イベントレポート「Meetup for Wellness 乳がん経験者とすべての女性の”ウェルネス”のために」
2025年11月22日、東京・渋谷で開催されたイベント「Meetup for Wellness 乳がん経験者とすべての女性の”ウェルネス”のために」の様子をレポートします。
このイベントは、ヨガ講師で乳がん生還アクティビストのケリー・リカさんと、ヨガジャーナルオンラインが共同運営する「乳がん経験者のためのウェルネスヨガコミュニティ」から生まれ、今年で3回目を迎えました。
2025年のテーマは「Still, Beautiful どんな時も美しく生きる」。イベント総合プロデューサーを務めたリカさんの「乳がんを経験した人も、そうでない人も、自分の中にある"美しさ"と再び出会ってほしい」という思いを形にしたイベントです。
ビバリーヒルズを中心にプライベートセッションを行うヨガインストラクター。ハリウッドセレブから癌患者までのべ1500名以上を指導。2022年春に乳がんと診断され、治療を続けながら、乳がん経験者向けのヨガクラスや闘病中の人を対象にしたヨガクラスを開催。2023年5月にはヨガジャーナルオンラインとともに「乳がん経験者のためのウェルネスヨガコミュニティ」を立ち上げ、共同主催者/コミュニティリーダーとして活動。
3人のヨガ講師が体と心を整え、自信を引き出すヨガを指導
今年は、リカさんの思い、そしてイベントの趣旨に共感した3人のヨガ講師を招いてヨガレッスンを行いました。
トップバッターはモデル兼ヨガ講師・池田莉子先生による「誰もおいていかないヨガ」。仰向けになり呼吸で内臓をマッサージしたあと、肩甲骨や足指、腕、首回りをほぐすポーズへ。そしてバランスポーズをしながら隣の人とハイタッチ!それぞれが無理のない範囲で動き、ポーズの完成度より挑戦を楽しむ、まさに誰もおいていかないヨガは自分に優しく接する大切さを思い出させてくれました。「今日、ここにきた自分にありがとうの言葉を送って」という先生の言葉を受け取り、セルフハグで自分に感謝を伝えてレッスンは終了。


「いまはホルモン療法中ですが、莉子先生のヨガをして心が軽くなりました。昨年のイベントにも参加しましたが、素敵な人ばかりなので来てよかったです」(参加者Aさん)
2人目は、RISA HINGA先生による「軽やかに輝くポップピラティス」のレッスン。LA発祥のポップピラティスは、アップテンポな音楽に合わせてアクティブに動くトータルボディワークアウト。体のコアを意識しながら手脚をリズミカルに動かしたら、波打つようにプランクとダウンドッグを繰り返し、腹筋を鍛えるワークへと続きます。「内側でつくり出したエネルギーを感じられると、自分は想像以上にパワーを秘めていると気づくはず。完璧を目指すのではなく、しなやかに一歩ずつ自分を生きて」とメッセージを送りました。



「ポップピラティスのエネルギッシュな動きが新鮮で楽しかったです。乳がんになったからといって気持ちをセーブする必要はなく、もっとアグレッシブに動いて体と心を開放していいと気づきました」(参加者Bさん)
3人目は相楽のり子先生が「静けさの中に軸を育てるヨガ」を指導。独自のプラクティスメソッド・Today Yogaで体の軸にフォーカスし、インナーマッスルを開花させて軽さとしなやかを身につけていきます。「骨盤から背骨のラインを呼吸で膨らませる意識でポーズを行って」と先生。縮こまった体側や足の甲、股関節まわりをほぐしてから、インナーマッスルを意識してポーズを行っていくと重心の変化を実感。ダウンドッグポーズでは先生が全員にアジャストを行い、正しい体の使い方をマスターしてポーズが深まる感覚を味わいました。


「体が軽くなると心がほぐれますね。乳がんを再発して2年、大きなショックを受けてつらい日々が続き、どうしたら明るく前向きになれるかを考えながら過ごしてきました。今も気持ちに波はあるけど、コミュニティのみなさんに助けられながら平坦な心でいられるように意識しています」(参加者Cさん)
「書く瞑想」で見て見ぬふりをしていた本音に気づく
初の試みとなった「書く瞑想」は、乳がん経験者でジャーナリング講師(MAE Y method ジャーナリングエグゼクティブファシリテーター)の千葉桂先生がレクチャー。ジャーナリングとも言われる「書く瞑想」は、感情や思考をあるがまま書き出すメソッドです。先生はジャーナリングとの出会いを振り返り、「4年前に乳がんがわかり不安の中で生きていました。何で私が病気に?何がいけなかった?と自分を問い詰め、良くなかったのはこの性格なのか、それとも食事なのかと見つからない答えを探し求めていました。いつしか人に心配をかけてはいけないというルールを自分で決めて、前向きに生きなくちゃと思うのに毎日何もできず、そんな自分に落ち込んでいたときジャーナリングに出会った」と言います。そして「ノートの前では不安でいい、弱くていいと自分に許可を出し、子どものように泣けてほっとできた」とジャーナリングの効果を伝えてくれました。

今回は「マイボディ(私の体)」をテーマに、先生が投げかける質問に対して浮かんだことを素直に書き出します。たとえば「あなたは生活の中であなたの体にどのような口調で、どんな風にどんなことを話しかけていますか」等々。質問の答えには自分に厳しくしてしまうなど心の癖が投影され、その癖を自覚できると行動が変化するそう。内なる正直な声に耳を傾け、置き去りにしていた心の訴えに気づく尊い時間となりました。


「治療中は自分と向き合っていたけど、日常を取り戻すにつれてその機会が減っていたように思います。治療が終わって1年半、深く眠っていた優しい自分を思い出せました」(参加者Dさん)
気持ちをシェアする「お茶会」を対面で初開催
ウェルネスヨガコミュニティでは月2回、メンバーがオンラインで集まり抱えている思いを語り合う「お茶会」を開催し、今回初となる対面開催が実現しました。参加者が輪になって座り、まずはリカさんが「ここに集い、学んだことは?」と質問すると……。

「3年前に乳がんの手術を受けて左乳房を全摘しました。時間は限られているという思いがわいて、以前より行動的になれたことが病気からの学びです」と参加者の一人。
そして「誰だってずっと強くはいられない。エネルギーは持っている人が足りない人にシェアして支え合ってほしいです。いま治療中の人はいますか?」と呼びかけるリカさん。
「遺伝性乳がん卵巣がんとわかり、左乳房全摘手術に加えて卵巣、卵管の予防的切除術を行いました。その後、早期の子宮体がんが見つかり子宮とリンパ節などを切除。1年間に3度の手術をしましたが、今日ここに来られてよかったです。コミュニティのみなさんに支えられてきたので、今度は私がみなさんにパワーを届けたいです」と参加者の一人。

子育てと治療を両立してきた参加者からは、「息子が2歳のときに乳がんを発症。手術は無事に終わったけど気持ちが晴れなかったときにリカさんのインスタを見つけて、ほかのメンバーとも出会うべくして出会ったと思っています。病気になってよかったとは言えないけど、同じ思いを共有できる仲間に出会えて幸せです」と思いを伝えていました。

参加者が涙する仲間を優しく抱きしめる場面もあり、誰も独りにしないコミュニティの強い絆を感じました。お茶会が終わると参加者が向かったのは、会場の壁に掲げられた『A Wall of Awareness(気づきの壁)』ボードの前。今日の気づきを書いたカードが次々に貼られ、その言葉の一つひとつにもう一度歩き出す確かなパワーが宿っていました。

心身の健康をサポートするウェルネスブースを展開
ランチは、野菜をたっぷり味わえる「美菜屋」のヘルシーなお弁当を楽しみました。乳がんのシンボルカラーである鮮やかなピンク色をまとった、ビーツポテトサラダも美味。目と舌で堪能しました。
ヨガレッスンの合間には、ウェルネスを発信する4つのブースが賑わいを見せていました。
イヤービュティセラピスト協会のブースでは、「耳つぼジュエリー」を体験。耳を優しくもみほぐし、つぼにイヤージュエリーを貼って巡りを整えます。不定愁訴の緩和などに加えて気分も上がると大人気でした。


seseragi_personalcolor_teamのブースで体験できるのは「パーソナルカラー診断」。パーソナルカラーリストが色の布を使い、肌・目・髪の色素に調和する色の傾向を診断。似合う色を身に着けると自分らしさが引き出されて輝きがアップ。アピアランスケア(外見のケア)にも役立ちそうです。

リュッケのブースでは「温活足ケア」をテーマに、フットヘルスアワード2025で最優秀賞を受賞したかかとケアバームや足湯たんぽを販売。生涯歩ける足でいるためにもフットケアは大切なので要チェックでした。


パーフェクトポーションのブースでは「チャクラバランスケア」のアイテムを販売。体に7つあるチャクラが停滞すると不調が現れるという考え方のもと、チャクラバランスを整えるアロマアイテムやブレンドティーなどセルフケアアイテムが充実していました。


優しさをシェアする「Wellness Swap」。心が弾む豪華おみやげも!
使わなくなったウィッグやヘアキャップなどを持ち寄り、必要な人に手渡す循環の場「Wellness Swap」コーナーを展開。

またセルフケアスタンドでは、協力企業による体のケアアイテムの展示&サンプル配布を行いました。その中からおみやげに配られたアイテムをご紹介!


limerimeの「バンブーフェイシャルタオル」。天然の竹を原料にした滑らかな肌ざわりが特徴。使い捨てタイプなので雑菌の心配がなく衛生面も安心です。
ハーブ、スパイス、植物でつくった、天然オーガニックティーの老舗yogiの「Yogi tea」。ティーバッグのタグに書かれた、1日のスタートにふさわしいメッセージもチェック!
「MÖIDITE」のデリケートゾーンケアアイテム。潤いは保ち汚れをすっきり落とすシフォンソープと、しっとり肌をキープするモイストクリームのサンプルセットをプレゼント。
植物由来にこだわり、おいしさと健康の2つを追求した2foodsの人気商品「2Snack CRISPY」。今回は黒トリュフ入りの「香るトリュフ」と、3種のガーリックを使用した「焦がしガーリック」をプレゼント。
焙煎オーツ麦からつくられた、植物性ミルク「OATSIDE」。香料・増粘剤・乳化剤不使用、ラクトースフリー。濃厚なのに後味は軽やかで、コーヒーや紅茶の風味を引き立てます。
ヨガで自分の心地良さを探求。自己を愛し内側は美しく
イベントの最後は、リカ先生のヨガと小泉あおいさんによるサウンドバスのコラボレーションプログラム、「乳がんのその先を生きるヨガ with サウンドバス」を体験。
乳がんの手術で脇のリンパ節を切除した参加者に考慮して、腕が上がる位置を目視で確認したあと、「無理はしないと自分に約束して」という先生の言葉を聞いてポーズへ。鼠径部を伸ばすランジポーズや、背骨をほぐすキャット&カウポーズなどを通して、体と心が楽になる感覚を味わっていきます。


「他人の物差しではなく、自分の心地良さを自分で探す感覚をヨガで養って。そして病気になった自分を否定せず、いつも内側は美しくあってほしい」とメッセージを送るリカ先生の目にはあたたかい涙がにじんでいました。最後は、あおいさんが奏でる癒しの音と振動に包まれてシャヴァーサナを堪能。

「自分と向き合う時間を持ち、ここまでがんばってきた事実を振り返ることができました。イベントに参加できたことに感謝して明日からまた歩き出したいです」(参加者Eさん)
リカさんは1日を振り返り、「置かれた環境、抱える思いはそれぞれ違うと思いますが、このイベントに参加することを自ら選んで来てくれたことをうれしく思います。乳がん経験者とそうでない人の境界線がなくなる社会を目指す、このムーブメントをみなさんの力を借りて大きくしていきたいです」。そう言葉を送りイベントは幕を閉じました。
あとがき

思い切り笑い、ときに涙して、自分の心に偽りなくふるまう参加者の姿に、人が持つ「生きる底力」を感じました。その力に気づかせてくれるのが、このイベントだったと思います。また参加者の多くは乳がん経験者ですが、置かれている人生のステージや前に進むスピードはそれぞれです。違いを認め合い、悩みを抱えている人を支えられる人が支え、救われ人が今度は支える人になるという、ケアのあるべき形を見せてもらいました。
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