帰省の車、新幹線、飛行機…夏の長時間移動で血栓ができやすい人の特徴とは|医師が解説
夏休みやお盆の帰省シーズンは、車や新幹線、飛行機で長時間移動する人が増えます。楽しい旅行や帰省の一方で、この時期に注意したいのが「血栓(血のかたまり)」です。夏の長時間移動で血栓ができやすい人の特徴や予防法、危険なサインについて医師が解説します。
なぜ夏の長時間移動で血栓ができやすいの?
特に夏は、汗による脱水と長時間座り続けることが重なり、血栓ができやすい条件がそろいます。できた血栓が肺へ流れると、「肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」を引き起こし、命に関わることもあります。
血液は通常、スムーズに全身を流れています。
しかし、長時間同じ姿勢で座り続けると、足の筋肉を動かす機会が減り、足の静脈に血液がたまりやすくなります。
さらに夏は大量の汗をかきやすく、脱水によって血液中の水分が減少し、血液が濃くなります。
この「血液の流れが悪くなること」と「脱水」が重なることで、足の深い静脈に血栓ができやすくなるのです。
血栓ができやすい人の特徴
誰にでも起こる可能性がありますが、特に注意が必要なのは次のような方です。
- 65歳以上の高齢者
- 肥満の方
- 喫煙習慣がある方
- 妊娠中・産後間もない方
- がんの治療中の方
- 過去に血栓症を起こしたことがある方
- 下肢静脈瘤がある方
- 心不全や慢性腎臓病などの持病がある方
- 女性ホルモン製剤(低用量ピルやホルモン補充療法など)を使用している方
これらに加え、真夏の長時間移動では、健康な人でも血栓ができるリスクが高まります。
飛行機だけではない「エコノミークラス症候群」
「エコノミークラス症候群」という名前から、飛行機だけの病気と思われがちです。
しかし実際には、
・車での長距離運転や同乗
・新幹線
・高速バス
・フェリー
・長時間の映画鑑賞やデスクワーク
など、長時間ほとんど動かない状況であれば、どこでも起こる可能性があります。
特に渋滞にはまって何時間も動けない車内では、水分補給やトイレを我慢しがちになるため、さらにリスクが高まります。
こんな症状は血栓のサインかもしれない
足の静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」では、
- 片脚だけが腫れる
- 片脚だけが痛む
- ふくらはぎに張りや痛みがある
- 足が赤くなる
- 足に熱感がある
といった症状がみられます。
「両足ではなく、片脚だけ」という点が大きな特徴です。
これらの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
息苦しさや胸の痛みは緊急事態
足にできた血栓が血流に乗って肺へ流れると、「肺血栓塞栓症」を発症します。
すると、
- 突然の息切れ
- 胸の痛み
- 呼吸が苦しい
- 動悸
- 血の混じった痰
- 失神
などの症状が現れることがあります。
肺血栓塞栓症は命に関わる病気です。
長時間移動後にこれらの症状が現れた場合は、すぐに救急車を要請してください。
長時間移動でできる予防法
血栓を予防するためには、血液の流れを良くすることが大切です。
移動中は、
⚫︎1~2時間に一度は立ち上がって歩く
⚫︎足首を上下に動かす
⚫︎ふくらはぎの筋肉を意識して動かす
⚫︎こまめに水分を補給する
⚫︎アルコールの飲み過ぎに注意する
⚫︎ゆったりした服装を選ぶ
ことを心掛けましょう。
弾性ストッキング(着圧ソックス)が勧められる場合もありますが、持病のある方は使用前に医師へ相談すると安心です。
「少し休めば治る」と思わないこと
足のむくみや痛みは、疲労や筋肉痛と勘違いされることがあります。
しかし、
片脚だけが急に腫れた
痛みが続く
息苦しさや胸痛を伴う
といった症状は、血栓症の可能性があります。
「様子を見よう」と自己判断せず、早めに医療機関を受診することが重要です。
まとめ
夏の長時間移動では、脱水と座りっぱなしが重なることで、足の静脈に血栓ができやすくなります。飛行機だけでなく、車や新幹線、高速バスなどでも起こる可能性があり、誰にでも起こり得る病気です。
特に、片脚だけの腫れや痛みは深部静脈血栓症のサインであり、さらに突然の息苦しさや胸の痛み、失神などがあれば、肺血栓塞栓症を疑う必要があります。
夏の帰省や旅行では、「こまめな水分補給」と「定期的に足を動かすこと」を意識し、危険な症状があれば速やかに医療機関を受診しましょう。早めの対応が、重篤な合併症を防ぐことにつながります。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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