鶏肉を食べ過ぎるとどうなる?1日何グラムまで食べてよい?管理栄養士が解説する鶏肉の「適量」とは

 鶏肉を食べ過ぎるとどうなる?1日何グラムまで食べてよい?管理栄養士が解説する鶏肉の「適量」とは
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ヘルシーかつ高たんぱく質な鶏肉を、積極的に食事へ取り入れている人は少なくありません。しかし体作りや美容のためといって、鶏肉を食べ過ぎてはいないでしょうか?鶏肉の食べ過ぎは、健康へ影響を及ぼすおそれがあります。鶏肉の過剰摂取による影響を見ながら、鶏肉の摂取目安量を確認しましょう。

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たんぱく質は十分摂れているかも?

たんぱく質は筋肉のもとになるほか、健やかな肌や髪を作るのに不可欠な栄養素です。そのため体を鍛えたりダイエットをしたりしている人や、美容を意識している人は積極的にたんぱく質を摂取しているのではないでしょうか。

効率よくたんぱく質を摂取するために、低脂質高たんぱく質な鶏肉を活用している人は多くいます。とはいえその鶏肉、多く摂り過ぎていませんか?

100g当たりのたんぱく質量を見てみると、皮付き鶏もも肉は16.6g、皮付き鶏むね肉は21.3g、ささみにいたっては23.9gもの量が含まれています。「日本人の食事摂取基準」によると、1日当たりでは成人男性で60〜65g、成人女性で50gのたんぱく質を摂取することが推奨されています。つまりささみを200g食べれば、成人女性の1日の推奨量のほとんどを摂取できてしまうのです。

「国民健康・栄養調査」を見ると、実際に摂取しているたんぱく質の量は成人男性で平均78.8g、成人女性で平均66.4gとされています。この結果からも、たんぱく質摂取量は十分足りていることがわかりますね。たんぱく質は肉類だけではなく、ご飯やパン、野菜といったあらゆる食品に含まれています。そのため、1日3食きちんと食べられていれば、たんぱく質は意外としっかり摂取できているのです。

たんぱく質を摂り過ぎた場合、体に負担を掛けてしまう可能性があります。 

摂り過ぎたたんぱく質は、体内で分解されて排出されます。その過程で、たんぱく質から作られるのがアンモニアです。アンモニアは体にとって有害な物質なので、肝臓で無害な尿素に作り替えられ、腎臓で尿となって排出されます。

たんぱく質を過剰摂取すると、肝臓と腎臓を必要以上に働かせてしまいます。そのため鶏肉を食べ過ぎると、内臓疲労を引き起こすおそれがあるのです。

エネルギーやプリン体を過剰摂取する可能性も

鶏肉を食べ過ぎるとどうなる?1日何グラムまでなら大丈夫?
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ヘルシーなように思える鶏肉ですが、100g当たりで皮付き鶏もも肉190kcal、皮付き鶏むね肉133kcal、ささみ98kcalのエネルギーが含まれています。そのため鶏肉の食べ過ぎは、エネルギーの過剰摂取につながります。

さらに、プリン体についても注意が必要です。プリン体は生物の細胞内に存在する成分であり、ほとんどすべての食品に含まれています。肉類のプリン体含有量は比較的高めですが、鶏肉には豚肉や牛肉よりも多くのプリン体が含まれているのです。

プリン体は肝臓で尿酸に作り替えられるため、プリン体を摂り過ぎると血液中の尿酸が増加し、高尿酸血症を引き起こします。加えて尿酸が結晶化するとその部分に炎症が起こり、激痛が走ります。これがいわゆる「痛風」です。尿管や膀胱に結石ができる「尿管結石」になるおそれもあります。

鶏肉の摂取目安量は?

鶏肉以外からのたんぱく質の摂取を考慮して、たんぱく質摂取推奨量の半分を満たす量で考えると、鶏肉の1日当たりの摂取目安量は以下のようになります。

鶏もも肉(皮付き):成人男性200g、成人女性150g
鶏むね肉(皮付き):成人男性150g、成人女性120g
ささみ:成人男性130g、成人女性100g

通常の食事のなかで上記の量を摂る分には、エネルギーやプリン体を過剰摂取する可能性は低いでしょう。

鶏肉は良質なたんぱく質源になる食材ですが、鶏肉だけを食べていては栄養が偏るおそれがあります。たんぱく質を積極的に摂取したい場合でも、豚肉や牛肉などの肉類、卵、大豆製品、乳製品などの食品をバランスよく食べて、たんぱく質を摂るようにしてください。

【参考文献】
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
三和化学研究所「肉類、魚類・魚白子・貝・エビ・タコ類・魚類干物 - プリン体の摂り過ぎに注意!」

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AUTHOR

いしもとめぐみ 管理栄養士

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。



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