42℃以上の熱いお風呂は血液をドロドロにする?血栓を防ぐために知っておきたい「正しい入浴温度」
汗をかけばかくほど健康、というわけではありません。特に熱いお風呂に長く入浴することは、心臓にもかなり負担がかかります。温度だけではなく、入浴後に気をつけたい大事なポイントも。医師が解説します。
「熱いお風呂が体にいい」は本当か?
「熱いお風呂に入ると疲れが取れる」
「しっかり汗をかいたほうが健康にいい」
こう考えている方はかなり多いです。特に日本人は熱めのお風呂が好きな方が多いですよね。
ただ、医療の立場から見ると、「熱すぎる入浴」には注意が必要です。
特に42℃を超えるような高温のお風呂は、体への負担がかなり大きくなります。
場合によっては、血液が濃くなり、血栓リスクを高めることもあります。
熱いお風呂で体に何が起きる?
熱いお風呂に入ると、体は急激に温まります。
すると血管が広がり、汗も大量に出ます。
ここまでは「気持ちいい反応」なんですが、問題はその後です。
大量に汗をかくと、体の水分が失われます。
つまり軽い脱水状態になる。
すると血液中の水分が減り、血液は濃い状態になります。
よく「血液がドロドロになる」と表現されますが、医学的には血液粘度が上がり、血流が悪くなりやすい状態です。
特に危ないのは「長風呂+高温」
例えば、42〜43℃のお風呂に長時間入る。
これはかなり体に負担がかかります。
外来でも、「熱い風呂が好きで毎日かなり長く入る」という方で、脱水傾向や血圧変動が強いケースは少なくありません。
特に高齢者では、
・のぼせ
・脱水
・転倒
・意識消失
につながることもあります。
血栓リスクとの関係
血液が濃くなり、流れが悪くなると、血栓ができやすい環境になります。
血栓というのは、血の塊です。
これが血管を詰まらせると、脳梗塞や心筋梗塞につながることがあります。
もちろん、お風呂だけで突然起こるわけではありません。
・脱水
・高血圧
・動脈硬化
・高齢
といった条件が重なると、リスクは上がります。
ケース①「風呂上がりにふらついた」70代男性
印象的だったのは、70代男性です。
毎日かなり熱いお風呂に20分以上入る習慣がありました。
本人としては、「汗をかいたほうが健康的」と思っていたそうです。
ただ、ある日風呂上がりに強いふらつき。
救急受診時には脱水がかなり進んでいました。
幸い大事には至りませんでしたが、高齢者ではこういうケースは珍しくありません。
ケース②「夜中の足のつり」の背景に脱水
60代女性で、「夜中によく足がつる」という相談もありました。
詳しく聞くと、かなり熱いお風呂が好きで、長風呂習慣がありました。
さらに入浴後の水分補給も少なかった。
結果として、慢性的に軽い脱水状態になっていた可能性がありました。
入浴習慣を見直し、水分補給を意識してもらったところ、症状はかなり改善しました。
「サウナ感覚の入浴」が危ないことも
最近は「汗を大量にかく=デトックス」というイメージもあります。
ただ、汗をかけばかくほど健康、というわけではありません。
大量発汗は、その分だけ体液を失っています。
特に高温浴では、心臓にもかなり負担がかかります。
脈拍も上がり、血圧も変動します。
高血圧や心疾患がある方では注意が必要です。
じゃあ、何℃くらいがいい?
一般的に、体への負担が比較的少ないと言われるのは38〜40℃前後です。
「ぬるい」と感じる方もいるかもしれませんが、実際にはこのくらいでも十分温まります。
むしろ、少しぬるめのお湯にゆっくり入るほうが、自律神経も安定しやすい。
医療的にはこちらのほうが安全です。
入浴前後の「水分補給」がかなり大事
意外と見落とされやすいのがここです。
お風呂に入るだけでも、かなり水分は失われます。
特に高齢者は、脱水に気づきにくい。
そのため、以下を習慣にするだけでも違います。
- 入浴前にコップ1杯
- 入浴後にも水分補給
医師としてよく感じること
外来で見ていると、「健康のため」と思ってやっていることが、実は体を追い込んでいるケースがあります。
熱いお風呂もその一つです。
もちろん、入浴自体はとても良い習慣です。
血流改善やリラックス効果もあります。
ただ、熱すぎる・長すぎるになると話が変わってきます。
大事なのは「気持ちよく終われる温度」
個人的には、「頑張って汗をかく」より、
「無理なく気持ちよく入れる」くらいがちょうどいいと思っています。
お風呂は本来、体を回復させる時間です。
そこで脱水や血圧変動を起こしてしまうのは、少しもったいない。
特に、
・高血圧
・糖尿病
・動脈硬化
・高齢
こうした方は、熱さより安全性を優先したほうが安心です。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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