閉経後女性の筋力をサポート!? 最新研究で明らかになった“ぶどう”の力、どれくらい食べたらよい?
秋の味覚として人気のぶどうは今まさに旬!ただ美味しいだけでなく、体にも嬉しい効果をもたらすことが、最新の臨床研究で明らかになった。
サルコペニア対策にぶどうが効果的
米カリフォルニア大学デービス校の研究チームは、閉経後の女性、特にポスト更年期女性を対象に行った試験で、毎日1.5カップ分のぶどうを摂取するだけで筋力を改善し、筋肉や骨の健康をサポートするホルモン「イリシン」のレベルも向上することを確認した。研究結果は科学誌『Food & Function』に掲載され、科学的根拠に基づく食事での工夫として注目されている。
「サルコペニア」とは、年齢を重ねるにつれて筋肉がだんだん減り、力も弱くなっていく状態のことを言い、早い人では40代から始まることもある。サルコペニアが進行すると、歩行や日常動作が困難になり、生活の質の低下や介護の必要性、医療費増加といった問題にもつながる。しかし、効果的な治療法はまだ確立されていない。
今回の研究では、閉経を迎えた後のポスト更年期女性を対象とした。ポスト更年期とは、閉経を迎えた後、体内の女性ホルモン(エストロゲン)が低下した状態が続く時期を指す。この時期は骨密度や筋力の低下が起こりやすく、サルコペニアのリスクが特に高まるため、日常の食事で健康を維持する工夫が重要だ。今回の研究を率いたジェラルド・マッケンジー博士は、「閉経後の女性でも、毎日1.5カップのぶどうを食事に取り入れるだけで筋力が改善される可能性がある」と述べている。
筋肉や骨の成長を助けるホルモン「イリシン」が向上
研究では、被験者を2つのグループに分けた。ぶどうグループは、1.5カップ分のホールグレープパウダーを毎日摂取、そしてプラセボグループは、ぶどうの有益な植物栄養素を含まないパウダーを摂取した。試験期間終了後、ぶどうを摂取したグループは握力や歩行速度のテストで有意な改善を示した。さらに、筋肉や骨の成長を助けるホルモン「イリシン」の血中濃度も測定され、ぶどう摂取グループでは平均14.4%増加、プラセボグループでは7.8%減少。数値自体は統計的に有意ではなかったものの、握力の改善とイリシンレベルの上昇には明確な関連が見られた。マッケンジー博士は、「ぶどうは日常の食事に手軽に取り入れられ、筋力維持や骨の健康に寄与する可能性がある」と指摘する。
美味しくて体にもいい、ぶどうの魅力
ぶどうは甘みと酸味のバランスがよく、そのまま食べても美味しく、ヨーグルトやサラダ、スムージーにもアレンジ可能。抗酸化作用を持つポリフェノールやビタミン、食物繊維も豊富で、心臓病や糖尿病のリスク低減にも役立つとされる。美味しくて旬な秋の味覚を楽しみながら、体の健康もサポートできる。まさに一石二鳥の果物といえるだろう。
出典:
New UC Davis research reveals regular grape consumption improves muscle strength and irisin levels in postmenopausal women
Daily Consumption of Grapes Improves Muscle Strength Markers in Postmenopausal Women
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