「余命30ヶ月」と言い渡された自然薬剤師「DAY BY DAY」藤井晶浩さんと妻・多恵子さんの生き方

「人生を楽しむために健康でいる」藤井晶浩・多恵子さんご夫婦インタビュー【わたしの、はじめの一歩】#11

連載11回目は、自然薬剤師「DAY BY DAY」として、薬に頼らない身体作りを提案し、各地で予防医学のセミナーを行なっている藤井晶浩・多恵子さんご夫妻。夫・晶浩さんが癌で「余命30ヶ月」と宣告されてから、彼らは不安の中で“何故”と戦った。そして今、健康の素晴らしさを多くの方に伝えるべく、笑顔で活動している。そんな彼らの笑顔の元にあるものとはー

――夫を“アキちゃん”、妻を“タエちゃん”と呼び合い、新婚夫婦のように仲の良いお二人の出会いについて聞かせてください。
（アキ）「新婚って、よく言われるんですよね。飽きてしまうので、呼び方はたまに変えるようにしています（笑）。出会いは、同じ福岡の大学に通っていた頃です。友人10人くらいでサーフィンを始めようと、車3、4台で宮崎に一緒に行き、仲良くなりました。そして付き合うようになり、5年ほどで結婚しました。今年で11年目ですね。」

――病気が分かったのはいつ頃だったのでしょうか。
（アキ）「結婚して2年半経った2016年の3月、僕は33歳でした。会社の健康診断でひっかかったのですが、忙しいことを理由に、大腸カメラの再検査通知を半年くらい放っておいてしまい…。沖縄で1店舗薬局を任せてもらっていた頃です。ひと段落してから、ようやく重い腰をあげて再検査に行きました。」

――多恵子さんにはすぐに話したのでしょうか。
（タエ）「その話をされたときのことを、はっきりと覚えています。再検査の日、私はもともと予約していた料理教室に行き、アキちゃんは同じ時間に病院に行ってくるということだったので、その後に待ち合わせをしました。そしてスーパーの駐車場で『癌かもしれない』と。私は突然のことで信じられず『いやいや、うそでしょ』と驚きのあまり笑ってしまったほどです。その後スーパーで買い物をしていたら、少しずつ不安が押し寄せてきました。もうこの日常がなくなるのかも、と。」
（アキ）「そして翌日に二人で病院に行ったら、大腸癌で、リンパ節にも肝臓にも転移があると伝えられました。ステージ4だと。」

――そして余命宣告を受けたのですね。
（アキ）「『余命30ヶ月』と言われました。沖縄から、タエちゃんの実家がある福岡に移ることにしました。大腸の手術のために2週間ほど入院し、その後は半年ほど実家で過ごしました。実家ではもともと和食中心で、あまり味付けをしない、素材を大切にした食事だったので、とても良い環境でしたね。」
（タエ）「そう、味付けは鰹節と醤油だけ（笑）！」
（アキ）「大腸癌は、食の欧米化が一番の原因だと言われています。生活習慣病のひとつと言えますよね。私たちは大学でそのことを学んできましたが、“どの程度で欧米化なのか”は習っていませんでした。元々ヨガやサーフィンが好きで、自分ではどちらかというと健康だと思っていましたし、どの程度の食生活が正しいのかは分からず、急に生活を変えることに抵抗がありました。和食やコールドプレスジュースが良いからと言って、これまでの自分を否定されているようで、納得できなくて。すぐには受け入れられませんでしたね。」
（タエ）「最初の頃はコールドプレスジュースなんてなくて、ハンドミキサーで作ったドロドロのにんじん＆ほうれん草ジュースを飲ませて、ひと悶着あったり（笑）。大変でしたね。余命宣告をされて、アキちゃんは放心状態でした。『あぁそうなんだ…』と“無”になってしまった感じです。」
（アキ）「今から何かを始めたとしても、30ヶ月後に死ぬんだったら、やっても意味がないと思っていました。」

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