いま「デブ」という言葉を使っているのは誰か?

いま「デブ」という言葉を使っているのは誰か?
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Poko
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2026-07-28

ぽっちゃり女性専門の写真家として活動するPokoさんは、「ボディポジティブ」という言葉が日本で広まる以前から、ふくよかな女性たちの姿を作品として発表してきました。連載「ボディポジティブを見つめて」では、体型や女性、そして社会との関係を、Pokoさん自身の経験をもとに紐解いています。今回は、コンプライアンスが浸透した現代社会においてなお使われ続ける「デブ」という言葉に焦点を当て、当事者による自虐表現が及ぼす社会的影響と、Pokoさんがいま感じている違和感について語ります。

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『デブ』という呪いの言葉・・・

僕が子供の頃はもちろん、10年ほど前まで、「デブ」という言葉はとてもスタンダードな言葉として使われていたような気がします。テレビのお笑い番組で、女性芸人が「デブ」とか「ブス」などと言われ笑われている様子は、日常的な光景でした。

そう思うと「コンプライアンス」や「多様性」という言葉が浸透してからの、公における『デブ』という言葉の消滅は、とてつもなく速かったような気がします。

実に素晴らしいことです!

僕は、この世はジョン・レノンの『イマジン』のようなものだと考えています。

「差別や偏見は、一曲の歌によってさえ無くせる可能性がある」
「差別や偏見をなくすために莫大なお金なんていらない」
「差別や偏見をなくすことは、人の心さえ変わればタダで実現できることだ」
と。

以前「デブ」や「ブス」という言葉で女性を貶し笑いを取っていた男性芸人達も、今、そんな言葉を使ったら途端に軽蔑の目で見られる世の中に変化したのです。

それは本当にすごいことだと思っています。

ただ、そんなコンプライアンスが厳しく問われている昨今でも「デブ」という蔑称を目にすることがままあります。

公に使っているのは誰なのか?

しかも、その言葉の発信源が、残念ながら、大きな体型を個性として売りにしているアイドルグループやグラビアアイドルだったりするのです。

例えば、ぽっちゃりアイドルの老舗、活動8周年を迎えた『びっくえんじぇる』のプロフィールにはこうあります

天使だったけど
体重オーバーで落っこちた〜💦
【総重量740kg】
肥満落下系堕天使アイドルです!
天界に戻るために
歌って、踊って、痩せて!!?
活動しています♪

さて、彼女たちのyoutube動画のタイトルを、ちょっと抜粋してみようと思います。

ーーーーーーーー

『おデブアイドルが夢について語る。』
『元総重量738kgおデブアイドル、半年ぶりにリアルな体重公開します!!』
『【回転寿司】おデブがレッスン終わりに、くら寿司に行って好きなだけ食べたらいくらになる?』
『総重量738kgおデブのリアルな朝ごはん』
『100キロ越えおデブがAKB48千葉恵里さんの1日ルーティンにチャレンジ!』
『【検証】100キロ超えおデブとトップアイドルの1日ルーティン比較してみた!【AKB48様コラボ】』
『【コラボ】総重量738kgおデブ『会いたかった』をAKB48様ご本人に直接教えて頂いて一緒に踊ってみた!』
『【緊急】食べるの大好きおデブによるダイエット※3日坊主推奨』
『総体重738kgのおデブアイドルがタワレコで無料ライブの1日に密着。全部見せます。』
『おデブは富士急の乗り物乗れるの?撮ってたらまさかのキス事件勃発!?』

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半年ほど遡って抜粋してみようと思ったのですが、2ヶ月ほど遡った時点で辟易してしまいました…。

『びっくえんじぇる』が一番の老舗とも言えるので彼女達を例に挙げましたが、自分達を「デブ」と呼称しているアイドルグループは僕が知っているだけでも他にも何組もあります。

豚の鼻のマークが胸元にデカデカとプリントされたTシャツをみんな着ている「私、おデブ宣言オーディション」という企画もあるようで、なんか酷いものだなと思ってしまいます。

というのも、多様性やボディポジティブの理念によって、大きな体に劣等感を持たずに生きられるようになったことと、「デブ」という言葉を面白おかしく、健気にも明るく受け入れさせられることは、全く意味が違いませんか?

体重や身体的特徴を羅列され、体重重い順とかでソート出来る「私、おデブ宣言オーディション」のホームページの仕様を見ていると、女性の身体性が玩具にされているようで、本当に不快です。

彼女達は、アイドルになりたいという夢を利用されて、この尊厳の毀損を受け入れてしまったのでしょうか?

そして「細くないとアイドルになれない」という時代がせっかく終わったにも関わらず、今度はまた身体性に縛られてしまう矛盾。

これはボディポジティブでもダイバーシティでもありません。

自分を「デブ」と語るのは許されるのか?

コンプライアンスが浸透し、他人に対して「デブ」という蔑称を使うことが悪とされる時代がせっかくやって来たのに、なぜ、彼女達は自分達をデブデブ言うのでしょうか?他人に使って悪い言葉を、自分自身に使うことは許されるのでしょうか?また、自分の利益の為に、「デブ」という言葉を受け入れるのは、許されるのでしょうか?

僕はそうは思いません。

何故なら、彼女達が代表しているのは自分達だけではなく、同じ体型や属性を持つ女性達でもあるからです。

「自分達を『デブ』と楽しく明るく呼んでいるアイドルがいるのだから、褒め言葉として『デブ』を使うのもありだろう」
そう考える解像度の低い人もたくさん生まれることでしょう。

ハッキリと言いますが、僕は彼女達の、女性の尊厳を自ら傷つけることで自分達の「手に入りやすさ」を演出するやり方を非難します。

例えば、ディスカウントストアなどで意図的にチープなBGMを流し、「親しみやすさ」や「手軽さ」「お得感」を演出する店舗戦略があります。

さて、ちょっと思い返してみて下さい。

料理屋さんでも、アパレルブランド店でも、高級店でディスカウントストアで流れているようなチープなBGMが流れているのを聞いたことがありますか?高級な店には、扱っている商品の高級感を盛り立てる格調高いBGMが選ばれるものです。

そうした演出は受け取る側が自覚するしないに関わらず、時には演出する側も明確に意識せずに行っているほど、スタンダードな戦略として身近に存在しています。

「びっくえんじぇる」の話に戻りますが、彼女たちが使う「デブ」という自虐的な言葉にも、自らの格式をあえて崩すことで、見る側に「自分より下に見ていい」「雑に扱っても怒らない安全な存在」と思わせながら、手軽な親しみやすさを獲得しようとする演出構造が透けて見えます。

それは、プラスサイズモデルをはじめとした、ふくよかな体型に悩む女性たちや、陰ながら活動してきた僕など、ぽっちゃりした女性の尊厳のために闘って来た結果を後退させる行為だと思います。

ぽっちゃりアイドルでも、体型を無視したっていい

さて、殺伐としてしまいましたから、「びっくえんじぇる」が結成された2018年に僕がプロデュースしたぽっちゃりアイドルの曲をご紹介して、終わりにしようと思います。

これは体型に関係無く、男性に搾取されて来た若い女性をエンパワメントする歌で、このMVの中でパフォーマンスしているプラスサイズモデルのBETTY.が素晴らしく、そして凄まじい作詞してくれたものです。

作曲やMVを担当した僕と二人で1から作ったコンセプトです。

こういうぽっちゃりアイドルがいてもいいと思いませんか?

TANIMA Rhapsody (谷間ラプソディー) 
Lyrics & Performance by VIOLET QUEEN (BETTY.)
Music & Movie by Poko


可愛けりゃいいのかい?
女の子がいいのかい?
上目遣いでアピって
スカートひるがえして
愛が買えんのなら
安く売ってもいいのよ


『ねぇねぇ姉ちゃん何カップ?』
教えてあげましょ Kカップ
『キモい野郎は願い下げ』のK
そこんとこOK??


よく聞きな あんちゃん。
シタゴコロまるだし
あんたの目に映るそこにゃ
誰もいないよ
ホントのあたしは谷間の奥
Hotで初心なハート

奥ゆかしけりゃいいの?
ヤマトナデシコがいいの?
オンナは3歩下がって
従順でナンボって?
古いおツムなんぞ
いまどき流行りゃしないわ


『ねぇねぇ嬢ちゃん中学生?』
教えてあげましょ あたしJC
みな神の子『ジーザス・クライスト!』
あんたの食いもんじゃねぇし


よく聞きな おっさん。
シタゴコロまるだし
あんたが触るそこにゃ
夢なぞないよ
ホントのあの子は谷間の奥
ナイーブでピュアなハート


ナニをみて ドコを掴んで
愛を叫ぼうとしてんのさ
ドコを見て ナニを出して
どんな愛を叫べんのさ


イヤっていったのに アンタ
そんなとこばっか見て
もうあたし イイコちゃんじゃいらんないわよ

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