納豆を食べてはいけない人がいるって本当?食べすぎるとどうなる?【納豆にまつわる雑学】
納豆は日本人にとって身近な発酵食品であり、毎日食べている人も少なくないはずです。しかし納豆を食べると、体に悪影響が出てしまう人がいることをご存知でしょうか。また納豆の食べ過ぎも、健康に害を及ぼすかもしれません。この記事では、納豆を食べるときに気を付けたい、納豆に関する意外な注意点を紹介します。
ワルファリンを服用している人は納豆を食べないで!
伝統的発酵食品として日本の食卓になじみ深い、納豆。さまざまな健康効果が期待できるため、納豆を毎日食べている人も多いでしょう。しかし、国民食ともいえる納豆を口にしてはいけない人がいます。それは、ワルファリンという薬を服用している人です。
私たちがケガをして出血しても、小さなケガであれば血はすぐに止まります。しかし疾病などが原因でこの働きが強く作用した場合、血液中に血の塊である血栓ができることがあります。血流に乗って体内を移動し、細い血管にたどり着いた血栓は、血管をふさいでしまうおそれがあるのです。脳の血管が詰まると脳梗塞になり、肺では呼吸困難から心停止になる可能性があります。
ワルファリンは、血液を固まりにくくし、血液中に血栓ができるのを防ぐ作用がある薬です。血液が固まる仕組みにはビタミンKが関係しており、ワルファリンはビタミンKの働きを阻害することで、血液を固まりにくくしています。
実は、納豆にはビタミンKが大量に含まれています。さらにビタミンKは腸内細菌によって、体に必要な量の約半分が体内でも合成されています。そのため納豆を食べて一度に大量のビタミンKを摂取すると、ワルファリンの作用が極端に弱まるおそれがあるのです。
イソフラボンの摂り過ぎに要注意
特別な薬を服用していなくても、納豆の食べ過ぎには注意が必要です。
納豆には、大豆由来のイソフラボンという成分が多く含まれています。イソフラボンは、体の中で女性ホルモンに似た働きをするポリフェノールの一種です。女性は加齢にともなって女性ホルモンの分泌が低下し、顔のほてりや発汗、精神不安などの更年期障害が現れます。イソフラボンを摂取すると、イソフラボンが女性ホルモンの働きを補い、更年期障害の症状が改善されるといわれています。
しかしイソフラボンの摂り過ぎは、女性ホルモンの乱れや、婦人科系疾患を引き起こす可能性があるのです。イソフラボンの1日の摂取目安量の上限は、70〜75mgとされています。納豆1パックに含まれるイソフラボンの量は約30〜40mgであるため、納豆を食べるのは1日1パックまでにするのがよいでしょう。
実はプリン体が多い納豆
過去に高尿酸血症と診断されたり、痛風になったりしたことがあると、食べ物に含まれるプリン体の量を気にするのではないでしょうか。納豆は、意外とプリン体を多く含む食品です。
プリン体とは、生物の細胞に存在する成分であり、肉・魚・野菜など多くの食物に含まれています。通常であれば、食べ物から摂取したプリン体は肝臓で処理されて「尿酸」になり、尿として体外へ排出されます。しかしプリン体を過剰摂取すると、尿酸が血液中にたまって高尿酸血症になったり、尿酸が関節などに沈着して痛風が生じたりするのです。
納豆1パックには、約50〜60mgのプリン体が含まれています。プリン体の1日の摂取目安量は400mg以下とされているため、納豆を食べたくらいでは影響はないように思うかもしれません。しかしプリン体はあらゆる食べ物に含まれており、ほかの食品からの摂取も考慮して、納豆を食べるのは1日1パックまでにしておきましょう。
まとめ
ワルファリンを内服している人にとって、納豆は禁忌です。また健康な人でも、食べ過ぎると体に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし納豆は栄養価が高く、健康効果が期待できることも事実です。医師の指示により納豆を止められている人以外は、適量を守りながら食生活に取り入れるべきでしょう。
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
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