慢性疾患によるストレスに負けない|糖尿病と生きるためのヨガ
Ⅰ型糖尿病を抱えながらも、ヨガの指導を続けるエヴァン・ソロカ。彼女の提案するこのシークエンスを行い、慢性疾患のさまざまなストレス症状を和らげよう。
糖尿病と生きるためのヨガ
私は休むことが苦手だ。むしろ次々と困難を乗り越え、自分のビジョンを実現させながらいつも動き回っているほうが楽だ。だが休息や内省やリラックスをせずに創造的な目標を達成するのは難しい。それは糖尿病の治療でも同じだ。私のように糖尿病を発症した人は、ずっと持続血糖モニターや自己管理キットやインスリンポンプが手放せない。患者たちは生きるために四六時中モニターとつながっているので、血糖値のアップダウンと自分を同一視して自己を見失いがちだ。血糖値の動きを示す画面上の矢印が上下するたびに、微細な負の感情が心と体に刻まれ、リラックスできない状態にいる。なぜなら、その 一 つひとつの異常が命の危険につながるからだ。
慢性疾患が与えるストレス症状
進化し続けるテクノロジーに触れている誰もが、同じような心のスパイラルにはまっている。糖尿病はいわば世界の縮図だ。この病気は糖尿病でない人々も直面している有害な心の動きを強めているに過ぎない。
心理的なアップダウンは、外的、内的要因に影響される。たとえば400㎎/㎗という非常に高い血糖値によって、負の思考のスパイラルに陥ることがある。これは、過去のネガティブな経験が原因だ。通常値から外れるだけで、前回血糖値が上がりすぎたときの最悪な気分が呼び覚まされるためだ。それは思考よりももっと微かな印象として心身に残る。たとえば自責の念や、後悔、やらなかったことへの悔い、長期的な影響への心配などさまざまだ。心が負のスパイラルに陥ると、応答よりも反応が勝るようになる。生理学的に言うと、神経系が過度に働いている状態だ。過覚醒(防御状態)になると体内警報が鳴りっぱなしになり、脳は体に緊急事態を伝え、コルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンやグリコーゲン(糖質)が血中にどんどん送られる。するとインスリン抵抗性が進み(その結果、血糖値が上がる)、糖尿病のコントロールをさらに困難にしてしまう。この危険なサイクルを繰り返すうちに、極度の不安や、苦悩、うつ状態に至る。
「糖尿病患者」であること=「糖尿病」ではない
糖尿病患者のコミュニティでは、私たちは血糖値の変動幅に勝る存在だとよく言う。つまり糖尿病を抱えていても、あなたは糖尿病そのものではない、という意味だ。頭ではわかっていても、腑に落ちるまで練習を積まないと、完全にそう思いながら生活するのは難しい。
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