【運動音痴の原因を探る】センスや才能を疑う前に…動きが変わる「運動イメージの構築」とは

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【運動音痴の原因を探る】センスや才能を疑う前に…動きが変わる「運動イメージの構築」とは

「運動神経が悪い」というセリフを聞きますが、運動ができない本当の原因とは……。現役スポーツドクターの二重作拓也が、脳機能の側面から運動の原理原則についてお伝えします。

運動できないのは、「運動センス」が足りない?運動に関わる「視る」能力とは

同じ時期にヨガを始めて、スタジオに通う頻度もあまり変わらない。それなのに「なぜ自分だけポーズが上手くならないのだろう」と感じ、「体が硬いから?」「もしかしてヨガに向いていない?」と自分の能力を疑ってはいませんか。上手くならないのは本当に「運動センス」の問題でしょうか、それとも他の要因なのでしょうか?

ボールを蹴る、走る、ポーズをとる、などの意図的な運動は「脳の前頭前野で想起された運動イメージ」からスタートし、運動イメージの情報は脳の高次運動野を経て一次運動野に送られます。その過程で運動の最適化がなされ、最終的な運動指令が脊髄を通して伝達されて筋肉が収縮し運動が行われます。「新しい技術を修得する」とは、脳機能の面から見れば、前頭前野で想起された運動イメージを具現化するということ。そのために、まずは運動イメージの材料となる記憶をストックする必要があります。私たちは見たことない高度な動き、聞いたことない高度な動きを行うことができません。ギターを見たことが無い人にギターを渡して、超絶ギターソロを弾くことは現実的には無理ですし、万が一出来たとしてもその運動におそらく再現性はないでしょう。つまり、意図的な運動を行うためには、その前提となるお手本となる動きを「視覚情報として脳に記憶させる」行為が必要となるのです。

修得したい運動を視覚情報として徹底的に記憶したら、今度は頭の中でその動きを何度も再生してみましょう。イメージの中ではっきり再生できない部分がほとんどなくなるまでやってみます。次に「その動きを自分がやっている運動イメージ」をつくります。先ほどまで客観的な運動イメージだったのが、今度は主観的な運動イメージに変わります。

脳 運動イメージ
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このときまだ体は動かさず、あくまでも脳内で行うのがポイントです。「ボールを投げる」でしたらボールを投げる動作を行わずに、「腕を上にあげる」でしたら腕を上にあげることなく、でもやっているように脳を働かせるのです。そうすることで脳から筋肉に運動指令を出す役割をもっている「一次運動野」以外の運動に関わる領域、例えば運動イメージをつくる前頭前野や運動の最適化に関わる高次運動野などが、実際に体を動かしたときよりも強く活性化することがわかっています。具体的にアウトプットされる運動は、あくまでも結果ですから、運動の修得が苦手だと感じる方は、「運動イメージをより正確に、より明確に想起する」に時間を使ってみてはどうでしょうか?

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Text by Ai Kitabayashi

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