医師が解説!閉経前の大量出血・月経困難症の緩和にも有効?避妊具「ミレーナ」って?ピルとの違いは?
先日、タレントの益若つばささんが装着を公表するなど、婦人科診療の新たなキーワードとして注目を集めている「ミレーナ」。海外では多くの女性が取り入れている避妊具ですが、避妊リングというネーミングから、偏見や誤解を持たれがち。実は避妊以外の効果に、過多月経や生理痛の緩和など効果があることを知っていますか? 女性の体を考えるための選択肢としてミレーナを正しく理解するために、大阪美容クリニック理事長・南真実子医師に、ピルとの違いや保険診療についてなど様々なギモンにお答えいただきました!
不調の原因となるホルモンの分泌を調整
月経困難症や過多月経などの治療に、低用量ピルを服用している人も多いかもしれません。そこで、まずは両者の違いから解説していきます。
Q:ミレーナと低用量ピルとの違いとは?
「いちばんの違いは“ラクさ”ですね。ミレーナは一度装着すれば、5年の有効期間内、定期検診以外には、特になにもする必要はありません。一方、低用量ピルは毎日、決まった時間に服用する必要があり、飲み忘れると効果が薄れてしまいます。また、低用量ピルの重篤な副作用に血栓症があり、血栓ができやすい体質の人や血栓症のリスクが高いヘビースモーカー(35歳以上で1日15本以上喫煙する人)は低用量ピルを服用することができません。ミレーナには、こうした副作用がないため、血栓症のリスクからピルを服用できない人も使うことができます」(南医師)
Q:月経困難症や月経過多に、ミレーナが効果的な理由とは?
「月経時の体の仕組みから説明しますね。妊娠に備えて厚く増殖した子宮内膜は、妊娠が成立しないと、血液と一緒に月経血として体の外へ排出されます。このとき、月経血の排出を促すため、子宮内膜から子宮を収縮させるホルモン・プロスタグランジンが分泌されます。この分泌量が多いと痛みが強くなり、月経困難症を招くことに。子宮内にミレーナを装着すると、黄体ホルモン・レボノルゲストレルが継続して放出され、子宮内膜の増殖を抑制。子宮内膜を薄い状態に保つことで、プロスタグランジンの分泌が抑えられ、月経困難症を改善へと導きます。結果的に月経量が少なくなるため、過多月経の改善にも有効で、ミレーナ装着後、約20%の女性が1年以内に月経がおこらなくなったと報告されています」(南医師)
Q:閉経に向かう、更年期の大量出血にも有効?
「女性ホルモンの分泌が不安定になる更年期は、月経時に子宮内膜がうまく剥がれず、ある月に厚くなった子宮内膜がまとまって剥がれ落ち、大量出血になることがあります。ミレーナを装着して子宮内膜を薄い状態に保つことは、更年期のホルモンバランスの乱れによる大量出血の予防にも有効といえますね」(南医師)
Q:保険診療が可能ですか?
「月経困難症や過多月経の治療には保険が適応されますが、避妊が目的の場合は自費診療となります。参考までに、ミレーナと低容量ピルとで月経困難症や過多月経の治療費を比較すると、最初にかかる費用はミレーナのほうが高額ですが、その後のコストを考えると、トータル的にはミレーナのほうがリーズナブルといえそうです」(南医師)
Q:ミレーナを装着すると太る?
「ミレーナの副作用に体重増加はなく、太りやすくなるということはありません。ただ、年齢を重ねると代謝が落ち、太りやすくなるので、ミレーナの装着に関わらず、毎日の食事や生活習慣には、日頃から気をつけたいですね」(南医師)
教えてくれたのは……南真実子医師
医療法人大美会理事長、産婦人科専門医。「大阪美容クリニック」にて産婦人科・美容医療を通じて女性の美と健康をサポートしている。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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