ヨガが新型コロナでダメージを受けた「呼吸機能の回復」に役立つことが判明!驚くべき研究内容とは?

 ヨガが新型コロナでダメージを受けた「呼吸機能の回復」に役立つことが判明!驚くべき研究内容とは?

コロナウイルスの長引く症状を和らげる上で、ヨガの呼吸法とアーサナがどのように役立つかをご紹介しましょう。

広告

ヨガが「新型コロナウィルスからの回復」に役立つ…その理由とは?

新型コロナウィルスと診断された人のほぼ10%は、呼吸困難、血栓、頭痛、吐き気、筋肉痛、疲労感など長期的な症状を経験しています。これは、新型コロナウイルスの検査で陽性と診断された後、数週間、数か月、場合によっては数年間続きます。ヨガティーチャー及びヨガセラピストたち(特定の身体的また精神的な健康問題に対処するのにヨガを用いる認定プラクティショナー)は、新型コロナウィルスによって長期間苦しむ患者たちのストレスと痛みの軽減、運動能力の維持、そして呼吸を楽にできるよう、サポートに取り組んでいます。そして今、彼らが行っている方法を科学的に検証しようとしています。

昨年末、カリフォルニアのロマリンダ大学医学部の研究者たちは、効果的な肺のリハビリ治療を様々な角度から分析し、その結果、横隔膜を強化する呼吸運動(3部構成のヨガ呼吸またはウジャイプラナヤーマをイメージして下さい)とストレッチ(アーサナまたは呼吸と調和した穏やかな動き)が新型コロナウィルスからの回復に重要であると判断しました。

学術雑誌「The journal Physical Medicine & Rehabilitation」に掲載された彼らの研究は、症状の重症度に応じた一連の呼吸運動を推奨しています。それらの呼吸運動は全て、新型コロナウィルスの影響を受けた呼吸筋を再構築できるように設計されています。

昨年の夏、医学誌のBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)に掲載された急性期後の新型コロナウィルス治療に関する別の報告では、慢性的な咳と息切れを克服するため、呼吸をしっかり続けて行う必要のあるウジャイ呼吸プラーナヤーマの実践に似た「呼吸のコントロール」が推奨されています。

コロナ感染後遺症の症状

新型コロナウィルスは長期に渡ってどのような体への影響をもたらすのでしょうか?

イングリッド・ヤン医学博士は、パンデミック(大流行)が始まって以来、新型コロナウィルス患者を支えてきた医師であり、ヨガセラピストです。彼女は、新型コロナウィルスは炎症性疾患のように作用し、健康な細胞を殺す免疫系の反応を引き起こすと説明します。そして、その炎症はストレスによって悪化します。実際のところ、新型コロナウィルスの症状の多くは、ヒトの ACE2(アンギオテンシン変換酵素2)受容体を介して細胞内に侵入し、特に肺・脳・血管で制御不能な炎症を引き起こします。

「アダプティブ・ヨガ(Adaptive Yoga)」の著者でもあるヤンは、「ヨガは一般的に炎症を軽減するのに役立つことは広く知られています」と述べています。そして現在、彼女はプラーナヤーマアーサナの実践が、一般的なストレスと炎症に効果があるだけでなく、新型コロナウィルス感染後に呼吸を和らげる効果があることも人々に指導しています。

3月初旬、ヤンはオンラインで無料クラスを指導するヨガセラピストとヨガ&アーユルヴェーダ・プラクティショナーチームの一員に加わります。国際ヨガセラピスト協会(IAYT)とGive Back Yoga University(ギブバックヨガ大学:オンライン教育プラットフォーム)が主催するこのシリーズは、新型コロナウィルス患者とその患者の世話人の両方がアクセス可能なヒーリング方法をサーチすることができます。「私たちがサポートするCOVID-19ヒーリング・プロジェクトは、コミュニティへの普及活動を行うヨガの専門家のための教育も提供します」とギブバックヨガ財団の事務局長でギブバックヨガ大学の創設者でもあるロブ・シュウェアは次のように述べています。

新型コロナウィルス患者は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に苦しむのが一般的です。この症候群にかかると、体液が肺に漏れ、呼吸が困難になり、体が必要な酸素を得るのに苦労します。また、ヤンは、ARDS患者の肺はエラスチンを失い、より硬くなると説明しています。

「ヨガでエラスチンを取り戻すことはできませんが、ニューノーマルな生活の受け入れ方、そしてより良い呼吸法を人々に指導することはできます」とヤンは述べます。彼女は肺をしっかりと広げるための圧力を加えられるようになる呼吸運動とポーズを指導しています。「自分で自分を再びコントロールする感覚や自分自身のために何かをしているという感覚を得られるプログラムは全て助けとなるでしょう」と彼女は言います。

教えてくれたのは…ターシャ・アイヘンゼアさん
ターシャ・アイヘンゼアさんは、ヨガジャーナルのデジタルディレクター。彼女は科学分野のライターとしても活動しており、これまでナショナルジオグラフィックニュース、ディスカバー、ノーチラス、Environmental Science & Technologyなどに寄稿している。

ヨガジャーナルアメリカ版/「Research Shows Yoga Can Help with Respiratory Recovery from COVID-19

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

広告

By TASHA EICHENSEHER
Translated by Hanae Yamaguchi

AUTHOR

ヨガジャーナルアメリカ版

ヨガジャーナルアメリカ版

全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。



RELATED関連記事