ピルを始めるなら知っておきたい!血栓症リスクが高い人の特徴とリスク対策【専門家が解説】
生理やPMS、避妊について考える中で、「ピルを試してみたいけれど副作用が心配」と感じたことはありませんか?そんな中で注目されているのが、2025年に日本で取り扱いが開始されたミニピルです。エストロゲンを含まないという特徴から、これまでピルを諦めていた方にも関心が広がっています。本記事では、ミニピルの特徴や低用量ピルとの違い、服用前に知っておきたいポイントを、関東中央病院産婦人科医長・岡部葉子先生に伺いました。
ミニピルとは?
ミニピルとは、従来の低用量ピルの主成分であるエストロゲン(卵胞ホルモン)を含まず、プロゲステロン(黄体ホルモン)のみを主成分とする経口避妊薬の総称。日本では2025年6月より販売が開始されました。
ミニピルの特徴
- 月経困難症やPMS(月経前症候群)の治療や避妊を目的として服用できる。
- 血栓症リスクが低い:エストロゲンを含まないため、血栓症リスクが高い方でも服用できる。
- 授乳中でも服用可能:母乳への移行がとても少ない。母乳分泌を抑制しない。
- 休薬期間がない:毎日続けて服用するため、飲み忘れにくく、ホルモンバランスが安定しやすい。
- 高い避妊効果:正しい服用で、低用量ピルとほぼ同等の避妊効果が得られる。
今回は、ミニピルに関する疑問について、関東中央病院産婦人科医長の岡部葉子先生にご回答いただきました。
ミニピルの血栓症リスクが低いのはなぜ?
ーーーなぜミニピルは血栓症リスクが高い方でも使用できるのでしょうか?
そもそも、なぜ低用量ピルが血栓症を引き起こす原因になるかというと、エストロゲンが含まれているからです。低用量ピルを口から摂取すると代謝される過程で肝臓を通過します。肝臓では凝固因子と呼ばれる血液を固める成分がつくられますが、人が怪我をしても時間が経つと血が止まるのは血管の中にこの成分があるから。そして、エストロゲンは肝臓を刺激してこの凝固因子を活性化する性質を持っているため、摂取しない場合に比べると血栓症を引き起こしやすくなるというわけです。こういった症状の現れ方は体質によって差があり、ほとんどの方では問題にならないのですが、残念ながら副作用として強く現れてしまう方もいらっしゃいます。その点、ミニピルにはエストロゲンが含まれていないため、血栓症のリスクに関して心配する必要が少ないと言われています。
ただ、ミニピルの主成分であるプロゲステロンについても、何も摂取しない方に比べると多少は血栓ができやすくなる可能性があります。これは、プロゲステロンには血管の内側を裏打ちしている細胞に影響を及ぼす作用があるからです。こういった面も踏まえて、ミニピルを選ぶことで血栓のリスクがゼロになるわけではなく、低用量ピルの場合と比較すると低く抑えられるとお伝えしています。
血栓症リスクが高い人の特徴とリスク対策
ーーーどのような体質の方が血栓症を起こしやすいのでしょうか?
まず気をつけるべきなのは、遺伝的に血栓ができやすい体質を持っているケース。そのため、問診の際にはご家族の中でエコノミークラス症候群を起こした方がいらっしゃるかを尋ねることがあります。それ以外には、BMIが高い肥満気味の方や喫煙者の方です。紙タバコか電子タバコかにかかわらず、タバコを吸うこと自体がリスクになりますし、年齢が高いほどタバコを吸う本数制限も厳しくなります。
また年齢については、体質や生活習慣に問題がなくても年齢が上がるほど血栓ができやすくなります。一つの目安として、40歳以上の方は血栓症のリスクが高まる傾向があるとお伝えしています。
ーーーこのようなリスクを下げるために、日常的に意識できることはありますか?
すぐに実践できることとしては、こまめに水分を摂ることですね。エコノミークラス症候群の予防と同様に、長時間同じ姿勢で過ごさないことが大切です。他には、BMIの高い方に関してはできるだけ体重を減らすこと。喫煙習慣がある方に関しては、本数を減らすか禁煙することを推奨しています。
ーーーピルを服用する際のリスク管理に関しては、低用量ピルもミニピルもあまり変わらないのでしょうか?
ミニピルの場合はそこまで気にする必要はないと思いますが、やはり最初のうちは血栓症を起こした時の症状(胸が苦しいなど)の有無に注意していただければと思います。
岡部先生のコメント
ミニピルは血栓症のリスクが低く、低用量ピルの服用が難しい方にとっても避妊や治療の新たな選択肢となり得る薬剤です。今悩んでいる方、まずは医療機関を受診のうえ、ご自身の体調やライフステージに合っているか医師とご相談ください。
プロフィール:関東中央病院産婦人科医長 岡部葉子先生
公立学校共済組合関東中央病院 産婦人科医長/女性ヘルスケア専門医・指導医
長崎大学医学部卒業後、産婦人科医として20年以上勤務。日々の診療で「もっとはやく、思い切って産婦人科を受診していればよかった」という患者さんからの声を多く受け、受診の敷居を低くする必要性を痛感。女性特有の体調変化やその対処法を広く知ってもらうための講演などを多数行なっている。
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