『玉ねぎ好き』は健康のサイン? 最新研究で将来の糖尿病・高血圧リスクとの意外な関係が明らかに!
玉ねぎが好きな人は、将来の糖尿病や高血圧になりにくいかもしれない。
味覚と遺伝子が明かした、健康との意外なつながり
「玉ねぎが好きな人は、将来の糖尿病や高血圧になりにくいかもしれない」―そんな興味深い研究結果が、このほど医学誌『BMC Medicine』に発表された。研究を行ったのは、米モネル化学感覚センターをはじめ、米国立衛生研究所(NIH)、オーストラリア・クイーンズランド大学、英国ブリストル大学などの国際研究チーム。味覚や嗅覚に関わる遺伝子と食べ物の好み、そして将来の健康との関係を調べたところ、「玉ねぎを好む傾向」と「2型糖尿病や高血圧リスクの低さ」との間に関連があることがわかった。
玉ねぎ好きの「OR2T6」を持つ人は、2型糖尿病の発症リスクが低く、血圧も低い傾向が見られた
研究では、英国の大規模データベース「UKバイオバンク」に登録された16万人以上の遺伝情報と食の好みを解析。さらに別の若年層グループでも同様の結果が確認された。研究チームは、325種類の味覚・嗅覚受容体遺伝子と140種類の食品との関係を調査。その結果、117種類の遺伝子が96種類の食品の好みに関係していることが明らかになった。
ニンニクやグレープフルーツ、西洋ワサビ、ソラマメなどさまざまな食品との関連が見つかるなか、とりわけ注目されたのが「玉ねぎ」だった。嗅覚受容体遺伝子「OR2T6」の特定のタイプを持つ人は玉ねぎを好む傾向が強く、この遺伝子を持つ人では、2型糖尿病の発症リスクが約14%低く、収縮期・拡張期血圧も平均して低いことが確認された。
今回の研究で注目された「OR2T6」は、においを感じ取る嗅覚受容体遺伝子の一つだ。この遺伝子のタイプは、玉ねぎの香りや風味をより好ましく感じることに関係しており、実際に玉ねぎを食べる量とも関連していた。また、所得や生活環境など社会的要因との関連もほとんど見られず、「玉ねぎ好き」を比較的純粋に反映する遺伝的な指標として利用できることも確認された。研究チームは、この遺伝子を手がかりに健康との関連を調べた結果、血圧や2型糖尿病リスクとのつながりが浮かび上がったとしている。
今回の研究では、「メンデルランダム化」という解析手法が用いられた。これは、生まれつき持っている遺伝子の違いを利用して、食生活と病気の因果関係をより客観的に調べる方法だ。一般的な栄養研究では、食事以外の生活習慣の影響を完全に切り分けることが難しく、食事内容も自己申告に頼るため誤差が生じやすい。一方、遺伝子は生涯変わらないため、「病気になってから食生活を変えた」といった影響を受けにくく、食生活が健康に与える影響をより信頼性高く検証できると考えられている。
玉ねぎに含まれる健康成分にも注目
玉ねぎには、ポリフェノールの一種である「ケルセチン」をはじめ、硫黄化合物など健康維持に役立つとされる成分が豊富に含まれている。ケルセチンには抗酸化作用や抗炎症作用があり、これまでの研究でも血圧の改善や血管機能の維持に役立つ可能性が報告されている。今回の研究では、こうした成分が健康効果に関与している可能性も考えられるとしているが、そのメカニズムについては今後さらに詳しい検証が必要だ。
「好きな食べ物」が健康研究の新たなヒントになるかもしれない
もちろん、この研究だけで「玉ねぎをたくさん食べれば糖尿病や高血圧を予防できる」と結論づけることはできない。今回の対象者は主に英国の人々であり、ほかの国や人種でも同じ結果が得られるかは今後の研究課題だ。また、OR2T6という遺伝子が玉ねぎへの好み以外の生理機能に関わっている可能性も残されている。
それでも今回の成果は、「何をおいしいと感じるか」という味覚や嗅覚の遺伝子を手掛かりに、食事と病気との関係を探る新しい研究手法を示した点で大きな意義がある。私たちの「好きな食べ物」は単なる好みではなく、生まれ持った体質や将来の健康と結び付いているのかもしれない。そんな可能性を示した、興味深い研究といえそうだ。
出典:
Your Taste For Onions May Reveal Something About Your Future Health
DNA Variations Linked to Food Preference May Shape Our Health
New Study Finds People Who Love Eating Onions Might Have Better Long-Term Health
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