【プロテイン】必要以上の「高たんぱく」は老化の加速につながる可能性|最新研究が示唆

【プロテイン】必要以上の「高たんぱく」は老化の加速につながる可能性|最新研究が示唆
GettyImages
山口華恵
山口華恵
2026-09-11

「健康のために、たんぱく質はできるだけ多く摂ったほうがいい」―そんなイメージがすっかり定着している。プロテインを飲み、サラダチキンを選び、高たんぱくヨーグルトやシリアルを手に取る。筋肉づくりやダイエット、美容のために、男女問わずたんぱく質を意識する人は年々増えている。しかし、その“高たんぱく志向”に一石を投じる研究が発表された。

Google Newsでヨガジャーナルの記事が見つけやすくなります

Googleに登録する
広告

「高たんぱく」が当たり前になった今

2026年7月31日に科学誌「Cell Press Blue」に掲載されたレビューでは、たんぱく質制限と老化に関する350以上の研究を分析している。
結果、たんぱく質の摂取量を抑えることで、代謝の改善や炎症の抑制、細胞のダメージ軽減など、健やかに年齢を重ねる可能性が示された

これは、もちろん「たんぱく質は少ないほどいい」という意味ではない。今回の研究が問いかけているのは、必要以上に摂り続けることが本当に健康につながるのかという点だ。

近年、たんぱく質は健康食品のキーワードともいえる存在になっている。
プロテインバーやシリアルだけでなく、アイスクリームや飲料などにも「高たんぱく」をうたう商品が次々と登場。手軽にたんぱく質を補える食品は、スーパーやコンビニでも当たり前のように並んでいる。

実際、米国では2024年、「以前よりたんぱく質を多く摂っている」と答えた消費者は61%に達し、5年前の48%から大きく増加した。一方で、今回のレビューをまとめた米ウィスコンシン大学マディソン校の研究者、ダドリー・ラミング氏は、運動量が少ない人の多くは、すでに必要量を満たしているにもかかわらず、さらに多くのたんぱく質を摂取している可能性があると指摘している。

つまり問題になるのは、たんぱく質不足ではなく、「健康によさそうだから」と何となく上乗せし続ける習慣なのかもしれない。

photo by GettyImages
GettyImages

たんぱく質を控えると活性化する、体の“掃除システム”

これまでの研究では、摂取カロリーを減らすことで寿命が延び、加齢に伴う病気のリスクが低下する可能性が数多く報告されてきた。
今回注目されたのは、カロリーを減らさなくても、たんぱく質の量を調整するだけで似たような変化が起こる可能性だ。

ハエや線虫、マウスなどの研究では、低たんぱく質の食事によって代謝が改善し、寿命が延びるケースが確認されている。
また、人間を対象にした短期間の研究でも、たんぱく質を抑えた食事によって、体重や体脂肪が減少し、血糖値の改善がみられる傾向が報告されている。

研究者たちが特に注目しているのが、「FGF21」と呼ばれるホルモンだ。
たんぱく質の摂取量が少なくなるとFGF21の分泌が増え、エネルギー消費や血糖コントロールを助け、炎症を抑える方向に働く可能性があると考えられている。
実際、マウスではFGF21を多く作る個体の寿命が、オスで約30%、メスでは約40%長くなったという研究結果もある。

さらに、たんぱく質制限によって期待されているのが、「オートファジー」の活性化だ。ートファジーとは、傷ついた細胞の部品や不要になったタンパク質を分解・再利用する、いわば細胞の掃除システム。
加齢とともに低下すると考えられているこの働きを保つことが、健やかに年齢を重ねる可能性が指摘されている。

運動量や体の状態に合わせた摂取を心がけよう

ここで誤解してはいけないのが、「プロテイン=悪」という話ではないこと。たんぱく質は筋肉を維持するためだけでなく、皮膚や髪、臓器、免疫機能など、体のさまざまな組織をつくる重要な栄養素である。特に高齢者、妊娠中の人、子どもや成長期の若者、アスリート、病気やけがから回復している人にとっては、十分なたんぱく質を確保することが欠かせない。

また、運動習慣のある人では、多く摂取したたんぱく質が筋肉の合成や維持に利用されるため、運動不足の人とは体への影響が異なる可能性も示されている。

つまり、今回のレビューから見えてくるのは、「たんぱく質を減らすべき」という結論ではなく、運動量や体の状態に見合わない過剰摂取には意味がないかもしれないということだ。

photo by GettyImages
GettyImages

「多ければ多いほど健康」という時代は終わる?

SNSでは「1日○グラム摂ろう」「プロテインは毎日飲むべき」といった情報が数多く発信されている。しかし、健康に必要な栄養素であっても、摂れば摂るほど効果が高まるとは限らない。

今回分析された350以上の研究でも、人間の寿命がたんぱく質制限によって延びることは証明されていない。寿命に関するデータの大半は動物研究であり、人間における長期的な影響については、今後さらに検証が必要だ。

それでも、「高たんぱくこそ健康」という一律の考え方を見直すきっかけにはなりそうだ。
大切なのは、多く摂ることでも、極端に減らすことでもない。年齢や運動量、体格、健康状態に合わせて、自分に必要なたんぱく質を摂ることが、これからの健康づくりではより重要になるのかもしれない。

健康のために選んでいる高たんぱく食品やプロテインも、「何となく追加する」のではなく、本当に自分に必要かを一度見直してみる価値がありそうだ。

photo by GettyImages
、GettyImages

出典:
Could Eating Less Protein Help You Live Longer? Here’s What a Major New Analysis Found
Too much protein may be aging your body faster, scientists warn
Reduce protein to increase longevity? Nutrition experts say that’s a bad idea
Longevity: Eating Less Protein Linked to Healthy Aging in New Studies

Google Newsでヨガジャーナルの記事が見つけやすくなります

Googleに登録する
広告

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

photo by GettyImages
photo by GettyImages
photo by GettyImages