セルフケアの秘訣とは|心を鎮めるための6つのシンプルな方法
たった1分でもペースを落とし、その場から離れてみると自らの魂を救うことができます。静寂という癒しの音を感じ、今という一瞬を精一杯生きる方法を見つけましょう。
セルフケアの秘訣「短期的には大変でも、長期的には楽である」
12歳の時、私は歯の表面に矯正装置をつけていることが嫌でした。そこで両親に矯正装置を取りたいとお願いしたところ、母はシンプルにこう答えました──「もちろん、矯正装置を取っても良いわ。あなたはもう自分で判断できる年齢だからね。でも、歯の矯正装置を今取るということは短期的には楽だけれど、長期的に考えれば大変よ。あと数年着けておくことは、しばし大変ではあるけれど、長期的には楽できるわ。あなたはどっちが良いと思う?」母は一枚上手でした。
結局、私は矯正装置を着け続け、14歳の時に矯正歯科医の判断の元、ついに取る時が来ました。
最近「短期的には大変でも、長期的には楽である」というのがセルフケアを考えるときの判断基準となっています。ここでは、ペディキュアとかマッサージとかお洒落なヴィーガンレストランでランチするとか、そういった消費主導型のセルフケアを意味しているのではありません。それらは贅沢です。私がここで話しているのは、地味な毎日のセルフケアのことです。
例えば、フロスや料理、アーサナ、プラーナヤーマや瞑想のプラクティスなどのヨガエクササイズです。そして、携帯電話とソーシャルメディアを毎日使用しないようにして、代わりにアートエキシビションや歴史ある図書館、ビーチ、森林などのインスピレーションを得られる場所を訪れます。簡単にいえば、ペースを落として、静寂を見つけることなのです。
これらの行為に共通するのは、短期的には困難でも長期的には楽ということです。それぞれの行為をするに当たって、忍耐が必要であったり、怠惰になりがちだったり、慣れすぎてしまったりといった小さなハードルが存在し、短期的には確かに大変です。しかし、長期的には、日を追うごとに、週を追うごとに、そしてひと月追うごとに小さなセルフケアの習慣が蓄積されていき、やがて心身のスペースが満たされて楽になれるのです。
真実のウェルネスとは実はあまり何もしないことを意味するとしたら?
1.生産性を減らして、もっと今を生きてみる
2.効率が良い物事よりも信頼できる物事を選択してみる
3.一瞬一瞬を最大限に活用しようとするのではなく、喜びを得るためには一旦立ち止ってみる
この仮説を試すため、以下に6つのシンプルなセルフケアのプラクティスのリスト、そしてシャヴァーサナの準備シークエンスをご紹介します。これらを行うと、日常生活を振り返りながら、ペースをゆっくり落とし、普段よりももっと静寂の時間を取ることで、人生を精一杯生きることができるようになります。一つ一つが短期的には大変なエレメントではあるものの、得られるものは計り知れません。
1.外に出かける
朝一番、20〜30分間歩いてみましょう。1万歩を目指そうとしたり、エクササイズとして行ったりしないでください。単に血液の巡りを良くし、内なるプラーナ(生命力)を目覚めさせ、顔に新鮮な空気を感じるためだけに行います。
コーヒーを飲んだり、メールをチェックしたりする前に、スニーカーを履いてドアから出ましょう。ヘッドフォンは家に置いておき、ポッドキャストを聴きたいとか、電話がかかってきたらどうしようといった考えは無視してください。このアイディアの目的は、日々静けさを楽しみ、自分の体のリズムを和らげ、その日を迎えるに当たり、エネルギッシュな状態になることです。
2.タイマーを設定する
予定が詰まった忙しい日々、「アーサナのプラクティスをフルで75分行う時間の余裕がないとき、マットの上に立つ価値はない」と私はつい考えてしまいます。呼吸と体を動かし、湧き上がる思いを感じる時間を避けるため、あれこれ理由をつけているのです。しかし、ヨガマットの上で数分でも時間を費やすことは私の一日を変える力があることを幾度となく学びました。
そのため、プラクティスをさぼりがちになると、言い訳は辞め、代わりにタイマーを15分間設定します。マットの上に立ち、呼吸のリズムに合わせます。
3.暖かさを味わう
手を洗うとき(または皿を洗うときも)、冷たいのではなく、温かい水を選びましょう。こういった小さな動作を日々の雑用と見なすのではなく、一旦立ち止まり、水などの希少な資源を提供してくれるこの惑星に感謝します。感謝とセルフケアを心がけてましょう。心地よい温度を選ぶと心が落ち着くだけでなく、身体にも優しいということに気づかされます。
4.森を見つける
森やビーチを訪れて、自然とのデートを楽しみましょう。ピンチの時は、裏庭や公園を訪れてください。まず、数分間座ってカジュアルな瞑想を行いましょう。目を開けて、自分を取り巻くエネルギーを静かに観察してください。次に、目を閉じて自然の音を浴びるように感じましょう。良い音と悪い音を聞き分けることがいかに容易であるか、気づきましょう。
例えば、鳥のさえずりは良い音でテキストメッセージの通知音はイライラする音など。善悪を判断する代わりに、全ての音に対する反抗の気持ちにサヨナラし、優しく聞き流しましょう。数分後、両目を瞬きしながら開いて、地球の壮大さにお辞儀をするという小さな儀式でこのプラクティスを終了しましょう。
5.スープを作る
スープは世界共通の栄養のシンボルです。例えば、朝食後などお腹が減る前に作ってみてください。未来の自分をケアする練習になります。ウィーン出身の義理の母は「夕食は定番料理が良い」と言います。以下に紹介するのは私のお気に入りのレシピの一つです。
「赤レンズ豆のスープ」のレシピ
材料:
玉ねぎ…1個(みじん切り)
バター…1片
にんにく…1片の¼
カットトマト缶…1つ
赤レンズ豆…1½カップ(乾燥タイプ)
野菜出汁パウダー(コンソメなど)…大さじ1
角切りにした人参、かぶ、ジャガイモ…手のひら3〜5杯分
トマトペースト…1プッシュ
塩、レモン汁、サワークリーム、パセリ
作り方:
玉ねぎのみじん切りをバターでソテーします。お好みでニンニクを追加してください。カットトマト、空になった缶3杯分の水、赤レンズ豆を入れてかき混ぜます。塩をほんのひとつまみと野菜出汁パウダーを振りかけます。角切りにした人参、かぶ、皮をむいたジャガイモなどの根菜を加えます。トマトペーストを絞ると風味が深まります。蓋をして煮ます。
レンズ豆と野菜が柔らかくなるまで、弱火に戻し、さらに15〜20分間調理します。スープ皿に注いだら、レモン汁を絞り、サワークリームを少量、パセリをひとつまみ添えます。完璧にベジタリアンディナーにするなら、グリーンサラダと動物性の材料を使用しないパンを用意します。まるで魔法のように、このスープは翌日一層おいしくなります。
6.自然発生的なシャヴァーサナをプラクティスする
たとえば、食料品の買い物から帰宅したときや、昼食後に仕事に戻るときなど、忙しい一日の中でシャヴァーサナは素晴らしいプラクティスです。車からバッグなど荷物を降ろした後やオフィスについた後、荷物を全部出す間も無く、メールをチェック。その時、体が疲れているかどうか注意しましょう。もしそうなら、今その場で、自分に横たわる許可を与えてください。
私はこのプラクティスを「自然発生的なシャヴァーサナ」と呼び、ヨガマットを広げたり、靴を脱いだりすることなく、たいてい玄関ホールで行なっています。ラグの上に横になり、腕を大きく開き、10分間目を閉じます。
教えてくれたのは…リジー・ラサターさん
リジー・ラサターさんは美術史や建築に関するオンライン授業の監修や指導、グローバル・リストラティブ・ヨガのティーチャートレーニングのワークショップやスピリチュアルでハートフルなジュエリーコレクションなどを行なっています。彼女は「ヨガは遺伝」と冗談交じりに述べています。彼女の母親である、ジュディス・ハンソン・ラサターさんは、ヨガジャーナルを共同設立し、1971年以来ヨガを指導しています。リジーさんはサンフランシスコで生まれ、現在は身長の高いオーストリア人の夫とアルプスに暮らしています。彼女のリストラティブ・レボリューションに参加をご希望の方はこちらをご覧ください。
ヨガジャーナルアメリカ版/「6 Simple Strategies for Quieting the Mind」
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