レポート「Meetup for Wellness乳がん経験者とすべての女性のウェルネスのために」


昨年に引続き、2回目の開催となった「Meetup for Wellness 2024」イベント当日の様子、そして会場を訪れた参加者の声をご紹介します!
2023年5月、ヨガジャーナル公認ヨガ講師でもあるケリー・リカさんが発案しヨガジャーナルオンラインと共に立ち上げた「乳がん経験者のためのウェルネスヨガコミュニティ」。メンバー同士がリアルでつながる場を作りたい、そして乳がん経験者とそうでない人との境界線をなくしたいという思いから始めたのが、ワンデーイベント「Meetup for Wellness」です。その第2回目となるイベントが、2024年12月1日に恵比寿ガーデンプレイスで開催されました。

昨年同様、イベントのテーマは「乳がん経験者とすべての女性のウェルネスのために」。心と体へのアウェアネス(気づき)を深めるヨガレッスンをはじめ、お金や医療美容などの講演も行われ、盛りだくさんの一日になりました!
開場前から参加者の行列、大盛況の朝ヨガクラス

このイベント共同主催者で、ヨガ講師として活躍するケリー・リカさんのヨガからスタート!

リカさんは、2022年春に乳がんに罹患。その経験から2023年5月からヨガジャーナルオンラインと共に「乳がん経験者のためのウェルネスヨガコミュニティ」を立ち上げました。以来、コミュニティリーダーとしてメンバーを率いています。
ヨガジャーナルオンラインでは年に数回、リカさんの対面レッスンを主催しており、この日も受付開始前からRIKAさんのレッスンを待ちわびるゲストで開場入り口には長い列ができていました。
全員が初体験、ハンズフリーヨガからプログラムがスタート
リカさんが誘導する「乳がん経験者と全ての女性のための朝ヨガ」の対象はオールレベルで、午前中にぴったりな運動量。今回は「ハンズフリーヨガ」と呼ばれる、上半身に制約がある方でも安心して参加できる、下半身の動きをメインとしたレッスン内容で構成されていました。

参加者への「ハンズフリーヨガを知っていますか?」という問いかけに手を挙げた人は、なんと0人という結果に。リカさんによると、ハンズフリーヨガはアメリカで人気のあるヨガの練習方法で、特にハンドスタンドなどで手首や腕を痛めた経験のある人に広く取り入れられているそうです。
初体験のレッスンに、皆さんの期待もより一層大きくなっている様子がうかがえます!

ヨガをするとき、乳がん治療の過程で乳房切除などを経験した人は、腕が上げにくかったり、可動域が制限されてしまったりするケースがあります。
今回のイベントでは、無理なく心地よいヨガを楽しんで欲しいというリカさんの想いから、レッスン中は腕や手首になるべく圧力がかからないよう配慮がされていました。
レッスン序盤は「意識を自分の呼吸に向けて」というリカさんのインストラクションからはじまり、下半身を伸ばしたり内腿を引き締めたりといった内容へ徐々にステップアップ。終盤のシャバーサナでは、自然と涙が流れ出して目元を拭っているゲストの姿も。
「出来ないポーズや動きがあってもいい、今ここにいる自分のあるがままを堂々と受け入れて、不安やモヤモヤは呼吸で外に流していこう」というリカさんの声掛けが、乳がん経験のない筆者の心にも印象に残りました。

「乳がん手術後から間もないため、ヨガをできるか不安だったのですが、参加して本当に良かったです。病気のことを友だちや周囲の人に話せず、内にこもってしまった辛い時期もありましたが、インスタでリカさんの存在を知り、思い切って足を運びました。無理のない範囲で身体を動かすことができ、とてもスッキリしました」(参加した女性・Aさん)
「去年のイベントは、自分の乳がん放射線治療中で来場が叶いませんでした。今は元気になりましたが、腰痛が時々あるためレッスン参加に少し不安もありました。でも、リカさんのインストラクションのおかげで痛みもなく、気持ちよくレッスンを終えられました!」(参加した女性・Bさん)
ときめきが止まらない!ピンクをテーマにした食事で内側にも美しさを
ヨガ後は、みなさんお待ちかねのランチブレイクの時間です!

カラフルなフードを担当してくれたのは、料理家まきあやこさんが主宰するケータリングチーム「Perch.(パーチ)」。乳がんのシンボルカラーにもなっている「ピンク」をテーマにした身体に優しいフィンガーフードやドリンクが並びました。


「普段、乳腺専門クリニックで働いていることもあり、イベントに興味があって今日ここへ来ました。お料理は見た目の可愛さはもちろん、ヘルシーでさっぱりしているのに、ソースの味がしっかりと感じられてとても美味しいです!」(参加者の女性)
「家では食べないような味付けで、新鮮です。スープにはスパイシーさが感じられ、身体が温まってきました」(参加者の男性)

また、今回、「がん患者さんとつくったヘルスケアOisix」を展開するオイシックスも、イベントに賛同してくれました。1本で21種類の野菜とフルーツ+美容成分をチャージできる『すごいフルーツと野菜』が提供されたほか、リーフレット「乳がん患者さんの食事と栄養」も配布されました。

お金やパーソナルカラー、傾聴ブースも設営
この日は、会場入り口付近に3つの個別相談ブースを設置しました。
大人気だったパーソナルカラー診断ブースでは、2名の日本カラーコーディネーター協会パーソナルカラー認定講師が、ドレープと呼ばれる色とりどりな布を顔の下にあて、その人の顔映りを確認。似合うシーズン(春・夏・秋・冬)を分析してくれました。

この日トークショーに登壇し「乳がんになったからこそ知っておきたいお金のこと」についてお話ししてくれた髙野圭子さんも、個別相談ブースではお金や保険にまつわる悩み解消のアドバイスを行ってくれました。実はこの「お金と保険の相談室」は、イベント運営スタッフにも大人気だったんです!

私たちの生活と切っても切り離せないお金の話だからこそ、分かりやすく話してくれる髙野さんに「これから先も相談したい!」と言っていたスタッフもいました。
他にも、臨床傾聴士(上智大学グリーフケア研究所認定)・北林あいさんによる「傾聴カウンセリングブース」も設けられ、5名限定での傾聴カウンセリング体験も行われました。傾聴カウンセリングを体験した方からは「普段家族にも友人にも話せないことを静かに聞いてもらい、心が軽くなりました」という声も聞かれました。
今年もセルフケアスタンドが登場!豪華すぎるお土産ラインナップ
今回イベントに協力してくれた各企業より、イベント参加者へ無料で配られた魅力的なプレゼントの数々がこちら。

衛生用品ブランド「limerime(ライムライム)」からは、オーガニックの竹繊維を採用したパンティライナー、「ピップ株式会社」からは、足首ひきしめを叶えるSLIM WALK(スリムウォーク)美脚メイクソックス、「株式会社渡辺製作所」からは、ヨガ中の手汗滑りを解消するCHALKLESS(チョークレス)、スキンケアブランド「ララヴィ」の3DAYSスキンケアセット、インドで50年以上の歴史を誇るブランド「medimix」の石鹸が、プレゼントされました。また、朝晩2回のヨガクラスでは、ナチュラルミネラルウォーターの「コントレックス」が参加者に配られました。






また、セルフケアスタンドのお隣には「株式会社ヌーブラジャパン」のブースも登場。実際に製品に触れたりフィッテイングもできるようスペースを用意しました。

この日、ブースのメインで展示されていたのは、ファッション用でなく、医療用の代用乳房=ブレストケアヌーブラのシリーズ。ブレストケアヌーブラは、乳がんになる前の胸を取り戻したいと願う女性たちの気持ちに応えるべく、研究・開発された商品であり、日本で正規総販売代理店としてブレストケアヌーブラを取り扱えるのは、株式会社ヌーブラジャパンだけです。
実は、午前のヨガクラスで講師を担当してくれたRIKAさんも、ファッション用のヌーブラを着用しながらレッスンしていました!RIKAさんに感想を聞いてみると「着けているのをすっかり忘れるくらい自然で、レッスンもより集中できました。ヨガウェアのようなタイトなウェアを着る時、ブラジャーの線が気になったりそもそもブラジャーの締め付け感が気になる人にとっても、ヌーブラは選択肢としておすすめ」とのこと。ヌーブラジャパンさんの活動や商品の詳しい情報は、こちらの記事でも特集しています。
「病気が治ればオールOK」はもう古い。いま必要とされるアピアランスケア
午後の部は、女性のアウェアネスに関連する専門家たちのトークショー&ワークショップを開催しました。トップバッターは、アピアランスビューティクリニック®院長であり、日本で唯一のアピアランスケア専門医の堀口和美さん。

16年間にわたり乳腺専門医としてがん患者と向き合ってきた経験をもち、近年のがん治療の進化を感じる一方で、抗がん剤などの影響で変わってしまった「外見の変化」に苦しむ患者の姿を目にしてきたといいます。
アピアランスケア(Appearance care)とは、「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」のことで、主に「見た目」に対するケアアプローチを指します。
例えば、化学療法で髪の毛が抜けてしまったり、手足の爪や肌が脆くなって変色してしまったり、術後の傷や瘢痕が残ってしまったりといった外見の変化は、患者の心に大きなストレスを与えます。それがきっかけとなり、仕事や交友関係など、社会との繋がりを絶ってしまう人もいるほど、病気による外見の変化は、がん患者本人にとっては深刻な問題なのです。
アピアランスケアの一種として、脱毛してしまった個所の皮膚にインクを注入して着色する「医療アートメイク」がありますが、これは医師の診断のもと専門の看護師による施術が必要です。しかし、世の中にはファッション目的の美容アートメイクを売りにするお店も増えていて、がん患者に関する知識を持たない美容サロンで施術を受けることで、危険が伴う可能性があるといいます。
「数年にわたって自分の身体に残るものだからこそ、安心・安全・適切な施術を行ってくれる医院を見つけることが重要だ」と堀口さんはいいます。
アピアランスビューティクリニック®では、常に最新の美容医療の知識を取り入れ、患者とのカウンセリングにも充分な時間をかけているのが特徴です。
「一人ひとりに合った適切なアピアランスケアというのは、医師が一人でできることではありません。当院では必要があれば、他の医療施設への紹介はもちろん、信頼できる美容室やネイルサロンとも提携することで、患者さまが自分らしさを取り戻すお手伝いをしております」(堀口さん)
病気になったらお金はどうすればいいの?知っておきたい保険や投資のはなし
トークショーの最後は、ファイナンシャルプランナーの髙野圭子さんが登壇。自身が家族の病気をきっかけに保険やお金の大切さを痛感したという経験から、「いかにわかりやすくお金のことを伝えていくか」をモットーに活動されています。

この日は、私たちがつい難しく考えがちなお金について、「使う・守る・増やす」という3つの軸から最新の情報を教えてくれました。
自分にいくらお金があるのか?という資産の足元確認の重要性や、苦手意識を抱える人も多いiDeCo(イデコ)やNISA(ニーサ)に関する注意点を聞きながら、会場内にはメモを取る来場者の姿も見られました。
乳がん経験の有無に関係なく、お金にまつわる話は会場にいる全員が興味深々の様子で、時折深く頷く人の姿も。病気になったら必要な治療費や、公的保険と民間保険の使い分けに関するお話など、新たにお金の知識が増えたという方も多かったようです。
髙野さんセミナー内容の詳しい情報は、こちらの記事でも特集しています。
“かわいい”の定義ってなに?乳がんになってもファッションは楽しめる!

ステージには、美容師歴20年以上でファッション×メイク×ヘアのトータルプロデュースを行っている、パーソナルスタイリストのRISAさんが登壇。ご自身も2022年に乳がんと診断され、現在も治療を続けている乳がんサバイバーです。
この日は、ファッションやヘアメイクのテクニック次第で乳がんサバイバーであっても「今日の私、なんか可愛い!」と感じられるためのヘアメイクショーを開催してくれました。

モデルとして登壇してくれたのは、2週間前に乳がん手術を受けたばかりだという乳がんサバイバーのEさん。「普段は最低限のメイクだけ。抗がん剤の影響で肌に出てきたシミが気になる」という悩みを持つEさんに、RISAさんがメイクを施していきます。
メイクの完成が近づくにつれて、初めはどこか不安そうだったEさんの表情に、どんどん明るさと自信が満ちていきます!

RISAさんが提案するメイクは、誰でも真似することができ、家に帰ってからも実践可能なテクニックが満載!使用する化粧品も決して特別なものではなく、誰でも手に入るようなプチプラアイテムも含まれています。
「乳がんになったことは、自分が本来好きなメイクやファッションを再発見するチャンスでもあると思うんです。可愛い=フワフワやぶりっ子なイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。ですが、私が伝えたい“かわいい”は、周囲に評価されるための可愛いではなく、自分の心から湧き上がってくる、『あ、なんか今日の私かわいいかも!』という“前向きな心の状態”なんです」(RISAさん)
ヘアメイクが完成すると、変化した自分の姿をみたモデルのEさんの目には涙が……。
「実は、以前からRISAさんのインスタグラムを見ていて、いつか自分もこんな風になりたいと思っていました。それが今日叶ってすごく嬉しい」と話すEさんの姿が印象的でした。
最終プログラムは、ヨガ×サウンドバス演奏で特別なリラックスヨガを体験
17時からスタートしたラストプログラムには、ケリー・リカさんが再登場!

朝ヨガから引き続き参加してくれた方も含め、大勢のゲストがリカさんのレッスンを心待ちにするなか、「乳がん経験者フォーカスリラックスヨガ」がスタートしました。
オールレベル対象のレッスンは、全体を通してゆったりとした陰ヨガがベースとなっていて、ポーズのキープや呼吸を観察する時間も長めに。
「答えは外側ではなく、自分の内側にある」というリカさんのインストラクションをきっかけに、会場全体の雰囲気が一気に落ち着き、その場にいる全員の集中力が高まっていくのを感じます。
レッスン終盤のシャバーサナと同時に、サウンドバス演奏がスタート。重厚感のある音色は、耳で聞くだけでストレスから解放され、マインドフルネス効果を高めてくれます。前回の「Meetup for Wellness」イベントでも協力してくれたUTL(アンダーザライト ヨガスクール)所属の、アオイさんが演奏を担当してくれました。

参加者だけでなく、運営スタッフや会場前を通りかかった人も、そっと目を閉じて音と身体の繋がりを感じているようでした。

レッスンが終了した後は、リカさんから参加してくれたゲストへの感謝が伝えられました。「内側に流れるキレイなエネルギーを感じてみて」という締めのリカさんのインストラクション通り、参加者の晴れやかな表情が集合写真からも伝わってきますね!

あとがき
昨年のイベントで顔を合わせたメンバーとの再会風景を含め、イベントスタート時から会場には緊張感とは反対に、どこかリラックスした温かな雰囲気が感じられました。
女性のためのアウェアネス(気づき)に対する来場者の意識も、イベントの回を増すごとに高まっているようです。取材中「このイベントが、年末の恒例行事になったらいいね!」という声も多く耳にしました。
2025年も皆さまが、自分自身の健康と向き合いながら素敵な日が過ごせますように。
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