【医師が教える】内臓が休まり摂取カロリーも半分に!連続5日間「動物性食品カット」食事術のメリット

 【医師が教える】内臓が休まり摂取カロリーも半分に!連続5日間「動物性食品カット」食事術のメリット
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真夏は食欲がなかったのに、気温が低くなると急に食べ物がおいしくなり、食べ過ぎから肥満へと突入してしまいます。そこで、今からできる太りにくい体質になる方法を紹介します。「太りにくい体質をつくって、体の調子を整えるには、たった2つだけのルールを守ればOK。」と、イシハラクリニックの石原新菜先生。今回は石原新菜先生流「脱動物」食事術を解説します。

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食事をすると内臓は大忙し、活性酸素が発生しダメージ大

1日3食、毎日摂っている食事、おいしくいただけば気持ちもお腹も大満足です。しかし、食事を摂るたびに体の中では大変なことが起こっています。消化吸収は内臓の大仕事、食事を摂ると大忙しだそうです。

「みなさん、ステーキを食べた後のことを考えてみてください。あの大きな肉の塊が、アミノ酸という小さな分子になるまで体の中で分解されて吸収されていくのです。とても複雑な作業が、体の中では行われているのです。胃は強酸の胃液を1日に1~1.5リットルも分泌し、胃壁を動かし食品を粥状にし、少しずつ十二指腸に送ります。十二指腸では、胆のうから出された胆汁と膵臓で作られた膵液が混ざり、細かい粒子にまで分解します。膵液も1日に1リットルほど作られています。小腸では、消化酵素で最小単位になるまで分解された栄養素を吸収します。血液中に入ってきた栄養素の貯蔵、合成、分解、解毒などで、肝臓や腎臓など他の臓器も忙しくなります。消化吸収で内臓は疲れ、活性酸素が発生しダメージを与えます」(石原先生 以下同)

空腹時間は「細胞のおそうじタイム」、リフレッシュして元気に

空腹時間を設けることで、消化吸収で働き続けてきた内臓を休ませることができます。

「胃や腸の病気で入院すると、しばらくは絶食となります。体調不良の時は、内臓を休ませることが医学界のセオリーです」

これは、2016年大隅良典教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで話題となったオートファジーが関係しているそうです。オートファジーとは、細胞のおそうじのことで、細胞内のゴミを分解してリサイクルすることです。

「オートファジーは、空腹時に起こります。細胞がリフレッシュすると炎症が抑えられることがわかっており、体調も整います」

月に連続5日間「動物性食品カット」摂取カロリー半分に

石原先生が指導するプログラムを実施した方の中には、数日で体調が整い、体脂肪が減るそうです。定期的に本格的なプログラムを行うことは有効ですが、忙しい現代人には難しいかもしれません。そこで、石原先生が提案するのは、日常生活にカンタンに取り入れることができる方法です。

「おすすめは、月に連続5日間だけ摂取カロリーを半分~3分の1にするだけです。食事の内容は、動物性食品はカット、野菜、豆類、穀類など食物繊維が豊富な植物性食品を中心に摂ります」

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体脂肪減少、筋肉量アップ、健康で引き締まった体へ

月に連続5日間、脱動物性かつカロリー控えた食事術は、米国を中心に研究が進んでいるFMD(断食模倣食 Fasting Mimicking Diet)といわれる断食の模倣、つまり「断食に近い食事方法で効果が得られる」方法です。米国では、様々なメソッドが報告されていますが、その1つが月5日間のFMD です。

「米国の研究※1によると、連続5日間のFMDを3か月行ったところ、体重、体脂肪が低下し、血圧も低下したと報告しています。さらに、除脂肪量が上がったことから、筋肉を落とさず脂肪だけが落ちる健康的な断食です」
※1) Sci Transl Med. 2017 February 15; 9(377)

同研究は、1日目は約 1000kcal/日、2~5日目は約700kcal/日に摂取カロリーを抑えています。食事内容はカロリーベースで約10%がタンパク質、脂質と糖質はそれぞれ約45%でした。すべての食材は植物性を使用しています。

新菜先生流の食事術は、2つのルールを守るだけ

毎日カロリー計算を行うのは、手間がかかり続きません。そこで、

「日本人成人の1日のエネルギー摂取量が約2000kcal であることから、1日1食は野菜ジュース、他の2食を1日目は半分、2~5日は3分の1と考えてください。タンパク質、脂質、糖質をバランスよく、お菓子など甘いものは控えましょう。パンを1枚食べているなら半分に、ごはんはお茶碗の半分に、動物性食品はやめてタンパク質は植物性に変えてください」

そもそも、現代人は食べ過ぎだそうです。

「日本人が飽食になったのは、1970年代の経済発展後のこと、その後、糖尿病など生活習慣病が激増しました。そもそも、ヒトの体は飢餓に適応するようにできています。血糖値を上げるホルモンは、グルカゴン、コルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンなど多種類ありますが、血糖を下げるホルモンはインスリンの1種類のみです。体のシステムから考えても現代人が食べ過ぎ、体に負担をかけているのです」

ポイントは脱動物性!植物性オンリーに

新菜先生流の食事術で大切なことは、動物性食品を摂らないことです。

「上記の研究で提供されていた食事は、すべて植物性でした。できれば、日々の食事でも動物性食品は控えたいところですが、月5日間の食事では、動物性食品はしっかりカットしましょう。お肉、乳製品などが食べたい場合は、代替肉や植物性チーズ、植物性ヨーグルトなどを利用してみましょう。」

また、5日後の回復食には注意が必要です。

「5日間のプログラムが明けた直後に、肉をたくさん食べるのはやめておきましょう。回復食も植物性から始めて、食事量は少しずつ増やしていきます。休んでいた内臓に大量に食事を送り込むと、肥満、不調、病気につながります」

動物性タンパク質をカットすると腸内環境が整う

動物性食品は、なぜ断食に適していないのでしょうか? その理由は腸内環境にありました。

「肉や乳製品など動物性食品に含まれる脂質の摂りすぎにより、腸内環境を悪化することがわかっており、さらに悪玉コレステロールを増加させ、動脈硬化のリスクを高めることがわかっています。」

そして、動物性タンパク質は、悪玉菌のエサになるそうです。

「食べ過ぎて未消化の動物性タンパク質が大腸に届くと、悪玉菌のエサになり腸内環境が乱れます。腸内環境の乱れは体調の悪化や肥満につながってしまいます」

主食は食物繊維が豊富な穀類、副菜は発酵食品、豆類、野菜

期間中に食べるものは、発酵食品、豆類、野菜、食物繊維が豊富な穀類だそうです。

「主食は白米よりも玄米、雑穀米、白いパンよりも全粒粉パン、ライ麦パンなど“茶色い炭水化物”が食物繊維を豊富に含みます。また、副菜は納豆やつけものなどの発酵食品、豆腐など大豆食品、野菜を中心に摂取しましょう。野菜は、米国の健全な食生活として提唱されたデイナーズフーズの1郡にあげられる、ニンニク、キャベツ、大豆、ショウガ、セリ科の野菜(ニンジン、セロリ、パセリ、セリなど)は積極的に摂取していきましょう。さらにキノコ類、ビタミン ACE といわれるビタミン A、C、E を含む野菜、緑黄色野菜やアボカドも欠かせません」

野菜の食べ方としてオススメは、発酵食品です。

「野菜は漬物などの発酵食品が、腸内環境を整え有効に働きます。漬物だけでなく、植物性のチーズやヨーグルトが手軽に手に入るので有効に利用しましょう」

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人気の植物性チーズを活用!5日間の物足りなさをサポート

植物性タンパク質で新菜先生がオススメするのは、植物性チーズです。

「動物性食品を抜くと、物足りなく感じることがあるかもしれません。そこで、オススメしたいのが植物性チーズです。乳製品のチーズと同じように扱える商品も手軽に入手できるので、玄米ごはんやオートミールにかけてドリア風に仕上げる、大豆ミートのハンバーグにかけてチーズハンバーグにするなど、アレンジが豊富で飽きません」

レスキューフードに植物性チーズ・ナッツ・チョコレート

55日間のプログラム中は、ヨガなどを行いゆったり過ごすのが理想的ですが、忙しい現代人はなかなか時間がとれません。いつもと同じ生活をしていると、どうしてもお腹がすいてリタイヤしそうになることがあります。

「そんな時はレスキューフードを活用しましょう。ナッツ、カカオが豊富なチョコレート、そして、植物性チーズならおやつに少しだけ食べていいでしょう。楽しく続けて欲しいので、我慢しないでレスキューフードを活用して5日間を乗り越えましょう。これらは腹持ちがいいので、空腹感も軽くなります」

5日間のプログラムを終えると、体調がよくなっていることを実感できるそうです。

「胃が軽くなったような感じがして、体調が整ったことを感じると思います。下痢や便秘も少なくなり、肌の調子も整っていきます。数か月続けていくうちに、日常の食生活も食べ過ぎが改善され、健康で太りにくい体質へと変化し、不調も少なくなるでしょう」

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教えてくれたのは…石原 新菜(いしはら にいな)先生

医師、イシハラクリニック副医院長。ヒポクラティック・サナトリウム副施設長。健康ソムリエ理事、ロングライフラボ理事。2006 年帝京大学医学部卒業。現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察のほか、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。日本温泉気候物理医学会会員。

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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