【タトゥーインクは体内を巡り、免疫に影響?】リンパ節に蓄積し、炎症や免疫細胞の変化を引き起こす可能性を最新研究が示唆
日本でも若者を中心にファッションとして定着しつつあるタトゥーだが、そのインクの安全性に関しては十分に知られていない。体内に残留し、免疫に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
タトゥーインクは皮膚だけにとどまらない
ファッションや自己表現の一部として、いまや特別なものではなくなったタトゥー。アメリカでは成人の約3人に1人が少なくとも1つのタトゥーを入れているとされ、その人気は世界的に広がっている。一方で、そのインクが体内でどのような影響を及ぼしているのかについては、意外なほど分かっていない。そんな中、タトゥーインクが免疫システムに影響を与える可能性を示す研究結果が、米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された。
スイス・ルガーノ大学の研究チームはマウスを用い、タトゥーを入れた直後から体内で何が起きているのかを詳細に追跡した。すると、タトゥーインクは皮膚の中に静かに留まるのではなく、施術後わずか数分でリンパ系へと流れ込み、リンパ節に到達することが確認された。リンパ節は、体内に侵入した異物や病原体を監視する、免疫システムの要とも言える場所だ。研究では、インクがリンパ節に蓄積し続け、少なくとも2か月間にわたって残留している様子が観察された。
免疫細胞は減少し、炎症が続く
さらに注目されたのが、免疫細胞への影響だ。リンパ節内では、マクロファージと呼ばれる免疫細胞がインクを取り込み、その過程で細胞死が引き起こされていた。タトゥー後24時間以内に、マクロファージの総数が「有意に減少」していたという。マクロファージは、細菌やウイルス、異物を処理するだけでなく、免疫反応の調整にも重要な役割を果たす。その数が減少し、同時に炎症が慢性的に続く状態は、免疫のバランスに何らかの変化をもたらす可能性がある。研究者らは、インクの長期的な残留と免疫細胞の死が、感染症への抵抗力や体内の異常細胞を監視する機能に影響する可能性を指摘している。ただし、これがどの程度、どのような形で健康に影響するのかは、現時点では明確ではない。
今回の研究はマウスを対象としたものだが、タトゥーインクが人のリンパ節に蓄積すること自体は、以前から報告されている。実際、タトゥーを入れた人のリンパ節が黒や青に着色しているケースは、手術や解剖の際に確認されてきた。研究チームは、人のリンパ節組織も分析し、タトゥー経験者では、色素の沈着とともに炎症が見られることを確認している。これらの所見は、今回マウスで観察された変化と多くの点で一致している。
がんとの関連を示す研究も
近年、タトゥーと特定のがんとの関連を示唆する疫学研究も相次いでいる。2024年にスウェーデンで発表された約1万2000人を対象とした研究では、タトゥーを入れている人は、入れていない人に比べて悪性リンパ腫のリスクが21%高いことが報告された。リスクは施術後2年以内と、10年以上経過した後に特に高まる傾向が見られたという。また、デンマークの双子研究では、タトゥーのある人で皮膚がんやリンパ腫のリスクが高く、特に手のひらより大きなタトゥーでは、リンパ腫のリスクが約2.7倍に上昇していた。これらの研究はいずれも因果関係を断定するものではないが、インクの成分が体内を移動し、免疫組織に長期間留まるという事実を踏まえると、慎重に検討すべきではないだろうか。
出典:
Tattoo ink may cause prolonged changes to the immune system
Tattooing may trigger localised damage to the immune system
Tattoo ink alters immune cells and weakens some vaccine responses
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