の異常を引き起こします」と、不安とPTSD(心的外傷後ストレス障害)に詳しい臨床社会福祉士のロビン・ギルマーティンは説明する(ギルマーティンは、エイミー・ローソンが指導するマインドフルヨガセラピー(MYT)を学びながら教えている)。ストレスとは生活のなかで生じる出来事への反応で、体と心のバランスを崩すものであると定義される。ストレスがたまっていると、交通渋滞に巻き込まれた時や仕事量のことを考えた時に、イライラしたり精神的に押しつぶされたりする。「不安は日々の生活の一部であって、必ずしも原因となる出来事があるわけではありません。朝目覚めたらただなんとなく「調子が悪い」と感じ、不安を覚えることもあるのです」不安障害の研究をしているナンシー・モリトル博士はこう話している。
ストレスと不安を引き起こすのは、潜在的な脅威に曝された時にみられる生来の神経反応だ。何らかの出来事であれ、記憶であれ、広い意味で世界の重みを背負うような感覚であれ、何かが脅威となる時、交感神経(「闘争/逃走反応」を司る神経)がアドレナリンやコルチゾールのようなストレスホルモンで全身を満たすように脳に信号を送る。するとこのホルモンの作用によって呼吸が浅くなり、筋肉に火がつき、焦点が絞られ、行動に駆り立てられる。これは正常な反応で、人里離れた山道でピューマに出くわした人や、スタート地点に立った短距離走者には役に立つ。ただ、(大切な人を長期間看病しなければいけない時のように)高いストレス状態が続くと、行き着く先には、つじつまが合った結果が待っている。
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