疲れやすい、階段で息切れする…スタミナ不足の現代人におすすめ|心肺機能を高める「呼吸改革」とは
コロナ禍で運動不足になり、ちょっと走っただけで息切れしていませんか。現役スポーツドクターの二重作拓也先生が教える、「呼吸」を用いたトレーニングで疲れにくい体を手に入れましょう。
呼吸に負荷をかけるとスタミナが強化されるしくみとは
運動や活動に必要なスタミナをつけるには、ジョギングや水泳といった有酸素運動が効果的であることはよく知られています。もちろん、しっかりと時間を取って運動できればいいのですが、何かと多忙な現代人。仕事や家事、育児などで「そうもいかない」状況で苦悩される方も多いのではないでしょうか?
「有酸素運動はある程度の時間をやらなければ効果が得られにくい」のは確かにその通りなのですが、それがひとつのハードルになってしまって、「時間がなかなか取れない」→「中途半端な運動にしかならない」→「結局、運動をしない」というマイナスのループに陥ることもあるかも知れません…と、このように書いている私もそのひとりです。ドクターワークは電子カルテが当たり前の時代ですし、執筆はパソコンの前に座らなければなかなか難しいですし、通勤中や運転中の運動量はたかが知れています。カラテ現役選手の頃の圧倒的な運動量はどこへいったのやら…。いうまでもなく運動の大切さはスポーツドクターとして、臨床医としてわかり過ぎるくらいわかっているはずですが、仕事やその他の活動の時間を「差し置いて」わざわざ運動に時間をつくるのは相当に難しいです。
「運動はしなければ。でも、まとまった時間はなかなか取れない…」そんな悩みの中にある皆さんと、今回ぜひ共有したいのは、「生活の中でのスタミナ向上トレーニング」です。まとまった時間が取れないのであれば、日常生活の動きに少しだけ負荷をかけて、トレーニング化してみましょう、という新たな提案です。
具体的なメニューの前に、ちょっと身体のことを考えてみましょう。スタミナを向上させる、という現象を血液から考えてみるとどうなるでしょうか?前回、肺から取り込まれた酸素は赤血球のヘモグロビンと結合して、全身を巡ることを説明しました。ヘモグロビンが少ない状態は、運送会社でいえば、稼働できるトラックの台数が少ないようなものですから、どんどん回転数を上げて運搬するしかありません。これは人体でいえば、心臓がバクバクと頻回に打っているようなもので、すぐにバテてしまいます。ですから、ヘモグロビンが増えれば、もっと余裕をもって動けますし、「スタミナをつくる」とは、血液の面で考えると「ヘモグロビンを少しずつ増やしていく」ということになります。
AUTHOR
二重作拓也
挌闘技ドクター/スポーツドクター リハビリテーション科医師 格闘技医学会代表 スポーツ安全指導推進機構代表 「ほぼ日の學校」講師。 1973年生まれ、福岡県北九州市出身。福岡県立東筑高校、高知医科大学医学部卒業。 8歳より空手を始め、高校で実戦空手養秀会2段位を取得、USAオープントーナメント高校生代表となる。研修医時代に極真空手城南支部大会優勝、県大会優勝、全日本ウェイト制大会出場。リングドクター、チームドクターの経験とスポーツ医学の臨床経験から「格闘技医学」を提唱。 専門誌『Fight&Life』では12年以上連載を継続、「強さの根拠」を共有する「ファイトロジーツアー」は世界各国で開催されている。 またスポーツの現場の安全性向上のため、ドクター、各医療従事者、弁護士、指導者、教育者らと連携し、スポーツ指導に必要な医学知識を発信。競技や職種のジャンルを超えた情報共有が進んでいる。『Dr.Fの挌闘技医学 第2版』『Words Of Prince Deluxe Edition(英語版)』など著作多数。
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