医師が解説Q&A|益若つばさが装着を公表、避妊具「ミレーナ」って?避妊だけじゃないメリットとは
先日、タレントの益若つばささんが装着を公表するなど、婦人科診療の新たなキーワードとして注目を集めている「ミレーナ」。海外では多くの女性が取り入れている避妊具ですが、避妊リングというネーミングから、偏見や誤解を持たれがち。実は避妊以外の効果に、過多月経や生理痛の緩和など効果があることを知っていますか? 女性の体を考えるための選択肢としてミレーナを正しく理解するために、大阪美容クリニック理事長・南真実子医師に、装着時の痛みや副作用についてなど様々なギモンにお答えいただきました!
ミレーナで避妊できる仕組みと避妊だけじゃないメリットとは?
Q:ミレーナとは?
「子宮内に装着するタイプの避妊具で、避妊リングやIUS(Intra Uterine System)とも呼ばれています。T字型の小さな器具で、医療機関での装着が前提となります」(南医師)
Q:ミレーナを装着すると、なぜ避妊できるの?
「妊娠は、妊娠に備えて厚く増殖した子宮内膜に受精卵が着床することで成立します。ミレーナを子宮内に装着すると、黄体ホルモン・レボノルゲストレルが継続して放出され、子宮内膜を薄い状態に保つことができ、受精卵の着床を防ぐことができるのです。また、子宮の入り口の頸管粘液を変化させる働きもあり、子宮内への精子の侵入を防ぎます。ミレーナは子宮内膜に作用するため、避妊に加え、月経困難症や過多月経、生理痛の改善にも有効です」(南医師)
Q:ミレーナの避妊効果は、どのくらい続くの?
「最長5年間、効果が続きます。さらに継続を希望する場合は、抜去のタイミングで新しいミレーナを装着することも可能です」(南医師)
Q:装着に適した時期はある?生理中でもつけられるの?
「ミレーナを取り入れるには、事前の検査が必要になります。装着を決めたら、その1ヶ月前の月経終了後にミレーナの装着を実施している医療機関で検査を受けてください。検査結果に問題がなければ、月経開始日を1日目として月経量が多い2〜3日目は避け、4〜7日以内に装着します。月経終了の直前に行うのは、ほかの時期に比べて子宮口が開いているため、装着がスムーズだからです。装着にかかる時間は、通常5〜10分ほどです」(南医師)
Q:装着時に痛みはどれくらいあるの?
「痛みに関しては個人差がありますね。子宮内に挿入するものなので、出産経験のある人とない人でも痛みの感じ方が違うかもしれません。出産経験があると子宮口が開いているため、比較的痛みを感じにくいですが、出産経験がない人は子宮口が狭いため、子宮内への挿入時に痛みを感じやすいかもしれません」(南医師)
Q:装着後の副作用は?
「装着後1ヶ月ほどは、不正出血がみられる頻度が高いですが、時間の経過とともに落ち着きます。また、下腹部痛や腰痛を感じたり、ごく稀に感染症をおこすケースも。体に異変や不調を感じたら、速やかに医師に相談してください。そのほか、気づかないうちにミレーナの位置がずれたり、脱落していることもあるので、定期検診は必須です。検診のタイミングは装着後1ヶ月、3ヶ月、半年、1年。それ以降は、1年に1回となります」(南医師)
Q:妊娠を希望する場合、ミレーナを取り外せば、また妊娠できる?
「はい。ミレーナを抜去することで、通常の女性ホルモンのバランスに戻り、妊娠が可能になります」(南医師)
女性のライフステージに関わる妊娠・出産を自らコントロールできる「ミレーナ」は自分自身を守り、人生設計を考える上でのひとつの選択肢といえそうです。
教えてくれたのは……南真実子医師
医療法人大美会理事長、産婦人科専門医。「大阪美容クリニック」にて産婦人科・美容医療を通じて女性の美と健康をサポートしている。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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