「年を取れば衰える」は思い込みだった? 65歳以上1万人超を12年間追跡してわかった、“心と体が若返る人”の共通点

「年を取れば衰える」は思い込みだった? 65歳以上1万人超を12年間追跡してわかった、“心と体が若返る人”の共通点
山口華恵
山口華恵
2026-07-11

「年齢を重ねるごとに、体力も記憶力も坂道を転がり落ちるように低下していく」―私たちはそんな風に思い込みがちだ。しかし、そんな「加齢=衰退」という常識を覆す、画期的な研究結果が発表された。

Google Newsでヨガジャーナルの記事が見つけやすくなります

Googleに登録する
広告

4割以上の高齢者が年齢を重ねるごとに心身をアップデート

米イェール大学が65歳以上の高齢者1万人以上を最長12年間追跡した調査で、「加齢=衰退」という常識を覆す事実が判明した。短期記憶(認知機能)と歩行速度(身体機能)を追跡した結果、全体平均のデータでは見落とされがちな「右肩上がりの事実」が浮かび上がった。

  • 約半数(45.15%)の心身が「向上」:認知機能、歩行速度、またはその両方のスコアが実際に改善した。
  • 約32%で脳、約28%で体が進化:それぞれ単体で見ても、これだけの人が以前より良くなっている。
  • 過半数が「衰え知らず」:数値を「維持」した人と合わせると、半数以上が年齢による低下を見せていない。

全体平均で見ると「年齢とともに低下している」ように錯覚してしまう。しかし個人の軌跡をたどれば、実に4割以上の高齢者が年齢を重ねるごとに心身をアップデートさせている。

photo by GettyImages
photo by GettyImages

 “心と体が若返る人”を分ける、たった一つの共通点

年齢に抗い、心身をアップデートし続けられる人と、そうでない人。その決定的な違いはどこにあるのだろうか。年齢や性別、持病の有無などさまざまな要因を考慮して分析した結果、最も大きな共通点として浮かび上がったのが、「加齢(エイジング)を前向きに捉えていること」だった。実際に心身の機能が向上した人たちには、共通する考え方がある。「年を取るほど役に立たなくなる」といった固定観念にとらわれず、「若い頃と同じくらい今も幸せだ」と現在の自分を肯定している。さらに、「老いることは単なる衰えではなく、人間性が磨かれていくプロセスだ」と前向きに捉えている人ほど、実際に脳や身体機能も若々しさを保ち、改善していく傾向がみられた。

photo by GettyImages
photo by GettyImages

「どうせ衰える」という呪いが、心身を本当に破壊する

逆に、「歳を取れば何もできなくなる」というネガティブな固定観念を内面化している人は、深刻な不利益を被る。文化やメディア、広告などから刷り込まれた「高齢者=弱者」というイメージを信じ込んでいると、ストレスホルモンが増加し、記憶力テストのパフォーマンスが低下するだけでなく、将来的な心血管疾患のリスクやアルツハイマー病のリスクまで高まってしまうことが、これまでの研究で指摘されている。また、医療現場でも「もうお年ですから」と医師に症状を片付けられてしまう「年齢差別(エイジズム)」に直面する人が50歳以上の5人に1人にのぼり、これが本人の気力を奪う原因にもなっている。

今すぐ始めるべき「老いない脳と体」を作る3つの習慣

イェール大学の研究が示した最も明るいニュースは、「年齢に対するマインドセットは、いつでも自分の意志で変えられる」ということだ。専門家たちは、後半生の健康を上向きにするために、以下の行動を推奨している。

「素敵に歳を重ねている人」のロールモデルを作る

イェール大学のベッカ・レヴィ教授の著書『Breaking the Age Code』では、身近な人や歴史上の人物、芸能人などから、自分が憧れる高齢者の例を複数集めることを勧めている。「ユーモアがある」「生涯現役で活躍した」といったポジティブなイメージを脳に焼き付けることで、「老いは衰退」という世間のネガティブな刷り込みをブロックできる。

「歩行速度」を意識して、脳のエネルギーを高める

今回の研究でも指標となった「歩くスピード」は、寿命の強力な予測因子だ。少し早歩きを意識するだけで、死亡リスクが大幅に下がることがわかっている。また、適度な運動は脳のブドウ糖代謝を効率化し、記憶や学習を司る脳の領域(海馬など)を大きくする。車を少し遠くに停めて歩く、といった小さな積み重ねが脳を守る。

脳に「心地よい負荷」を与え続ける

クロスワードやパズルを解く、新しい趣味やスキルを習得する、他者と複雑で深い会話を交わすといった知的刺激は、脳のネットワークを維持・向上させる。また、視力や聴力の衰えを放置すると認知症リスクが高まるため、定期的な検診と適切なケア(補聴器や眼鏡の使用)を行うことも重要だ。

photo by GettyImages
photo by GettyImages

未来を決めるのは「年齢」ではなく「マインド」

「私たちは決して、脳や体をケアするのに若すぎるということはないし、老いすぎているということもない」そう専門家が語るように、人間の体には後半生になっても向上できる「予備能力」が備わっている。「もう◯歳だから」と諦めるか、「ここからどう洗練させていくか」とワクワクするか。そのマインドセットの差が、10年後の脳と体の若々しさを、文字通り左右することになる。

photo by GettyImages
photo by GettyImages

出典;

Yale study finds the secret to aging well over 65

Many Adults 65 and Older Improve With Age, Study Finds

Study Finds Many Older Adults Will Improve Over Time–Depending on Their Mindset

Google Newsでヨガジャーナルの記事が見つけやすくなります

Googleに登録する
広告

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

photo by GettyImages
photo by GettyImages
photo by GettyImages
photo by GettyImages