自分らしい「ありがとう」の伝え方【パリで見つけた生きやすさのヒント】


極度の人見知りだった私の人生を180度ひっくり返してくれたのが、20代後半からのパリ暮らしでした。東京でPR会社を起業して全国で仕事をする「今」につながる出会いの数々。本連載「パリで見つけた生きやすさのヒント」では、パリでたくさんの人や出来事から教わった、気持ちが少し楽になる生きやすさのヒントをご紹介します。
感謝の気持ちを手書きで伝えることで、人生は素晴らしく思いがけない方向へと進んでいく。起業したばかりの頃、そんなテーマでコミュニケーションの本を書いたことがあります。今でも、贈物をする時にはメッセージカードと一緒にお渡しすることが多く、ときには短いフランス語を添えることもあります。
なかでも、お気に入りのフレーズが「Merci mille fois(メルシー・ミル・フォワ)!」。直訳すると、1000回のありがとうですが、mille(ミル / 1000)には、たくさんという意味もあるので、「どうもありがとう」と感謝を伝える言葉になります。

フランス語の定番フレーズ「Merci beaucoup(メルシー・ボーク―)」よりも音が柔らかくて、感謝が繊細に折り重なっているようなイメージが好みで、よく使っています。学生時代から大好きなお菓子、ミルフィーユ(=たくさんの「feuille(フィーユ / 葉っぱ)」を重ねたようなケーキ)の「ミル」に使われている単語というのも、この表現に親しみが湧く理由のひとつかもしれません。日本語にすると、どちらも同じ「どうもありがとう」になるのですが、何となくニュアンスが違う気がして、話す時はbeaucoup、書く時はmille foisを選ぶことが多いです。

10代で初めて訪れて以来、暮らしたり、出張や旅行で折々に足を運んだりしているパリ。言葉がおぼつかないからこそ大切にしているのが、関わった人にできるだけ感謝の気持ちを伝えることです。
拙著の中では、「すぐに伝える」「手書きで伝える」「自分らしく伝える」ことをポイントとして、ありがとうの手書き習慣としてまとめました。国籍や年齢、立場を問わず、ありがとうと言われて嫌な気持ちになる人は滅多にいないと思います。忙しい日々の中、ふと忘れそうになることもありますが、どこにいてもできるだけ大切にしたい習慣のひとつです。
出会いや別れも増える春、普段なかなか伝えられていない感謝の気持ちを、あなたらしい言葉を選んで伝えてみませんか。手書きでもそうでなくても、日本語でもフランス語でも、誰かの笑顔に出合えるはずですよ。
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