慢性疾患によるストレスに負けない|糖尿病と生きるためのヨガ
ヨガで波打つ心の動きを静めよう
聖パタンジャリは『ヨーガスートラ』において、心の働きをチッタブリッティ(意識の変動)と表現している。ヨガの目的は、この心の動きを止滅し、何にも縛られない自分の本質を経験することだ。ヨガの練習には負のサイクルを断ち切り、心を静め、私たちに本来備わっている再生や癒しの力、望まない感情を処理する力を促す作用がある。私は1型糖尿病を患っているが、ヨガセラピストとして糖尿病のタイプに応じたさまざまなエクササイズを提案している。
今回、紹介するヨガセラピー練習は、慢性疾患を抱えている人々に効果をもたらすだろう。刺激と鎮静のエネルギーを織り交ぜて活性化させることにより、気分や体調がアップダウンしても自分で調整やバランス制御ができるようになる。
ストレス反応を和らげるシークエンス
1.座位の姿勢からスタートする
少しずつ呼吸を深め、長くしていこう。今この空間、この時間にいる自分の体を観察する。感覚や血液の流れに意識を向けよう。心にはどんな動きがあるだろうか。呼吸を感じよう。滑らかで穏やかなやさしい呼吸だろうか。
2.ウッターナーサナとウトゥカターサナのダイナミックフロー(立位前屈と椅子のポーズ)
A. 両足をやや開いて立ち、腕は体側に伸ばす。
B. 息を吸いながら両腕を頭上に伸ばす。
C. 吐きながら前屈し、膝を少し曲げて、両手を地面に下ろす。
D. 息を吸って両腕と上体を同時に引き上げながら、胸から上体を起こすようにして両腕を頭上に伸ばす。
E. 息を吐いて膝を曲げる。腰を後ろに落とし、腹部を太腿に近づける。両手を地面につけて、肩の真下にくるように調整する。腰の位置が膝よりもやや高くなるようにする。
F. 膝を曲げ腰を低くしたまま、両腕を上げながら上体をできるだけ太腿から遠ざける。その姿勢から両脚を真っすぐに伸ばして立ち上がり、同時に両腕を頭上に伸ばす。ここで休息し、沸き起こる感覚を観察しながら数回呼吸をしたら、次のポーズに移る。息を吐くときに「オーム ソーハム」のマントラを唱えよう。血糖値のアップダウンよりも素晴らしい自分の本質に捧げる祈りだ。
3.アルダパールシュヴォッターナーサナ(半分の側面を強く伸ばすポーズのバリエーション)
A. 立った状態から左足を前に出し、右足はやや外側に向ける。左手は仙骨にのせて、手のひらを外側に向ける。右手は頭上に伸ばす。
B. 息を吐いて、腰から上体を前に倒し、左の膝をやや曲げる。
C. 息を吸いながら、右腕と上体を腰の高さまで引き上げ、右の体側を長く伸ばす。呼吸を止めて、心の中で「オーム ソーハム」と唱える。
D. 息を吐きながら前屈し、腕をリラックスさせる。
E. 吸う息で右腕と上体を引き上げ、右腕を頭上に伸ばしながら体を起こす。このとき、できるだけ背中を真っすぐに保ってみよう。6回繰り返したら、反対側でも繰り返す。呼吸、体、マインドを観察しながら、それを観察している自分にも気づこう。
4.スカンダーサナ(戦神スカンダのポーズ)
A. 立った状態から、足を左右に大きく平行に開く。
B. 息を吐いて右膝を曲げ、曲げている足のかかとに向かって腰をおろす。左脚は真っすぐに伸ばし、足裏を床から浮かせて、足首を直角に曲げる。両手を床につけたままでもよいし、可能であれば胸の前で合掌する。今に意識をおき、膝とつま先を同じ方向に向ける。
C. 息を吸って曲げている膝を真っすぐに伸ばし、上体を引き上げて中央に戻る。
D. 息を吐きながら反対側の膝を曲げ、同様に繰り返す。交互に6~8回繰り返す。
5.テーブルのポーズとアドームカシュヴァーナーサナのフロー(テーブルのポーズとダウンドッグのフロー)
A. 四つん這いになり、手首が肩の真下に、膝が腰の真下に来るように調整する。息を吸って鎖骨を広げ、体の前面を長く伸ばして、背中の上部を平らにする。この姿勢でホールドし、息を吐きながら「オーム ソーハム」と唱える。
B. 息を吐いたら呼吸を止め、心の中で「オーム ソーハム」と唱えながら、つま先を立てて両手で床を強く押し、腰を高く引き上げてダウンドッグに入る。背骨を長く伸ばし、両腕の間で頭をだらりと垂れる。できるだけ背骨を伸ばせるように、膝を曲げてもよい。
C. 息を吸って、最初の姿勢に戻る。6~8回繰り返す。
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