【専門医が解説】2025年に日本で取り扱い開始「ミニピル」という新たな選択肢。これまでの低用量ピルとどう違うの?
ピルの進化と仕組み
ピルの歴史は意外と長く、最初にホルモン剤を使った避妊薬が誕生したのは1950年代のこと。実は当時のピルは、最新のミニピルと同じく主要成分としてプロゲステロンのみが使われているものだったんです。
このプロゲステロンは、②の排卵と④の着床のステップを遮る作用があります。その他にも、子宮の入り口(子宮頸管)から分泌される粘液の性質に影響するため、おりものの粘りが強くなり精子が通りづらくなるという効果も。このように、初期のピルは2つのステップで避妊効果を期待する仕組みでした。しかし、この仕組みでは卵子が育つところを抑えていないので、避妊効果は十分ではありませんでした。しかも服用するタイミングが数時間でもずれると避妊効果が得られず、失敗率も高かったようです。
低用量ピルと比較したミニピルのメリット
そこで誕生したのが、エストロゲンを追加したいわゆるピルです。エストロゲンの含有量が多い中等量ピルが1960年代に、それを改良した今の低用量ピルが1970年代に使用開始されました。日本でもは25年以上前から発売されており、現在は一般的なピルとして普及しています。エストロゲンを加えることで①のステップも抑制できるようになり、根本的な部分から避妊効果を期待できるように改良されたのです。
また、妊娠が成立するには最終的に受精卵が着床する場所である子宮内膜が分厚くてフカフカのベッドのような状態である必要がありますが、①を抑えられると、卵巣から産生されるエストロゲンも抑えられるため、子宮内膜も薄く保たれるようになり、不正出血の頻度が減り、月経量も少なくできるようになりました。
つまり、低用量ピルは従来のプロゲステロンのみのピルで補えなかった部分をカバーし、①〜④全てをブロックできるお薬として誕生しました。この結果、避妊効果はかなり高くなりましたが、同時に副作用も現れてしまうことがわかりました。
一番新しいミニピルは、副作用が少なくなるように再度このエストロゲンを外したものです。避妊の仕組みとしては初期のお薬に似ていますが、プロゲステロン自体の開発も進んでいるため期待できる効果は大幅に改善されており、低用量ピル同様の効果が期待できます。。そして、ピルというと毎日決まった時間に飲まなければいけないというイメージがあるかもしれませんが、ミニピルの場合は万が一いつもの時間に飲み忘れても、その後24時間以内に飲めば問題ない仕様になっているんです。
岡部先生のコメント
ミニピルは血栓症のリスクが低く、低用量ピルの服用が難しい方にとっても避妊や治療の新たな選択肢となり得る薬剤です。今悩んでいる方、まずは医療機関を受診のうえ、ご自身の体調やライフステージに合っているか医師とご相談ください。
プロフィール:関東中央病院産婦人科医長 岡部葉子先生
公立学校共済組合関東中央病院 産婦人科医長/女性ヘルスケア専門医・指導医
長崎大学医学部卒業後、産婦人科医として20年以上勤務。日々の診療で「もっとはやく、思い切って産婦人科を受診していればよかった」という患者さんからの声を多く受け、受診の敷居を低くする必要性を痛感。女性特有の体調変化やその対処法を広く知ってもらうための講演などを多数行なっている。
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