「肩」の動きをヨガポーズで整理しよう!理学療法士が解説、肩関節の8方向の動き
ヨガポーズで肩関節の動きを考える
肩を壊さないための正しい動かし方のポイントは後ほど説明します。その前に、ヨガのポーズで肩の動きを一度整理してみましょう。
屈曲と伸展
ヴィーラバッドラーサナI(戦士のポーズI)で、バンザイするように正面から腕をあげる動きが肩の「屈曲」、腕をあげたその軌道を戻るように正面から下ろす動きが「伸展」です。
外転と内転
ヴィーラバッドラーサナI(戦士のポーズI)で、円を描くように身体の横から腕を天井方向に回すようにあげると肩の「外転」、そのまま同じ軌道で横から下ろす動きが「内転」です。
腕を下ろした状態から、「屈曲」してバンザイしても、「外転」してバンザイしても、その出発点と終着点は同じです。違いは軌道です。どちらも腕を上げる動作のことを「挙上」といいます。
外旋
「外旋」は腕を外回しにする動きですが、実は腕を挙上した時に「外旋」は必ず起こります。特に外転して挙上した時に、約90°あげた辺りから自然と肩の「外旋」が起こるのです。
肩関節の「外旋」で肩甲骨が内転して、胸椎は伸展します。つまり、腕を外回しにすると、胸が開く方向に肩甲骨が後ろから背中を押すように誘導してくれるのです。肩の「外旋」はヨガのあらゆるポーズで必要な動きです。
内旋
「内旋」は腕を内回しにする動きです。ヨガで両手を背中の後ろに回すようなポーズは、すべて肩の「内旋」が必要です。
背中で両肘をつかんだり、背中で合掌や、バッダパールシュヴァコナーサナ(手を組んだ体側を伸ばすポーズ) や、セツバンダーサナ(橋のポーズ) などです。これらのポーズは同時に「伸展」も起こります。
水平外転と水平内転
「水平外転」は、90°外転位から腕を水平に外側へ、「水平内転」は90°外転位から腕を水平に内側へ動かす動きです。
ウッティターハスタパーダングシュターサナ(足の親指をつかんで伸ばすポーズ)では、身体の正面に持ち上げた脚を掴んだ腕は、「水平外転」させて身体の横へと移動させます。そこから正面に腕と脚とを戻す時は「水平内転」です。
同じく、身体の向きは変わっても、パリヴルッタトリコナーサナ(ねじった三角のポーズ)で、腕を天井に伸ばす動きは「水平外転」、その腕を床に降ろす時は「水平内転」です。
今度は、少し複雑そうなヨガポーズで肩の動きを考えてみましょう。
ゴムカーサナ(牛の顔のポーズ)
上下から後ろに両手を伸ばしてつなぐ、複雑な肩の動きを伴ったポーズです。この両腕の形は「アプレー・スクラッチ・テスト」といって、患者さんのリハビリの際に肩関節の可動域をチェックするテストでも頻繁に用います。
まず上の肩の動きを見てみましょう。これは実は「屈曲」「外旋」「外転」の3つの動きが合わさった複合運動です。そして下の肩の場合は、上の肩とまた違って「伸展」「内旋」「内転」の3つの動きが同時に起こっています。非常にややこしいですよね。
ガルーダーサナ(ワシのポーズ)
両腕と両脚とを絡めてバランスをとるポーズです。腕が見るからに複雑にこんがらがっていますが、このポーズの肩関節の動きは、実はとてもシンプルです。肘や手首の形に惑わされないようにしましょう。今注目しているのは肩関節だけです。肩を90°外転位から水平に両腕を中央に寄せているので、これは肩の「水平内転」のみの動きです。
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