【午後1〜3時に20分眠るだけで? 】最新エビデンスでわかった“短時間昼寝”が脳の働きを回復させるメカニズム

【午後1〜3時に20分眠るだけで? 】最新エビデンスでわかった“短時間昼寝”が脳の働きを回復させるメカニズム
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山口華恵
山口華恵
2026-02-17

午後になると集中力が落ち、思考が鈍くなる…。そんな“午後の壁”を乗り越える方法として、いま科学的に裏付けられつつあるのが短時間の昼寝だ。最新研究で、短めの昼寝が脳の回復と学習能力の向上に直結することを示された。

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短時間の昼寝でも脳は十分にリフレッシュできる

スイスのジュネーブ大学やドイツのフライブルク大学医療センターなどの研究チームは、医学誌『NeuroImage』で、短めの昼寝が脳に与える影響を報告した。研究では健康な若年成人20人を対象に、午後に平均45分の昼寝をした場合と、同じ時間起き続けた場合の脳の状態を比較している。その結果、昼寝後には神経細胞同士をつなぐ「シナプス」の状態が変化し、新しい情報を取り込みやすい状態に整えられていることが確認された。これまで、このような回復は一晩の睡眠後にのみ起こると考えられてきたが、短時間の昼寝でも脳は十分にリフレッシュできることが示された。人の脳は日中、情報や感情、思考を処理し続けている。学習を重ねるほどシナプスは強化されるが、その結果、脳は“飽和状態”に近づき、新しいことを覚えにくくなる。昼寝は、この過剰な活動を一度リセットし、既存の記憶を保ったまま、次の学習に向けた余白を作る役割を果たす。

「午後1〜3時の20分」がベストな理由とは?

短時間の昼寝が効果的とされる理由は、体内リズムにある。午後1時から3時は、夜の睡眠とは別に自然な眠気が訪れやすい時間帯で、「シエスタタイム」とも呼ばれる。この時間に20分前後の昼寝をとることで、深い睡眠に入る前に目覚めることができ、起床後のだるさを最小限に抑えられる。一方、30分以上の長い昼寝は「睡眠慣性」と呼ばれる強い眠気や頭の重さを引き起こしやすい。さらに、長時間の昼寝は夜の就寝時間を遅らせ、睡眠リズムを乱す原因にもなる。研究では、長い昼寝が体格指数(BMI)の上昇や血圧の増加、肥満や糖尿病、心血管疾患と関連する代謝症候群のリスクと関係する可能性も指摘されている。その点、20分前後の昼寝は脳をリフレッシュさせながら、生活リズムを崩しにくい“安全域”だといえる。

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効果を最大化する昼寝の環境づくりが重要

短時間でも昼寝の効果を高めるには、環境が重要になる。部屋はやや暗く、涼しい状態が望ましい。暑すぎたり寒すぎたり、照明が強すぎる環境では、体が休息モードに入りにくい。服装は締め付けの少ないものを選び、リラックスできる姿勢をとることが重要だ。また、ベッドに入ると長く眠りすぎてしまう人は、ソファで軽く横になる程度が適している。あくまで目的は「深く眠ること」ではなく、「脳を一度オフにすること」だ。

研究者らは、たとえ一時的に睡眠不足になったとしても、それだけで学習能力や仕事のパフォーマンスが大きく低下するわけではないと強調している。一方で慢性的な不眠が続く場合は、睡眠薬に頼るよりも、生活習慣や思考パターンを整える認知行動療法(CBT-I)が有効とされる。午後1〜3時に20分前後の昼寝をとる―それだけで脳はリセットされ、新しい情報を受け入れる準備が整う。忙しい日常の中でも取り入れやすいこの習慣は、午後の集中力や発想力を取り戻す、最もシンプルで科学的な方法のひとつだ。

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出典:

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