好きや得意を交換して、人生を豊かにする知恵【パリで学んだ生きやすさのヒント】

 好きや得意を交換して、人生を豊かにする知恵【パリで学んだ生きやすさのヒント】
AdobeStock
MIKI
MIKI
2024-07-15

極度の人見知りだった私の人生を180度ひっくり返してくれたのが、20代後半からのパリ暮らしでした。東京でPR会社を起業して全国で仕事をする「今」につながる出会いの数々。本連載「パリで見つけた生きやすさのヒント」では、パリでたくさんの人や出来事から教わった、気持ちが少し楽になる生きやすさのヒントをご紹介します。

広告

パリの友人からの素敵な提案「échange(エシャンジュ)」

秋にパリに行けたらいいなと、軽い気持ちで定宿のウェブサイトを開いたら1年先まで予約でいっぱいでした。世界中から人が集まる夏が過ぎても、花の都はまだまだオンシーズンのようです。東京からの旅が少しずつ贅沢なものになりつつあるパリ。こんな時代だからこそ、日本でもできたらいいのにと思うのが「échange(エシャンジュ)」です。

同じ価値のものを交換するという意味の言葉で、私は、留学時代に日本語とフランス語のレッスンをエシャンジュしていました。

パリ
AdobeStock

きっかけは、日本語を学んでいた友人のクリスティーヌからの提案でした。「小説を読んでいると、どうしてもわからないところが出てきて困る。お互いに1時間ずつ母国語を教え合うのはどう? レッスン代はかからないし勉強になるし、一石二鳥じゃない?」。なんていい考え! と思った私はすぐに賛成。同じ区に住んでいたこともあり、週末からすぐに交換授業が始まりました。

クリスティーヌからの質問はニュアンスに関するものが多く、説明に苦労することもありましたが、とてもいい勉強になりました。「が」と「を」が与える印象の違いを、手振り身振りも交えて全力で解説した日のことは今でもよく覚えています。私も彼女から、生きたフランス語を数えきれないほど教えてもらいました。なかでも、「ミキ、changer(シャンジェ / 変える)を使う時は、deをつけて。『電車を乗りかえる』はchanger de train(シャンジェ・ド・トラン)になるよ」のような、小さな間違いの修正にはかなり助けられました。外国人として暮らしていると、なんとなく通じればOKということも多く、日常の中でこまかい部分を直される機会があまりなかったからです。

パリ
AdobeStock

帰国後してからもずっと願っているのが、いつかまた誰かとエシャンジュしたい! ということ。今は、知らない人にも簡単に仕事を依頼できる時代ですが、顔が見える相手とお互いの得意分野を教えあうのは温かみがあって良いものだと思うのです。もし、皆さんが試すなら誰と何を交換してみたいですか。私は、当時はフランス人の友人と母国語を教えあっていましたが、今なら、専門分野のコミュニケーションに関することや、考えていることを整理してわかりやすい言葉にすることなど、整理整頓と言語化の時間を提供できたら面白いかもしれないとイメージしています。

相手と自分の得意を大切にしながら等価交換ができるエシャンジュ。その考え方には、生きやすさ、暮らしやすさのヒントが隠れているような気がします。

広告

AUTHOR

MIKI

MIKI

古美術商の家に生まれる。極度の人見知りだったが、20代後半からのパリ暮らしで人生観が変化。フランス語を学び、社会人研修生として過ごした国際学園都市での出会いを通して、コミュニケーションの大切さに目覚める。帰国後PRの世界に入り、世界最大級の水族館や地球温暖化防止プロジェクトなどに携わった後、2011年に起業。PRコンサルティングやブランディング、執筆を行う。現在地は、東京、沖縄、ときどきパリ。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

パリ
パリ