ヨガでもっと幸せな気分になる方法

 ヨガでもっと幸せな気分になる方法
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しかし、じっさいには今日実践されているヨガの多くは、思うほどには副交感神経系の役に立っていない。副交感神経系を増強するためには、深いリラクセーションをうながすポーズを行う必要がある。たとえば前屈や、股関節を開くポーズがそうである。立位のポーズは控えて、代わりに座位のポーズ、あるいは仰向け、うつ伏せなど横たわって行うポーズを増やす。逆転のポーズも効果がある。リストラティブ・ヨガのときのように、ポーズを長めにホールドする必要もある。そしてより長い時間をかけて、ゆっくりとした完全な呼吸をする。動きの激しいヴィンヤサ、後屈や倒立、アームバランスなどは高い効果を持ってはいる。しかしこれらは、上に挙げたポーズに比べると、副交感神経系を刺激しないのである。ということは、ヨガをやることによって人々が感じているポジティブな変化は、神経系に与える好影響だけが原因なわけではない。それではいったい、「気持ちよくなる」「より良く生きられるようになる」といったことをもたらしてくれているのは何なのだろうか。答えは「生命力」である。ほとんどすべてのハタヨガは、体のなかの「プラーナ」、言い換えると「生命力の流れ」を活性化するのである。

ヨガは、鍼治療や太極拳や気功といった技術と同様に、プラーナに基づいているプラーナは中国の学問・文化においては「気」と呼ばれる)。こうした修練の場においては、プラーナは万物を支える本質的な力だと捉えられている。ヨギはさらに進んで、プラーナを知的に使うことが、精神的覚醒を促すために不可欠であると規定するところまでいった。『プラシュナ・ウパニシャッド』に「起源を知ることにより、さらにプラーナの物理的な実在を知ることにより、人は不死に至る」とある。別の言い方をすれば、人生の目的(と実践)は、プラーナの使用に熟達することによって実現されるということである。

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Text by ROD STRYKER
Translated by Miyuki Hosoya