ヨガで依存症治療!悪習慣を断ち行動習慣を変えるための「クンダリーニヨガ」とは
いま、アメリカでは依存症の代替治療としてマインドフルネスや瞑想、ヨガが効果が期待されるとして注目されている。今回は、ヨガ指導者で、依存症治療の専門家でもあるトミー・ローゼンに、"気づきのヨガ"と言われるクンダリーニヨガについて取材した。
朝のコーヒーに、仕事場でキャンディーが入った瓶に、メールをチェックするためスマートフォンに手を伸ばす――わたしたちは1日に何度となく、こういった習慣的行動を繰り返すものだ。作業の効率を上げ、簡単な仕事を当たり前のようにこなす手助けとなるものもあるが、中には人生に混乱をもたらし、命を脅かすものとなることさえある。悪習慣を断ち切るには、自分の中の悪魔に向き合うことが不可欠だ。とはいえ、セルフケアの方法や治療システムの多くが、気晴らしの理由を見つけるより、その症状に対処することに重きを置いている。だが、内側に目を向けるこ込まれてしまっているからだ。神経科学の研究者たちは、たとえドラッグのような悪い結果をもたらすものでも、心地よさを感じる行動をすればするほど、その行為をすると決めるときの脳の神経活動は少なくなる、という結論に達している。そのかわり、たとえはじめの頃感じていた高揚感がなくなったとしても、同じ行動を自動的にとるようになってしまうのだ。
デューク大学の研究でも実証。ヨガや呼吸が依存症の回復を助ける
だが、解決法がまったくないというわけではない。最近のマサチューセッツ工科大学の研究で、過去の経験と現在の行動を統合する動きを担う、脳の前頭前皮質という部分は、新しい習慣を好むらしいということがわかった。そういったことが解決のカギになることもある。そこで役に立つのがヨガや瞑想だ。2013年にデューク大学で実施された、依存症の代替医療としてのマインドフルネスの有効性について行った再調査は、これを確証づける助けとなっている。その調査で研究者たちは、ヨガを含んだマインドフルネスをベースにしたセラピーを取り入れると、依存症の治療や予防となり、回復の可能性が高まることがあると結論づけている。 ヨガや瞑想がもたらす恩恵の数々を持ってしても、悪習慣を断ち切るための闘いは苦しいと感じることもあるだろう。その理由は、習慣的行為が脳にしっかりと組みた習慣を定着させるには、より奥深く、健康的で、持久力があるものを見つけ、脳の神経回路の配線を変えることだ。呼吸法やヨガのトレーニングは、こういった性質すべてを備えている。
筋肉を鍛えるようにヨガで神経系を鍛えよう
クンダリーニヨガは、直感と意志の力を高めるために、特別に構成されているヨガだ。このヨガをインドから西洋へ広めたヨギ・バジャンは、自分が望まない習慣や、依存を断ち切る手助けをすることに関心を持ち、アリゾナのトゥーソンにリハビリテーションセンターを作った。クンダリーニヨガでは、アーサナ、プラーナヤマ、ムードラ、マントラ、深いリラクセーションなどを通して体とマインドの持つ力を集め、火の呼吸を行いながらハーフ・ボート・ポーズ(アールダ・ナヴァーサナ)を最長3分までキープするといった、継続的な動作を集中して繰り返すことが求められる。1つひとつの動きに意志をもって取り組むことで誘惑に抵抗し、ジムで筋肉を鍛えるように神経系を鍛えるわけだ。プラクティスをすると、内分泌系が反応し、バランスと調和のとれた感覚をもたらす物質が分泌されると指導者たちは言う。同時にそれは、完全に断とうと心に決めた悪習慣に、また逆戻りしようとする誘惑に抵抗するために必要な、気づきとパワーも与えてくれるものでもある。
今回、クンダリーニヨガを教えてくれたトミー・ローゼンは、ヨガ指導者、依存症治療の専門家。ハタヨガ、クンダリーニヨガの認定指導者の資格を持つ。薬物依存から回復して23年目になる。著書『Recovery 2.0: MoveBeyond Addiction and Upgrade Your Life』を昨年10月、Hay House, Inc. より出版。
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