プロテインの過剰摂取が腎臓を疲弊させる?運動量に見合わない高タンパク食が招く「濾過機能」の低下

プロテインの過剰摂取が腎臓を疲弊させる?運動量に見合わない高タンパク食が招く「濾過機能」の低下
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2026-05-19

高タンパク食が続くと、腎臓が疲弊していく可能性があります。筋トレしてないけど毎日プロテインを摂取している人などは注意が必要です。医師が解説します。

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「タンパク質は多いほど健康」は本当か?

ここ数年、かなり増えたのが「高タンパク志向」です。

コンビニでも「タンパク質◯g入り」という商品をよく見かけますし、プロテインを毎日飲んでいる方も珍しくありません。

もちろん、タンパク質は筋肉や免疫、体づくりに欠かせない大切な栄養素です。

特に高齢者では、ある程度しっかり摂ることも重要です。

ただ、外来で気になるのは、「必要以上に摂りすぎている人」がかなり増えていることです。

しかも、運動量に見合っていないケースが多い。

「健康のために」と思って続けていたことが、結果的に腎臓へ負担をかけていることがあります。

腎臓は「血液のろ過装置」

腎臓は、簡単に言うと“血液のフィルター”です。

体の老廃物を取り除き、尿として外へ出しています。

その中心になるのが、「糸球体」という小さなろ過装置です。

1日にものすごい量の血液を処理していて、かなり働き者の臓器です。

タンパク質を摂りすぎると何が起こる?

タンパク質を分解すると、体内で窒素系の老廃物が発生します。

これを処理するのが腎臓です。

つまり、高タンパク食が続くと、腎臓は普段以上に働かなければなりません。

一時的には問題なくても、長期間負荷が続くと、腎臓が疲弊していく可能性があります。

特に、もともと腎機能が低下している人では注意が必要です。

「筋トレしてないけど毎日プロテイン」問題

最近かなり多いのがこれです。

「健康に良いと思って飲んでいます」
という理由で、運動習慣がほとんどないのに毎日プロテインを摂取しているケース。

プロテイン
photo/Adobe Stock

例えば40代男性

朝に高タンパクヨーグルト、昼にサラダチキン、夜にプロテイン。
さらに間食にもプロテインバー。

本人は「糖質より健康的だと思って」と話していました。
ただ、実際には運動量は少なく、健康診断で腎機能低下を指摘。
血液検査では、eGFRの低下が見られました。

もちろん原因は一つではありません。
ただ、「必要以上の高タンパク状態」が腎臓に負担をかけていた可能性は十分あります。

ケース①「筋肉をつけたかった」20代男性

20代男性で、筋トレを始めたことをきっかけに、1日に何回もプロテインを飲んでいた方がいました。

SNSの情報を参考にして、「とにかくタンパク質を大量に取れば筋肉がつく」と思っていたそうです。

ただ、実際にはトレーニング量以上に摂取していました。

結果として、
・胃腸不調
・だるさ
・軽度の腎機能悪化
が見られました。

筋肉は「タンパク質を摂れば無限につく」わけではありません。

体が使い切れない分は、腎臓が処理することになります。

ケース②「健康意識が高すぎた」50代女性

50代女性で、「老後の筋力低下予防のため」と毎日かなり高タンパクな食事をしていた方もいました。

☑︎ 毎食プロテイン追加
☑︎ 肉中心
☑︎ 低糖質生活

かなり徹底されていました。

ただ、もともと軽度の慢性腎臓病があり、検査では徐々に腎機能が低下。

本人は「健康のために頑張っていたのでショックでした」と話されていました。

腎臓は「静かに悪くなる」

怖いのはここです。

腎臓は、かなり悪くなるまで症状が出ません。

  • 少し疲れやすい
  • むくみやすい
  • 夜間尿が増える

こうした変化が出る頃には、すでに進行していることもあります。

腎臓
photo/Adobe Stock

そのため、「健康のためにやっていたこと」が裏目に出ても、自分では気づきにくいんです。

「高タンパク=正義」ではない

最近は、糖質制限ブームもあって、「とにかくタンパク質を増やそう」という流れがあります。

もちろん不足は良くありません。

ただ、必要量を超えて摂り続ければ、体に負担がかかることもあります。

特に、

・運動量が少ない
・高齢
・高血圧がある
・糖尿病がある

こうした方は、腎臓への影響を考える必要があります。

医師として感じること

外来で最近かなり増えたのが、「健康情報を頑張りすぎている人」です。

本来は体に良いことでも、“極端”になるとバランスを崩します。

タンパク質もまさにそうです。

「足りない」のも問題ですが、「多すぎる」のもまた別の問題を生みます。

本当に大事なのは「バランス」

筋肉を維持するためにタンパク質は必要です。

ただ、それは「自分の体に合った量」であることが前提です。

  • 運動量
  • 年齢
  • 腎機能
  • 体格

こうした条件によって、適量は変わります。

だからこそ、「みんなが飲んでいるから」「SNSで勧められていたから」ではなく、自分の体に合っているかを考えることが大切です。

腎臓は黙って頑張り続けている

腎臓はかなり我慢強い臓器です。
だからこそ、無理をしていても気づきにくい。

毎日大量のタンパク質を処理し続ければ、その分だけ負担は積み重なっていきます。

「健康のため」が、「腎臓を酷使する生活」になっていないか。

一度立ち止まって見直してみる価値は、十分あると思います。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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