罹患して分かった本当の恐怖|シンガーP!NKが明かした、自身と3歳の息子のコロナウイルス闘病記

 罹患して分かった本当の恐怖|シンガーP!NKが明かした、自身と3歳の息子のコロナウイルス闘病記
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横山正美
横山正美
2021-02-20

いよいよ数カ国でワクチンの接種も始まり、世界中での供給が急がれる中、2020年末から新型コロナウイルスの変異種も出現したり、ヨーロッパではロックダウンが再び実施されるなど、まだまだ混乱が続く昨今。そんな中、幼い息子とともに罹患してしまったことを明かしたのが、シンガーのP!NK(ピンク)だ。これまでも人生で、母親としてこんなに辛いことはなかった、とその心情をメディアに吐露し、共感を呼んでいる。

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「コロナウイルスの及ぼす影響についてわかり始めた今、世界中の子供たちやその家族のことを思わずにはいられません。もし何かあった時、各家庭に本当に十分な備えはあるのでしょうか?罹患しないための策はあるのでしょうか…そんな事ばかり考えています」。

と米メディアの取材にこう答えたのは、パワフルなパフォーマンスで世界を魅了する米アーティストのP!NKだ。

1979年、アメリカ・ペンシルベニア州で生まれ育ったP!NKことアリシア・ベス・ムーアは、ベトナム退役軍人だった父が音楽好きだったことから、幼少期からシンガーを目指した。しかし、そんな彼女の夢を理解できない母親からの猛反対にあうものの、ティーンになるとクラブに出入りするようになり、ますます音楽に没頭して行った。そして2000年遂にデビューシングル「There you go」とセカンドシングル「Most girl」をリリースし、2曲ともヒットチャートに送り込むと、立て続けにリリースしたアルバム「Can’t take me home」が大ヒットを記録。これを境に押しも押されもせぬ大スターとなった。

P!NK
ミュージシャンのP!NK(ピンク)photo by Getty Images

プライベートでは動物愛護団体PETAをサポートし、毛皮を着ることを極端に嫌い、かつて英国のウィリアム王子宛にキツネ狩りを止めるようメッセージを送るなどの抗議活動も展開するなど活動家としての一面も見せている。

また、2006年には元フリースタイルモトクロスレーサーのケアリー・ハートと結婚、ウィロー・セージとジェイムソン・ムーンの二人の子供に恵まれた。しかし、2020年3月、彼女と3歳の息子のジェイムソンの身体にある異変が起きた。嫌な予感が脳裏をよぎったと語る彼女はすぐに息子と共にPCR検査を受けた。その結果、二人とも陽性だった。

コロナウイルスに苦しむ子供を目の前にして

先の陽性の結果を受け、二人は即刻担当医師の指示により自宅隔離状態となった。もちろん、罹患していない家族とは絶対に同じ空間にいることも、触れ合うことも、共有することもない。

「本当にもう例えようのないくらい具合が悪くなりました。でもそれ以上に私を苦しめたのは、息子の方が症状が悪化してしまったことです。人生でこれほど泣きながら毎晩神に祈ったことはありません。3歳の息子と共にコロナウイルスと戦うことは、母親としての人生における最大の難局でした」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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彼女自身も人生で初めてネブライザー(吸入器)を使用しなければならないほど呼吸が乱れたと明かし、息子の高熱は続き容態が回復する気配すら見えない状態が続いたという。

「大丈夫、すぐに良くなるよ、とずっと子供には言い続けてきました。でも、そんな保証はどこにもありませんでした。ジェイムソンは日に日に弱っていき、不規則に高熱が出るようになりました。さらには下痢と便秘を繰り返したり、吐いて真っ青になったり、いつもだるそうで…ちょっと回復したかと思うと、また次の別の症状が現れるの繰り返し。そんな子供の様子を毎日目にしなければならない。次にどんな症状が出るのだろうかと、本当に生きた心地がしませんでした」。

一方で、自分の体験を今すぐに世界中にシェアしなければ、という使命感も湧いてきたことから、彼女は罹患してからすぐに自身の戦いを映像に記録し続けたという。

罹患して分かった本当の恐ろしさ

しかし、約3週間近くに渡るコロナとの戦いも、4月2日に受けた再検査で陰性になったことから終わりを迎えたことを自身のツイッター上で公表した。同時に、彼女の母が医療従事者であったことから、18年勤務していたテンプル大学病院基金とLA市が設立したコロナウイルス緊急基金に多額の寄付もしたという。彼女が音楽のキャリアを目指すと言った時、猛反対をした母に思わぬ形で親孝行が叶った、とも。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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「私たちの家族のコロナとの戦いが特別じゃないんです。今この瞬間も、アメリカと世界中に私のような気持ちで過ごしている母親はたくさんいます。でも、自宅で療養できたりソーシャルディスタンスを保つことができる環境下で暮らしている人たちはまだいいでしょう。保留地や難民キャンプやスラムで暮らしている家族はどうなっているのでしょうか?何時間もかけて水を汲みに行かなければならない人、手を洗うのだって、石鹸が高価で手に入らない人は?そんなことを考えずにはいられません」。

ウイルスの侵入経路が不明だったこと、そして少し回復したと思ったら、また別の症状に苦しめられるーそんな未知なる恐怖が、これまでの人生の中で一番怖かった、と語る彼女。回復しても後遺症が残るとも言われているコロナウイルスとの戦いから無事に生還した彼女は、最後にこう締めくくった。

「皆さんに知って欲しいのは、コロナウイルスは誰でも罹患するリスクがあるということ。そしてこの病気はリアルで、罹患した本人はもちろん、その家族にとっても本当に恐ろしいものだということ。これは確かなことです。年齢や持病持ち、お金を持っていようとなかろうと関係なく、とにかく万人にリスクがあります。だからどうぞ皆さん、基本的な自己防衛は怠らないでください」。

ライター/横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」やデジタルメディア「VOGUE CHANGE」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。

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