ヨガは絶望からの「自立」を促せるのか|「がんフレンズヨガ」クラスを取材

Mika Nakayama

ヨガは絶望からの「自立」を促せるのか|「がんフレンズヨガ」クラスを取材

厚生労働省「平成29年(2017年)人口動態統計」では、日本人の死亡原因の第一位は男女ともにがんであり、今や2人に1人はがんに罹患する時代。日本でも海外同様、手術や化学療法で変化する心身のケアとしてヨガが注目され始めています。そこで、以前より2つのがんサバイバー向けクラスを開催しているアンダーザライト ヨガスクール(UTL)を訪問。クラス参加者、乳がんの罹患を機にクラスを立ち上げたヨガ講師、スタジオ運営者のインタビューを通して、がんサバイバーに対する「ホリスティックケア」としてのヨガの役割について考えます。

身体的リハビリ効果と、自己肯定感の芽生えを後押し

今回訪れたのは、アンダーザライト ヨガスクール(UTL)で月に一度開催している「がんフレンズヨガ」クラス。乳がんを経験したヨガ講師の中里貴子先生を慕い、この日は乳がん、子宮頸がん、膀胱がんなど様々ながん種のサバイバー10名以上が参加。クラスではレッスン前に、名前、今日の体調など、自己紹介を兼ねて発言するのが恒例。この日は病名、治療歴についてお話する方も。「術後、腕が上がらないばかりか腰痛も辛い」という生徒さんに対し中里先生は、「腕を上げようとして反り腰になるのが腰痛の原因。まず肩甲骨をほぐし肩まわりの可動域を広げていきましょう」と具体的にアドバイス。ヨガ講師としての体の知識と、自身もがん経験者ゆえの共感力で心身の痛みに寄り添えるのが中里先生の強みと言えます。

ヨガで絶望からの「自立」を促す。アンダーザライト ヨガスクールのがんサバイバー向けクラス
Photo by Mika Nakayama

「今日は体力アップのポーズも取り入れてのんびり動き、最後はリラクゼーションの時間を長めに取ります。やりたくないポーズは休憩し、トライするべきかを自分で判断できることが大事」。そんなメッセージと共に始まったクラスは、まず仰向けで腹式呼吸の練習を行い、呼吸を深めることで心身の緊張をほぐしリンパの流れも促進。「頑張って呼吸する必要はありません。あくびや涙も我慢せず、吐く息で体と心の反応を全部外に吐き出して」と中里先生。闘病で我慢や緊張を強いられた体を、外側からのサポートに頼らず呼吸でゆるめられるのはヨガならでは。中里先生のクラスは、体の動きをアシストするプロップスを使うのが特徴。座位では骨盤が立ちやすいようボルスターに座り、その状態で肩や肩甲骨、胸まわりや体側をほぐす動きへ。体の緊張がほぐれると自然に表情もゆるみ、参加者はヨガをしているこの瞬間を心から楽しんでいる様子。次はマットの上に立ち、内腿にブロックを挟み内転筋を強化。長い入院生活や術後の体の変化で行動範囲が狭まり、衰えがちな筋力を高めるポーズもバランスよく取り入れていました。

ヨガは絶望からの「自立」を促せるのか|がんサバイバー向けクラス主宰者が伝えたい思い
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最後は、仰向けで脱力するシャヴァーサナのポーズになり、休憩の姿勢のまま先生の声の誘導に従い体の各部位に意識を向けるボディスキャンを行いました。これは体に起きていることだけを客観的に観察し、整える力を養うヨガニードラと呼ばれるストレスマネジメント法。80分間のクラスを終える頃には呼吸が深まり、可動域が広がって体が楽に。前向きな変化を通して、がんでダメージを受けた体への肯定感の高まりも味わえたようです。

ヨガは絶望からの「自立」を促せるのか|がんサバイバー向けクラス主宰者が伝えたい思い
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参加者はどのような経緯でこの「がんフレンズヨガ」クラスを見つけたのでしょうか? ヨガに出会ってどんな変化があったのかなど、クラスに参加していたお2人、また、自身もがんサバイバーである講師の中里貴子さんにお話を伺うことができました。

ヨガのおかげで体のセルフコントロールができるように

参加者 足立美都子さん(乳がん経験者)
「乳がん治療中、主治医からヨガは副作用の軽減につながるとアドバイスされ、ネット検索でUTLの『がんフレンズヨガ』に出会いました。乳がん経験者の中里先生はサバイバーの体調をよく理解してくれて、気兼ねなく安心してヨガができます。激しい動きはないのに全身がほぐれ副作用の関節痛が和らぎ、ヨガのおかげで体のセルフコントロールができるように。クラスの始めに行う自己紹介で他の人の症状を聞くと、「辛いのは私だけじゃない」と思え、精神的な安定も得られています。がんになると辛いことが多いけれど、ヨガに出会えたのは収穫でした」

ヨガで絶望からの「自立」を促す。アンダーザライト ヨガスクールのがんサバイバー向けクラス
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この場所でヨガをすることが救いになっています

参加者 H.Tさん(乳がん経験者)
「中里先生に今日の体調を伝え、受け止めて共感してもらえるだけでリラックスできるんです。クラスの内容も毎回楽しみ。チャレンジポーズと軽減ポーズの両方を提案してもらい、体と相談しながら自分でポーズを選んでいます。体に集中するので病気の嫌なことを忘れられ、この場所でヨガをすることが救いになっています」

ヨガで絶望からの「自立」を促す。アンダーザライト ヨガスクールのがんサバイバー向けクラス
Photo by Mika Nakayama

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Text by Ai Kitabayashi

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