【新型コロナの炎症をヨガで緩和できる?】医師が開発した「新型コロナウィルス患者のための呼吸法」

 【新型コロナの炎症をヨガで緩和できる?】医師が開発した「新型コロナウィルス患者のための呼吸法」
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ダルマの実現

時が経つにつれ、ヨガはヤンが長い間養うことを躊躇していた心を取り戻す手助けとなった。2005年にヨガのティーチャートレーニングを修了すると、ヴィンヤサ・クラスを担当するようになった。デューク大学のロースクールを卒業し、ニューヨークで企業弁護士としての1年目を迎えるまで続けた。

2005年、ヤンは25歳で6桁の収入を得ており、両親の基準では大成功を収めていた。しかし、彼女の直感はこのような成功の形に納得していなかった。そんなとき、カナダで教員研修を受けていた彼女に電話がかかってきたのである。最近、特発性肺線維症(肺の病気で呼吸が非常に困難になる)を発症した叔母のシウ-メイが脳卒中で倒れたのだ。

ヤンはすぐに飛行機を予約し、叔母の枕元に立った。シウ-メイが息を引き取ったとき、姪であるヤンが看取った。「彼女が亡くなったことで、私の頭の上には電球が、お尻の下には火が灯りました」とヤンは言う。人生の早さと儚さに衝撃を受けた彼女は、数ヵ月後、それまで本気で楽しめなかった弁護士の職から離れた。そして、ノースカロライナ州に戻り、ヨガセンターを開設したのである。「生まれて初めて自分の本能に従ったのです」と彼女は言う。彼女曰く、両親は、娘が立派なキャリアを捨ててジムの先生になろうとしているのではないかと、不安に感じていたと言う。

2006年、デュークメディカルセンターの真向かいにオープンしたブルーポイントヨガは、瞬く間に成功を収めた。ヤンのクラスを訪れる看護師、医師、専門家は好奇心旺盛で、ヨガの仕組みについて様々な質問を投げかけてきたが、ヤンにはそれに答える能力がなかった。そこで、彼女は自由時間に解剖学や運動学を研究し、指導の中で科学について議論した。ヤンは、ヨガと科学の本質的な関係について学ぶことが大好きだった。彼女は、デューク大学の腫瘍内科医だった旧友に、「もしもう一度やり直せるなら、医者になりたい」と打ち明けた。すると、その友人は「やり直すってどういうこと?あなたは27歳よ! まだ間に合うわよ」と答えたのだ。

彼女の言葉がヤンの励みになった。2011年8月、ヤンはシカゴのラッシュ医科大学の医学部に入学したのである。

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Photo: Jordan and Dani Lutes

炎症を起こした反応

2020年の夏は、混乱の中で過ぎていった。シャープ-リーズ・スティーリー・メディカルグループ(Sharp-Rees Stealy Medical Group)の主治医として2年目を迎えたヤンと仲間の医療従事者たちは、情報過多と患者たちの窒息の同時進行の中、あらゆる決断に「不確実性」を感じ、風向きを変えるような情報を求めていた。

シャープメモリアル病院の新型コロナ病棟には何十ものベッドがあり、2つのドアの後ろに隠されており、ヤンは完全な防護服を身につけてからでないと入ることができなかった。その病棟の窓から中を覗くと、機械の助けを借りても息を切らす患者の呼吸が止まっているのだ。

本能的にヨガのトレーニングを実践した。ヤンは患者の部屋に入る前に、自分自身の存在を確認するために数回呼吸をした。「部屋に入る前に深呼吸をすることで、これは本当につらいことだ、これはすべて本当につらいことだ、ということを認識し、自分自身をケアしつつ、その感情をドアに置いて中へと進み、自分は患者と真摯に向き合えるのです」とヤンは言う。ヨガが役立った。やがて彼女は、簡単な呼吸法が患者さんにも役立つのではないかと考えるようになった。

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By HANNAH LOTT-SCHWARTZ
Translated by Hanae Yamaguchi

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ヨガジャーナルアメリカ版

ヨガジャーナルアメリカ版

全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。



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