【キャット&カウが苦手な人に】ポイントは頭!背すじをスムーズに動かすのに役立つイメージ術

【キャット&カウが苦手な人に】ポイントは頭!背すじをスムーズに動かすのに役立つイメージ術
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無意識に起こる余計な力みが動作に及ぼす影響について日々探究しているアレクサンダーテクニークの実践者が、トレーニングや日常生活で感じる違和感・痛みを解剖学的な視点を交えて考察するシリーズ。思考を通して姿勢や動作を変える方法を提案します。53回目のテーマは「キャット&カウ」です。

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脊椎への有効なアプローチができるキャット&カウ

四つん這いの体勢で、呼吸に合わせて背中や腰を丸めたり反らせたりする「キャット&カウ」。ヨガではメインのシークエンスの準備としてよく行わるエクササイズですね。四つん這いになれるスペースがあれば気軽に行えるうえに、普段あまり意識しない脊椎を動かすことによって脊柱起立筋などを大きく動かすことになるので、運動に不慣れな人にとってはそれだけもかなりの運動になります。

しかしながら脊椎は意識的に動かすことに馴染みがない故に、腰に痛みを感じる、息苦しくなるといったことも多いようです。脊椎を丸める、あるいは反らすという行為に集中し過ぎて、思わぬところが必要以上に力んでしまい、エクササイズとしての効果に影響を与えているのかもしれません。

キャット&カウで痛みや息苦しさが生じる理由

脊椎を丸めよう、反らそうと頑張っているとき、私たちは“脊椎という体の一部”に意識を傾けています。そして体の一部だけに集中していると、頭で脊椎を押し下げて首を縮めた緊張状態を無意識に作ってしまうのです。首が縮まれば、それに続く背中や腰の筋肉、その内側にある脊柱起立筋なども収縮し、脊椎全体としての動きが制限されます。そのような状態で行うキャット&カウがぎこちなかったり、息苦しいものになったりするのは仕方がないことです。

特に体の一部に集中して動かそうと奮起すると、私たちは習慣的に動くことに身を任せてしまいがちです。そのため脊椎の骨を一つひとつ動かしているつもりでも、実は習慣的によく動かしている腰ばかりを使っていたということがよく起こります。

さらに最初の四つん這いのポーズでは、「手首は肩の真下」「膝は腰幅で骨盤の真下」など、細かく指示を出されることが多いです。このような準備を忠実に再現しようとすることも、頭で脊椎を押し下げ首を縮める一端になります。

脊椎全体をしっかり動かすための考え方

せっかく普段あまり意識しない脊椎にアプローチするのなら、脊椎全体をしっかり動かしたいですよね。そこで脊椎の先にある頭までを動きのイメージに入れることをおすすめします。次のことを実践してみてください。

1. 頭と脊椎の構造の確認
まずは下のイラストを見て、頭と脊椎の構造に対する認識をアップデートしましょう。
脊椎は頚椎、胸椎、腰椎、仙骨・尾骨で構成されますが、そこに頭も加えます。解剖学的に頭は脊椎の一部ではありませんが、機能的には連動していることを覚えておいて。そして「頭は脊椎の先にあり、脊椎は頭のある方向に向かって常に伸びている」と思いましょう。これだけでも体が軽く感じる人もいるかもしれません。

頭は脊椎の先にあり、脊椎は頭のある方向に向かって常に伸びている
イラストAC

2. 四つん這いになるとき
  「頭は上に向かう」と思いながら手を床につく
膝立ちから四つん這いになるとき、どうしても「前へ、前へ」と意識しがちです。そこで1を踏まえて、「頭は上に向かう」と思いながら手を床についてください。その手の位置がそのときのあなたにとって自然なところなので、無理に位置調整をしなくても大丈夫です。

四つん這いは「頭は上に向かう」と思いながら手を床につく
イラストAC

3. キャットポーズのイメージ
  「頭を基点にゆるいロールケーキのように巻いていく」
さて、脊椎を丸めるときのイメージは、頭を基点としたゆるいロールケーキです。頭が動いてお腹の方に視点を動かすと、脊椎も順番にロールしていきます。

キャットポーズは「頭を基点にゆるいロールケーキのように巻いていく」と思う
イラストAC

4. カウポーズのイメージ
  「ロールケーキのロールが解けて、そこに視線もついていく」

カウのときは3のロールを逆に辿るイメージです。骨盤が動いて脊椎も順番に動き、それに伴い視点も上の方へ移動します。
キャットにしてもカウにしても、視点の移動を使って頭から尾骨までが連動しているのがポイントです。

カウポーズは「ロールケーキのロールが解けて、そこに視線もついていく」と思う
イラストAC

 

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頭は脊椎の先にあり、脊椎は頭のある方向に向かって常に伸びている
四つん這いは「頭は上に向かう」と思いながら手を床につく
キャットポーズは「頭を基点にゆるいロールケーキのように巻いていく」と思う
カウポーズは「ロールケーキのロールが解けて、そこに視線もついていく」と思う